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【2013Jリーグプレシーズンマッチ 柏 vs 千葉】レポート:順調な仕上がりを見せた千葉が攻守に躍動し、ちばぎんカップを制す。新システム不発の柏は様々な課題が浮き彫りに(13.02.18)

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1週間前、指宿キャンプ中に行われた浦和との練習試合では、主力組同士による30分×2本は3-0と上々の仕上がりを見せていたのだが、あの時とは対照的に柏の新しい試みは裏目に出た。その結果、選手個々のコンディション、チームのクオリティーで上回る千葉が第19回ちばぎんカップを制した。

序盤の形勢はほぼ五分。どちらに主導権が転がってもおかしくはない展開だった。9分、右のキム チャンスから左のジョルジ ワグネルへ大きく揺さぶり、中央のクレオがヘッドを放ったシーンや、11分の工藤壮人がボールをキープし、キム チャンスの攻撃参加からのクレオのボレーなど、柏が意図的に作り出したチャンスも見受けられた。

鈴木淳監督就任1年目とはいえ、山口智、竹内彬、佐藤勇人、兵働昭弘ら、チームの骨格は変わっておらず、昨年からの踏襲性を感じさせた。相手が入ってきたところを即座に挟み込み、ボールを奪い取る網の張り方、あるいはサイドから深い位置に入られても、2センターバックが弾き返し、そのセカンドボールをボランチがしっかりと拾うといった昨シーズンのJ2で見せた戦い同様、千葉の戦い方には安定感がある。また、攻撃面は谷澤達也が柏のディフェンスラインとボランチの間で曖昧なポジショニングを取り、マークを掴ませず、のらりくらりと外しては出来上がったスペースをジャイールが突く。「カウンターアタックが多くなり一本調子。もう少しポゼッションをできる時間を増やさないといけない」と鈴木監督は攻撃の課題を口にしていたが、堅い守備から素早い攻撃という点では確実に形にはなっている。この時期では上出来だ。

そんな千葉に対し、序盤のチャンスを逸した柏は次第に相手の守備組織にはまってしまう。ビルドアップの得意な3人のセンターバックを置いてはいるが、逆に3枚いるがゆえに4バック時に見せるボランチの「降りて受ける動き」がなく、結果的にボランチの効果的なパス出しにつながらない。かといって最終ラインの3人からFWに放つクサビの縦パスもほとんどなく、もちろん「守備を強調して、しっかりとブロックを作って守る」(鈴木監督)というように、千葉の守備がしっかりとした組織を作り上げていたことも一因にはあるが、柏からすれば何か窮屈で、後ろと前が寸断されたイメージとなった。「ボランチを経由して、距離を取りながら相手を引き延ばすことができなかった。相手を少しずつ動かしていければよかった」(茨田陽生)と横幅を使った攻めを構築できずに、強引に縦に攻めてはボールを失うという事態に陥ってしまった。

現在のコンディションはピークではない。それでも千葉の選手の仕上がりの良さには目を見張るものがある。2ゴールを挙げた米倉恒貴などは、まさに典型的だろう。19分のジャイールのクロスに合わせたヘッド、60分のショートコーナーからのボレーシュートは、いずれもコンディションが悪ければしっかりとヒットせずに、あそこまで鮮やかに枠を捉えないはず。例えば柏が迎えた最初の2つのチャンスでは、コンディションに難のあるクレオの2本のシュートはともにクリーンヒットには至らなかったのだから、やはりゴール前のクオリティーだけを見ても両チームのコンディションには大きな開きがあった。

さらに千葉は、新戦力も計算できる存在であることを印象付けた。ジャイールは中盤左サイド、途中からはトップ下でプレーし、スピードで前へ突き進むスタイルを発揮。ナム スンウは71分に渡邊圭二のクロスから鮮やかなヘッドで3点目を決め、キャリアで初めて右サイドバックを務めたというキム ヒョヌンも守備の対応では光るプレーを幾度も見せており、全体的には新戦力の融合は順調である。3-0というスコアは、チームの仕上がりの良さがそのまま反映されたものとして考えていいだろう。

敗れた柏だが、「このゲームでシステムを2つ試したかったという意図がある」と話す指揮官の弁は、思わぬ敗戦を取り繕うためのものなのか、それともFUJI XEROX SUPER CUPを皮切りにAFCチャンピオンズリーグを並行して戦う過密日程を戦い抜くためのテストであったのか、それは普段と全く変わりない毅然とした表情からは読み取ることはできない。ただ、後半から通常の4バックに戻しながらも、その顔ぶれがキム チャンス、鈴木大輔、近藤直也、山中亮輔という初めて組む布陣だったことを考えると、リスク管理が行き届かずに背後のスペースを狙われるのは仕方がないだろうし、3-0というスコアでの敗戦は想定外にしろ、ネルシーニョ監督の頭の中には、3バックと4バックの両方で、おそらくいくつかの意図や狙いがあり、この試合を戦ったのではないかと勘繰りたくはなる。

23日、柏はFUJI XEROX SUPER CUP 2013で王者・広島と激突し、その直後にはACL初戦のため中国へ飛ぶ。今回のちばぎんカップで課題が山積された柏には、残された時間は多くはない。その中で、智将はどうチームを仕上げていくのだろうか。

以上

2013.02.18 Reported by 鈴木潤
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