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【J1:第3節 広島 vs 鹿島】プレビュー:優勝候補・鹿島と相対する中で、自分たちのリズムを広島は取り戻せるか。(13.03.17)

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間違いなく脅威。
Jリーグ最強2トップという評価も高い鹿島のコンビ=ダヴィと大迫勇也は、今季既に2得点ずつを記録。能力に見合った結果を出していると言っていい。
強烈なフィジカルを利した破壊的な突破とシュートの正確性を誇るダヴィは、これまでの鹿島にはいなかった強烈なFW。一方の大迫勇也は、ポストプレー・ドリブル・パス・シュート、あらゆる能力に水準以上の能力を誇る万能型。スケールの大きさと柔らかなボールタッチは、若い頃の柳沢敦(現仙台)を彷彿とさせる。
野沢拓也をはじめジュニーニョ、小笠原満男、柴崎岳とそろった中盤の選手たちが持つ個人能力は折り紙つき。彼らがおりなすスビード感に満ちた攻撃は、「間違いなく去年よりも迫力はある」と森崎和幸も警戒する。
ただ、広島にとって重要なのは、この強力2トップをどう抑えるかというよりも、攻守にわたって自分たちのリズムを保った戦いができるか。相手のことよりもまず、自分たちのサッカーを表現できるか否か。今後の戦いを占う意味でも、いつも以上に「結果」と「内容」が求められる試合となる。

ACLで連敗したとはいえ、広島は佐藤寿人・森崎和幸・森崎浩司の主力3人を温存。ミキッチも復帰が有力視されており、ファン・ソッコや高萩も復調基調。戦力はようやく整いつつある。清水航平のケガが全治8週間と診断されてしまったのは痛いが、山岸智が好調を維持している事実がその不安を打ち消している。それは、頼もしい。
だが、主力が戻ってくればすべての問題が解決するわけではない。勝利した新潟戦にしても、いいリズムで試合を組み立てていたわけではない。広島らしいボール支配力を表現できず、引かれた相手に対してチャンスを数多くクリエイティブすることは難しい状況になっている。
その要因について、森崎浩司は「運動量の不足」をあげた。
「自分たちのいい時は、もっと走れていると思う。全員がもっと運動量をあげて、しっかりと動けば連動していくし、そこでリズムは生まれる。走ればもっとパスコースは生まれるわけで、(西川)周作も含めて11人がしっかりとパスコースに顔を出せるようにすればボールは自然と動くはずです」
その「運動量」とは何も、攻撃のことだけを差すのではない。森崎和幸は言う。
「例えば守備でブロックを固めていたとしても、そこでしっかりとボールホルダーに対してプレスにいくこと。しかも、勢いを持って。『誰かがいくだろう』という守備になってしまっては、プレッシャーは相手にかからない」
広島のサッカーは、コンビネーションとよく例えられる。だがそれは決して「魔術」ではない。相手よりもしっかりと走って、ボールを持っている選手に数多くの選択肢を与えること。守備の局面でも走り、闘い、味方をサポートすること。そういう基本的な部分の集積が、流麗なパスワークと堅い守備ブロックという昨年の優勝を導いた「広島サッカー」につながってくる。
そのベースを、広島の選手たちがしっかりと思い出せるか。運動量で鹿島を上回らなければ広島の組織は機能せず、相手の個人技をまともに受けることにつながる。鹿島はディフェンスに問題を抱えているのは確かだが、それも広島に連動性が生まれて初めて、突き破れるもの。下支えはあくまで、運動量である。

事前の予想では多くのジャーナリストが「優勝候補」と推していたように、鹿島は強い。かつて鹿島を三冠に導いた名将であり、「リアリスト」でもあるトニーニョ・セレーゾ監督が、どんな広島対策を講じてくるのか。そこも興味深いポイントになるだろう。だが、繰り返すが、明日の試合で広島にとって重要なのは、鹿島を「どう止めるか」ではない。自分たちのリズムをしっかりと呼び起こし、「広島のサッカー」をどう表現し、結果を出すか。3週間で6試合目、相手は鹿島。非常に厳しい状況ではあるが、この試練を乗り切ることができれば、新しい「何か」も見えてくる。

もっとも森保監督は、ポジティブに選手たちを信じている。
「ACLでは選手を入れかえて戦っているし、相手も研究を重ねている。その中でリズムが生まれないのは、想定内。それでも、選手たちはしっかりと(自分たちのサッカーを)続けてくれている。明日の試合も厳しい状況が続くのかもしれないが、90分終わって勝利しているのは我々だ。そうなることを信じて、戦っていくだけ」
リーグ戦での広島全得点に絡んでいる森崎浩司も、強い気持ちを言葉に表す。
「ホームでは連敗中。これ以上負けることはできない。責任を持ってプレーしたい」
もちろん、選手たちの総意である。

以上

2013.03.16 Reported by 中野和也
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