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清水の伝説的守護神、故・真田雅則氏の背番号１を受け継いだジュニアユースからの生え抜きGK。日本代表にもたびたび招集されてきたチームの誇りが完全移籍というニュースは、清水サポーターにとって非常に大きなショックだった。生まれも育ちも清水で、サポーターへの感謝の気持ちをつねに忘れることなく、サインなどのファン対応にも人一番長い時間対応していた好漢。人間性の面でも多くのファンから愛され、信頼されていた選手だけに、彼との別れを惜しむ声はなおさら大きかったのだ。
山本自身もそのことは身にしみるほどわかっていたが、プロとして自分の力をより発揮できる場所を選んだというのが、今回の移籍を決断した理由だった。最大のポイントは、より多くの出場機会を求めたことと、神戸が彼の特徴をきちんと評価してくれたこと。昨年は、ヤマザキナビスコカップと天皇杯では守護神として大いに活躍したものの、リーグ戦では移籍加入の林彰洋にポジションを奪われ、８試合の出場に留まった。ヤマザキナビスコカップでも準決勝第２戦と決勝戦はサブに回り、彼にとっては非常に悔しいシーズンを過ごした。
そんな中でも山本は、試合に勝った後には本当にうれしそうな笑顔で林と抱き合うなど、ベンチで試合を見守りながらチームのためにできることを全力でやり続けた。ただ、首脳陣との話し合いの中で自分の力がきちんと評価されていないという気持ちはぬぐいきれず、移籍を決断した理由として、「（神戸が）自分のプレイでの長所というものもよく理解していてくれて『そういう部分を全面に出してほしい』と言ってくれた」と語っている。
これまでのキャリアの中で、ケガなどもあってリーグ戦全試合出場を経験したことがない山本は、それも大きな目標のひとつ。自分の能力を生かしてくれるチームで、フルタイム出場を成し遂げたいという思いは非常に強い。
そんな彼の武器は、クロス対応の良さと的確なコーチング。他のGKならば見送るようなクロスボールに飛び出し、弾くだけでなくしっかりとキャッチしてくれるので、DFとしては本当に頼もしいはずだ。また、「自分が一度も（シュートを）セービングしないぐらいの試合が、僕にとって価値ある試合」とつねづね語っており、自分の声で守備の組織をつねに万全な状況に整え、ピンチを未然に防ぐというコーチングにも非常にこだわっている。
だから、たとえ彼があまり目立たなくても、被シュート数が少なく無失点に抑えきった試合は、山本が良い仕事をしたということになる。今年の神戸は、そんな試合がこれまでよりもきっと多くなることだろう。
以上
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2013年2月23日（土）13：35キックオフ／国立
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2013.02.10 Reported by 前島芳雄
