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【J1:第21節 神戸 vs 浦和】レポート:神戸が粘って“ホーム神話”継続。浦和は「不運な負け」で不敗記録ストップ(12.08.12)

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「なぜ我々が今日、敗戦してしまったのか、なかなか誰も説明するのは難しいゲームだったと思います」。杖をつきながら記者会見場に現れた浦和のペトロヴィッチ監督は、やや険しい表情を浮かべながらこのゲームを振り返った。そして「ゴール前20mくらいまではボールを運べるのだが、今日はラストパスやシュートの精度が欠けた試合だった。非常に不運な負け」と評す。シュート数では神戸12、浦和14と記録的には大差がなかったが、実際にゲームを支配していたのは浦和だった。

前半。アウェイとは思えないほどの大声援を背に受けながら試合に入った浦和は、右サイドに大きく開いた平川忠亮にボールを集め、そこを起点に神戸を崩しにかかった。前半7分過ぎにはDFからのロングフィードを平川が巧みなボールコントロールで落とし、柏木陽介がシュートに持ち込む場面もあった。そうしたサイド攻撃を繰り返した後の約9分、DFの永田充から相手ボランチとDFの間に顔を出したマルシオ・リシャルデスに速いグラウンダーの縦パスが入る。神戸はマルシオを囲む形で対応したものの、浦和は内・外から神戸に揺さぶりをかけて崩しのチャンスを淡々と狙っていた。
だが、神戸の田中英雄が試合後に「(神戸の)ボランチとDFの間を狙った浦和のパスにどう対応するかが一つのポイントだった」と振り返ったように、神戸は慌てずに浦和の攻撃の芽を一つ一つ摘んでいく。そして奪ったボールを野沢拓也に集め、早めに相手DFの裏へパスを出して行く展開。西野朗監督の狙いは「(攻撃に)時間を掛けてしまうと(浦和は)3バックが5バックになって、なかなかスペースが見つからない。そうなる前にスペースを早めに使って起点を作るのが一つの狙いだった。大久保にはフリーランで抜けてポイントを作るように話した」だった。

その狙いがハマったのは23分。ハーフウェイライン付近でボールを奪った橋本英郎がすぐにボールを野沢に預け、野沢がツータッチで相手GKとDFの間に浮き球を入れる。それを大久保嘉人が反応してGKと1対1の場面を作ると、大久保が冷静にGKを抜きにかかり、ペナルティエリア内でファウルを受けてPKを獲得。そのチャンスを大久保が冷静にゴール右隅へ流し込んだ。大久保の神戸J1通算600得点目となる先制点で、流れは神戸に傾きかけた。

ただ、浦和は強かった。先制点を奪われてからも慌てることなく、神戸のボランチとDFの間にくさびのパスを通し、そこから柏木、マルシオ、梅崎司、平川、原口元気がワンタッチやツータッチでパス交換しながら崩しにかかる。そんな華麗で多彩な前線の攻撃に加え、35分にはDF槙野智章が左サイドを突破し、中央への折返しを原口がシュートを放つ決定的な場面も演出。いつゴールを奪ってもおかしくない展開だったが、結局、神戸のゴールをこじ開けることはできずに浦和は1点ビハインドで前半を折り返すことになる。

後半に入っても浦和の猛攻は続いた。立ち上がり早々には平川のスピードに乗った突破に、神戸の小川慶治朗が溜まらずファウルを犯し、イエローカードを受ける。槙野の積極的な攻撃参加で立て続けにセットプレーのチャンスも作った。だが、神戸のセンターバック伊野波雅彦と北本久仁衛がそれをことごとく弾き返す。浦和はセカンドボールを支配し、分厚い攻撃をみせたがなかなかゴールには結びつかない時間帯が続いた。試合が動いたのは63分。梅崎の突破に対応した小川が2枚目のイエローカードで退場すると、神戸は69分に大久保に代えて運動量のある朴康造を投入。続いて76分には田代有三を下げてディフェンス力の高い吉田孝行をピッチへ送り込む。神戸は1点リードを死守しながら、隙あらば追加点を狙う従来の堅守速攻にシフトした。
浦和も76分に前節にゴールを挙げた宇賀神友弥と一発のあるポポを同時に入れ、その2分後には小島秀仁を投入してなんとか1点を奪いにいく。だが、なかなか神戸の壁を崩しきれない。逆に、神戸が朴康造のフリーランや相馬崇人のオーバーラップといったカウンターで追加点のチャンスを作る展開に。浦和が攻め続けたが、ある意味で神戸のペースでもあるという微妙な時間が流れ、浦和の猛攻を凌いだ神戸が1点を守りきり、リーグ後半で初の白星を挙げた。

結局、先述したペトロヴィッチ監督の「なぜ我々が今日、敗戦してしまったのか」という疑問に関する答えは何だったのか。浦和の鈴木啓太が試合後に語った見解に一つの答えが見い出せるかもしれない。「縦パスが入った時に動く方向だったり、ワンタッチなのかツータッチなのか、そこでボールを収めるのか。ボールが縦に入った時の判断のところで、ボールを持っている選手ではなくて周りの選手がサポートしきれていないというか、単調になってしまったというか、結局真ん中で3人目の動きもあまりなかった。(中略)ちょっとした自分たちのスパイスがなかったゲームかなと思います」。
そしてもう一つの答えが神戸の西野監督の記者会見の中にある。「(浦和の)ワイドな攻撃はケアしていた。中が崩されていないので、サイドからクロスが入ってもそう怖くはないと思っていた。中がつり出されてセンターバックが対応に追われる形ではなく、少し時間が掛かったけれど2列目が対応できたのは良かったと思います」。
もちろん勝因、敗因は一つや二つでは語れないが、鈴木と西野監督の見解はゲームの勝敗を分けた大きなポイントだったと言える。神戸が浦和の攻撃に対してアジャストした結果と言うこともできる。今節の前に神戸の野沢拓也が「2度も同じチームに負けるわけにはいかない」と話していたことを思い出す。その強い想いが「全員が執着心を持って、集中して、一つのボール、一人の選手に対してハードワークして戦えた」(西野監督)へとつながったのは言うまでもない。

これで神戸はホームでの浦和戦の不敗記録を5に延ばした。逆に浦和はここまで11試合負けなしの不敗神話が終わった。両チームにとって今節の結果が次にどう生かされるのか。共に次節の戦いが重要になりそうである。

以上

2012.08.12 Reported by 白井邦彦
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