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【J1:第8節 磐田 vs 湘南】プレビュー:大きな分岐点。もう後がない磐田が、連勝で波に乗りたい湘南をホームに迎える。(13.04.27)

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練習場のピッチに、選手たちの大きな声が響き渡った――。
24日にヤマザキナビスコカップの試合がなかった磐田は今週も通常のリーグ戦と同じ流れで調整。オフ明けの23日は通常通り午前、午後の2部練習を実施した。ただし、選手たちの雰囲気がいつもと違う。午前にフィジカルトレーニングの一環として行ったダッシュでの光景だった。選手がペアとなり、縦に並んで順にダッシュするごく一般的なメニューではあったが、どの選手も一様に大きな声を出して走り始める。チーム1のムードメーカー・松岡亮輔の「チャンピオン!!!」という掛け声はさておき、たいていは「ハイッ!」、「ウォー!」といった言葉にならない叫び声だった。ピッチ上では比較的“クール”な前田遼一もこの日ばかりは照れくさそうに大声を出し、笑った。比較的“真面目”な選手の多い磐田では珍しい光景と言っていい。発案したのは生駒武志フィジカルコーチ。少しでもチームを盛り上げたい――。そんな思いからだった。これを見た森下仁志監督は「(自身の出身校である)帝京高校時代を思い出したよ」と思わず表情を緩める。ほんの些細なことかもしれないが、スタッフの心情を思うと嬉しくてたまらなかった。

この状況で笑っている場合か――といった批判もあるかもしれないが、白星から見放されたチームのメンタリティーはそれほどまでに辛く、苦しい。指揮官の言葉の通り、ダッシュの声出しはいわゆる“部活動”的なもの。いや、そこでももはや古典的な手法と言えるのかもしれない。だが、もはやなりふり構っていられるチーム状況ではないのだ。

前節のホーム・広島戦に敗れた磐田は今季初の3連敗となり、クラブワーストを更新するリーグ開幕7戦未勝利。順位は10年3月以来3年ぶりの最下位となった。

今季はJリーグ昇格20周年の節目の年。夏には“新ヤマハスタジアム”(※現在改修工事中)がお披露目されるメモリアルなシーズンに、伊野波雅彦というJトップクラスの即戦力も補強した。日本代表選手はJクラブ最多となる3選手となり、開幕前は独特な高揚感があったが、期待すればするほど失意もまた大きくなるものだ。愛するクラブがもがき続ける姿に、スタンドも戸惑いを隠せない。08年に入れ替え戦という壮絶な修羅場を経験し、比較的我慢強いと言われる磐田サポーターだが、さすがに一枚岩であり続けることが難しい状況である。
広島戦では試合終了の笛と同時に選手を鼓舞する声援とブーイングがスタジアムを二分した。そして、おそらくそのどちらでもない層も増え始めている。広島戦の入場者数は8377人。これは昨季の“森下ジュビロ”発足後、リーグ戦のホームゲームでは最少の数字だ。天気予報では高い確率で雨であり、現に試合途中に弱い雨が降り始めるあいにくの天気ではあったが、それとは別の理由でスタジアムに足を運ばなかったサポーターは少なくないのだろう。バックスタンドの空席は記者席のあるメインスタンドからもはっきりと見えた。

11年のリーグ開幕戦。新体制として初めて迎える公式戦にあたり、駄文ながら磐田側のプレビューには『人と人が“つながる”ハートフルなサッカー』と書かせてもらった。人情派の若き指揮官は選手に支えられ、スタッフに支えられ、そして、サポーターに支えられてここまで来た。だが、プロという厳しい契約社会の中ではやはり勝つことでしかつながり続けることはできない。サックスブルーが今、真の結束力を問われている。

対するアウェイ・湘南にとってはリーグ2連勝で勢いに乗る大きなチャンスだ。前節は同じくJ1昇格組の大分と対戦し、2-1で勝利。永木亮太の直接FKで先制。大分・森島康仁に1点を返されたものの菊池大介のゴールで勝ち越し、雨のホームグラウンドで今季初勝利を飾った。J1では10年7月以来約3年ぶりの勝利。今季はここまで先制しながらも勝ちきれない試合が続いていたが、第1節・横浜FM戦以来となる複数ゴールをマークし、競り勝った。

24日のヤマザキナビスコカップではホームで横浜FMと対戦し、0-1で敗戦。激しい雨の中で90分間プレーしているだけに、中2日で迎えるリーグ戦への影響が気がかりなところではあるが、若い選手が多く、チームとして優れた走力を持つ湘南である。懸念材料とまでは言えないか。

磐田とは今季すでにヤマザキナビスコカップ(4月10日・ヤマハ)で対戦しており、その際は前田にゴールを決められ0-1で敗戦。しかしながら、複数の主力選手を欠き、終始磐田にボールを支配された中でも大崩れせず粘り強い戦いを見せている。この試合も相手にボールを保持される展開となるだろう。その意味ではカップ戦の“教訓”が生きてくるはずだ。前回対戦の会見で曹貴裁監督は試合の入りに苦しんだことを認めつつも、「GKを含め最後のところの粘りや1対1、空中戦などは時間が経つごとにできてきたところもあった。ボールの動かし方も時間が経つごとによくなってきた」と話しており、この試合では前回対戦を元にさらに緻密な対策を練ってくるだろう。その上で湘南らしい前を意識したアグレッシブな攻撃でゴールを目指す――そんなプランになるはずだ。磐田が今季開幕から続けてきた[3-5-2]から[3-4-2-1]に近い形へシステムチェンジする可能性もあるが、仮に[3-4-2-1]となれば湘南と全く同じ布陣となる。この点がゲームにどう影響するかもポイントの一つと言えるだろう。

ゲームはヤマハで16時よりキックオフ。互いに絶対に譲れない大一番が幕を開ける。

以上

2013.04.26 Reported by 南間健治
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