----------
大宮アルディージャの旧クラブハウスでは、選手を待つ暇つぶしによく、廊下に飾られた各年シーズン前の集合写真を眺めていた。懐かしい顔もいれば、変わらない選手もいる中、東慶悟の姿を2011年と12年で見比べるたびに、その面構えの変化に苦笑いしていたものだ。13年の写真に彼が写ることはないが、もしそこに並ぶことがあれば、どれほどの差を感じさせてくれただろう。
当時J2だった大分から大宮に加入した2011年、まだ体の線はヒョロリとして、やや長めの黒髪に、表情はまだ子供っぽさが漂っていた。開幕こそベンチで迎えたものの、あの大震災の中断期間の間に鈴木淳監督(当時)の信頼をつかみ、シーズン終盤にはそれまで『大宮の顔』であった藤本主税（現：熊本）をベンチに追いやり、トップ下に君臨した。「大宮と言えば東、と呼ばれる選手になりたい」と初々しく語った言葉は、１年足らずで現実となった。その自信が、少年の顔を大人に変えた。2012年のロンドンオリンピックでの経験を得た今、その面構えにはふてぶてしささえ漂う。
プレーではセンターのトップ下に入って相手の最終ラインの裏に飛び出したり、スペースを作り、また中盤に下りてボールを受け、パスを当ててまた前に出てフィニッシュにからむプレーを得意とする。中央で自由に動き回りながら、「周りを生かし、自分も生きる」のが東の真骨頂だ。一方、独力での突破が求められる、あるいは守備での約束事も多くなるサイドでは、本人は「どのポジションでもできるのが良い選手だと思う(からどこでもやるよ)」と答えるが、これまでにサイドで結果を残してきたとは言い難い。
とはいえ、決してわがままなプレーヤーではない。前線から献身的に守備をし、最終ラインのボールを奪ってフィニッシュまで持ち込むことも。「今日は調子が悪いなと思ったら、守備を頑張る」という、まずはチームのことを考えられる選手だ。だからこそ、個性派がそろう五輪代表のアタッカー陣の中でも関塚監督から信頼され、１０番を与えられていたのだろう。
東の海外志向の強さは知っていただけに、国内移籍を選んだことに多少の驚きはあった。背番号３８を選んだのは、大宮の「ミヤ」なのか、それとも短期での海外移籍をにらんでのものなのか？早くも来年の、東慶悟の写る集合写真が気になっている。
以上
-----------
★新シーズンの開幕を告げる大会が今年も！★
FUJI XEROX SUPER CUP 2013
2013年2月23日（土）13：35キックオフ／国立
サンフレッチェ広島 vs 柏レイソル
チケット好評発売中！
2013.02.08 Reported by 芥川和久
