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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J1:第32節 札幌 vs 鳥栖】レポート:札幌と鳥栖。今シーズンともにJ1に昇格してきた同士の対戦は、互いがシンプルに相手ゴールに、互いがハードにこぼれ球に飛びつく熱戦となった(12.11.18)

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テクニカルにパスが回ったりだとか、細かな駆け引きが織り込まれていたわけではない。どちらもシンプルに相手ゴールに迫り、どちらもシンプルに相手の攻撃を跳ね返した。「順位でこそ差をつけられてしまったけど、鳥栖は一緒にJ1昇格を果たしたチームだけに、絶対に負けたくなかった」と札幌の古田寛幸が言えば、「今日はゲーム内容云々より、勝つということにこだわった」と鳥栖の尹晶煥監督。とにかく結果が欲しい。そんな双方のシビアな戦いぶりが、この試合の面白味だった。

立ち上がりはセカンドボールの拾い合いが続いた。「相手は長身FWの豊田(陽平)にボールを当ててくるので、そのセカンドボールをどれだけ拾えるかが大事」と石崎信弘監督が試合前に話していた通り、札幌は中盤のハードワーカー芳賀博信を中心にこぼれ球を拾いに走った。対する鳥栖も、こちらはもちろん自分達の戦術が豊田へのダイレクトプレーであるため、もともとセカンドボールのへの意識は強い。

そのため中盤でのボールの拾い合い、さらには潰し合いが展開され、タフなゲームとなっていた。互いがハードワークをするガチガチの内容。パスをテンポよく動かす場面などはなく、一進一退、膠着した状態のまま時計の針は進んでいく。

そうして迎えた前半のアディショナルタイムに試合は動いた。左サイドからドリブルで持ち込んだ古田がボックス内で倒され、PKを獲得。これを内村圭宏が決めて札幌が1−0のスコアにして前半を終えたのだ。

後半に入ると、鳥栖が攻勢を仕掛ける。
前線の豊田の周辺でプレーする水沼宏太、池田圭、野田隆之介も高い位置に張り出させ、相手のマークを分散させる。そして豊田本人も中央に構えるだけでなく、上下左右に大きく動くことで札幌の守備を翻弄し始めた。

そして54分。相手の守備ラインを押し込んだところで左サイドバックの磯崎敬太がピンポイントのクロスを蹴り込み、これを豊田が頭でゲット。鳥栖が試合を振り出しに戻した。

そしてここからはさらに動く。同点となった直後に右CKを奈良竜樹が頭で押し込んで札幌が勝ち越すと、67分にはこちらもセットプレーから長身DFキムクナンが頭で折り返したところを池田が押し込んで再同点。まさにシーソーゲームが展開されていく。

繰り返しになるがこの試合は、テクニカルにパスが回ったり、アイデア溢れる崩しのコンビネーションがあったりという場面はほとんどない。また、大きなスペースに選手やボールが飛び込んだりということもあまりなく、ピッチのいたるところでマンツーマンのマッチアップが繰り広げられ、激しく潰しあうタフなゲームが繰り広げられていたのである。華麗なパス交換やトリッキーな突破があるゲームはもちろん楽しいし、面白い。だが、そうしたプレーがほとんどなく、相手ゴールに向かってダイナミックにボールを蹴り、そのこぼれ球に多くの選手が猛然とアプローチするというシンプル過ぎるゲームというのもまた、面白いものである。そこには「とにかく勝ちたい」という気持ちが強く存在するからだ。

そして試合を決める得点は71分だった。鳥栖の野田が相手ボックス内でアクロバティックなボールコントロールから蹴り込み、3−2と逆転に成功。そしてそこからスコアに変化はなく、タイムアップの笛が鳴った。

札幌がすでにJ2降格が決まっていたり、鳥栖はここにきてACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)出場のチャンスが見えてきたりと、両チームの置かれている立場は大きく異なる。だが、この試合のピッチ上で行われていたのは、そうした状況や立ち位置などを度外視した男と男のぶつかり合いだった。

とにかくシンプルで、悪く言えばアバウトで。でも、そのプレーひとつひとつには熱がこもっていて見どころ十分な好ゲームだった。

札幌は次節、札幌ドームで横浜FMと。鳥栖はベアスタで浦和と対戦する。後者は5位(鳥栖)と3位の勝点差2の対戦とあって、大きな注目が集まりそうだ。

以上

2012.11.18 Reported by 斉藤宏則
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