2009年にJ2を制してJ1に昇格した仙台と、2012年にJ2を制してJ1に昇格した甲府。仙台は当然、J2チャンピオンがこの開幕戦で何をしてくるか、そしてどう注意すべきかを逆の立場になっても知っていた。2010年のJ1開幕戦で、仙台は前年のJ2王者という立場で磐田と敵地で対戦し、1-0の僅差で勝利した経験を持つ。
「あの時の自分たちのように、甲府は勢いを持って挑んでくるはず」。
事前に渡辺広大が展望していたように、仙台は甲府を警戒していた。
そして迎えた3月2日の開幕戦。ユアテックスタジアム仙台に乗りこんできた甲府は精力的なプレッシングで仙台の攻撃を抑えにかかった。この日にボランチに入って先発した佐々木翔は「どんどん前にボールを運べたからこそ、ある程度戦えたのかなと思います」と試合後に振り返った。仙台の中盤にボールが入ったところでプレッシャーを強め、ボールを奪い、素早く前にボールを運ぶ。この徹底により、柏好文や羽生直剛が次々とシュートチャンスを迎えた。しかし決定力を欠いたことで、一時は仙台がペースを握り返す。しかしこちらもウイルソンと梁勇基がそれぞれ抜け出して迎えたシュートチャンスで決められず、前半は0-0で終わる。
「前半をしのいで後半になればスペースができてくると思った」と戦況を分析していた梁の言葉通り、後半は仙台が立ち上がりから攻勢に出た。ガードの厳しかった中盤にできてきたスペースをすかさず突き、49分にもぎ取ったCKから渡辺が前日のセットプレー練習に続いてファインゴールを決めた。
この後も仙台は追加点を狙うが、ひとつのプレーが勝点を左右した。72分、前がかりになっていた仙台の裏へロングボールが送られると、途中出場の河本明人が頭でつなぎ、これを受けたウーゴが落ちついて決めた。その後の時間帯は仙台が大攻勢をかけて甲府がしのぐという展開が続いただけに、貴重なゴールとなった。
「80分は我々らしく戦って、残りの10分は何が何でも勝点を取りに行く」と城福浩監督はチームに呼びかけたという。まさにその残り10分を耐え抜いたことで大きな勝点1を手にした格好だ。甲府は昨季のJ2から続くリーグ戦無敗記録を25に伸ばすとともに、自信を深められる引き分けだった。
一方、ホームでの開幕戦で勝点1からのスタートとなった仙台。試合前日に角田誠が負傷で離脱したことなどメンバー編成上での誤算はあったが、「内容が悪かったとしてもしっかり勝ちたかった。自分自身、2点目、3点目を取れる攻撃にもっともっと貢献したかったと反省しています」(太田吉彰)
まだ序盤であり、引き分けは最悪の結果ではない。だが仙台が上を目指すならば、ACLと並行して戦うなかでもより高いレベルを追求していく必要がある。昨季は終盤に三連続引き分けを記録して、優勝争いを難しくしてしまったことがあった。単独の試合での引き分けはまずまずの結果だが、それが重なると問題となる。下を向く必要はないが、前を向く前に必要な修正がある。そのことを、仙台は甲府の果敢な戦いぶりに教えられた格好だ。
以上
2013.03.03 Reported by 板垣晴朗
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