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【第92回天皇杯 準決勝 横浜FM vs 柏】柏側レポート:出足の鋭さと規律ある守備を見せた柏。4大会ぶりの元日ファイナルへ!(12.12.30)

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相手を圧倒し、ねじ伏せるわけではない。ただ、紙一重の攻防を制して、したたかに勝ち切る“強さ”が、昨シーズンの柏にはあった。2012年、リーグ戦では影を潜めていたが、この天皇杯でようやく姿を現した。

キックオフと同時に柏は積極的なプレスで横浜FMを押し込み、コンパクトな陣形と規律ある守備で主導権を握る。球際では粘り強くマーカーをチェックすることで相手からボールを奪い取り、選手一人一人の出足も鋭く、中盤でのセカンドボールの争いでも優位に立った。コンパクトな陣形と規律ある守備ができているということは、それはすなわち選手同士の距離間が良いことを意味し、当然それは攻撃にも波及する。中澤佑二と栗原勇蔵を背負いながらポスト役をこなす工藤壮人、ゾーンの間や裏のスペースへ頻繁に顔を出す澤昌克、外と中のプレーを臨機応変に使い分けるジョルジ ワグネルと水野晃樹。最終ラインとダブルボランチはボールを奪った後、機敏な動き出しを見せるアタッカーへパスを配球。柏のリズム良い攻撃が奏でられていく。

23分の先制点は、上記したリズムの良い時間帯に生まれた。大谷秀和と栗澤僚一が網にかけたボールを山中亮輔が前線にフィード。左サイドに流れたジョルジにボールが渡る。実はこの時、ジョルジはニアサイドへ低く速い弾道のクロスを放つのではないかと思って見ていたのだが、この経験豊富なブラジル人レフティーは瞬時にニアにいた中澤と栗原の位置を確認し、高さのある2センターバックの頭を越えた方が得策と判断したのか、ファーサイドにフワリとしたクロスを上げる。「ファーに来ると思い、前にいたのがドゥトラだったのでうまくヘディングでも競り勝てた」(澤)。「澤さんのヘッドがバーに当たるか、ギリギリにクリアされると予測して、そのこぼれ球を狙っていた」(工藤)。ジョルジ、澤、工藤、3者のイメージが合致。澤のヘッドはゴールライン上で中澤にクリアされたものの、こぼれ球を狙っていた工藤が詰め、ゴール上部に先制弾を突き刺した。

得点後、一度は「横浜FMのカウンターやタメができるところを怖がり、ハイボールへのカバーでうちの中盤の選手が引いてしまった」とネルシーニョ監督が指摘した通り、柏は全体のラインが下がり、自陣に引いて守る展開となった。したがってハーフタイムには、「引かないような守備をして、できるだけ自分の前にいる相手を捕まえにいく」という監督の修正が入る。智将の微調整により柏は守備の規律を保ち、後半を戦った。

攻撃の核、レアンドロ ドミンゲスが不在。中盤の若きパサー、茨田陽生も出場停止だった。パスワーク、ポゼッションでは横浜FMに分がある。そこで柏は長めのボールを多用する攻撃を仕掛けた。工藤も澤も豊富な運動量を誇り、裏への抜け出しと混戦の中でボールをキープする能力は高い。スピードのある水野も相手の背後を突ける選手だ。ベンチ入りメンバーを含めて18人に満たないと苦しい台所事情だったが、その時のメンバーに見合ったスタイルで戦うことができる“いやらしさ”を示した格好になったのではないだろうか。

そして何より「今日は(守備が)はまっているなという感じがあった」(栗澤)。後半スタートから、横浜FMはマルキーニョスを投入してきたが、近藤直也と増嶋竜也がタイトなマーキングと、チャレンジ&カバーの動きで相手のターゲットマンを封じる。また、「シュンさん(中村俊輔)は、澤のところに行ったら澤が付く、こっちにきたらボランチが付く。そういうところがはっきりしていた」(栗澤)とマークも受け渡しがスムーズに行われており、最も警戒していた中村俊輔に決定的な仕事をさせなかった。常々、「守備が苦手」と話す山中も、兵藤慎剛、小野裕二らがサイドへ流れた時には冷静に対処し、背後を取らせることもなく、「ドゥーさん(近藤)、マス君(増嶋)の声を聞きながらしっかりと守備ができた」と自身のプレーを評価した。

後半アディショナルタイム、この試合で唯一柏の守備組織がラインの裏を突かれた。しかしここでも、抜け出した齋藤学のシュートはライン上で山中がカバーし、こぼれ球は谷口博之に詰められたが、渡部博文が身を挺して防ぐ。最大のピンチをしのいだ柏が1−0で逃げ切り、決勝進出を決めた。

試合終了間際、守備の要である近藤が負傷で退き、92分には工藤がイエローカードを貰い受け、決勝戦は出場停止となってしまった。ファイナルのチケットを手にした代償は決して小さくはない。殊勲の工藤は、試合終了直後こそ悔しさを滲ませていたが、ロッカールームでは選手一人一人と握手を交わして熱い思いをチームメイトに託した。ミックスゾーンに姿を見せた時には「みんなが最高の状態で臨めるようにサポートしていきたい」と笑顔で語っていた。

思いを託された田中順也はこう言う。「工藤のためにも、絶対に優勝する」。

以上

2012.12.30 Reported by 鈴木潤
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