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【ヤマザキナビスコカップ 名古屋 vs 清水】レポート:最後の最後に待っていた大逆転劇。清水がアウェイで大量4ゴールを奪い、土壇場で準決勝への切符を名古屋から奪い取った。(12.08.09)

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「What a game!(何という試合でしょうか!)」
記者会見で開口一番、清水のアフシン ゴトビ監督はそう切り出した。確かにそう表現するほかない、すさまじいゲームだった。名古屋が清水に敵地で先勝していたヤマザキナビスコカップの準々決勝は、目まぐるしい点の取り合いを清水が制し、大逆転で次のステージへの挑戦権を得た。両チーム合計7得点が入り乱れた試合は、しかしホームチームにとっては悪夢のような結果である。「なんで負けなきゃいけないのかわからない」と楢崎正剛が吐き捨てた3−4というスコアは、なぜ生まれてしまったのか。

前週のリーグ戦から中3日。リーグ次戦までは中2日という厳しい日程を切り抜けるべく、名古屋も清水もスタメンに手を加えてこの一戦に臨んでいた。それぞれリーグ戦からは名古屋が2人、清水が3人を入れ替えて11人を構成。ともに快勝だったリーグの勢いを消さない範囲、そしてこの4日間での連戦を見越した上での用兵策だったといえるだろう。名古屋は好調の金崎夢生をベンチにも入れず、同様に清水も控えには若手ばかりが名を連ねた。

名古屋が1−0とリードした状態で始まった“後半90分”の前半は、まず清水が先手を取ることに成功する。試合開始からややセーフティーながらも得意のポゼッションでボールを支配し、サイドの大前元紀と高木俊幸、そして中央で自由に動き回るアレックスを起点に名古屋を押し込んだ。運動量の上がらない名古屋はクリアにしろフィードにしろ、むやみにロングボールを前線に送るばかりとなり、中盤を省略したサッカーに終始。フィードは跳ね返され、そのセカンドボールも拾われ、前線と守備陣はどんどん分断されていった。そうこうしているうちに次々とチャンスを作る清水が42分に先制点を挙げ、試合はにわかに動き始める。左サイドからの大前のFKをアレックスがピンポイントで合わせ、清水が「前半で1−0にして帰ってきたいとみんなで話してました」(大前)という狙い通りの展開で45分を折り返した。

そして15分後、怒涛の“殴り合い”が幕を開ける。後半、名古屋は主審に早くと促されるほどに遅くピッチに現れたが、その理由は容易に想像がついた。ストイコビッチ監督の猛烈な檄が飛んだのだ。キックオフからボールを追い回す姿を見れば、それは一目瞭然。48分、52分と立て続けに決定機を生み出すなど、選手たちの目の色がまるで違った。そして54分、田中輝希のシュートがDFに当たって方向が変わったボールに田中マルクス闘莉王が反応。体を投げ出しながらの難しいヘディングシュートを沈め1−1の同点に追いついた。その後交代策で持ち直した清水に1点を返され再びリードを許したが、76分に藤本淳吾が美しい直接FKを決めて2−2に追いつく。引き分け以上で準決勝進出が決まる名古屋は86分の巻佑樹投入を機に闘莉王を本職のDFに戻し3バックで逃げ切りを図ったが、直後の87分に楢崎のパントキックが相手DFラインの裏に流れ、走り込んだ巻のクロスを藤本が流し込んで3−2と逆転に成功。古巣相手にようやく爆発したレフテイーが、この乱戦に終止符を打ったかに見えた。

しかし、清水の驚異的な追い上げがその後に待っていた。まず3−2となった直後の88分、大前がゴール前で粘ったこぼれ球を、強化指定でメンバー入りしていた筑波大FW瀬沼優司が押し込み同点。さらには気落ちする名古屋を尻目に、アディショナルタイムに放たれた杉山浩太のクロスを高木が頭でねじ込み試合をひっくり返した。これで2戦合計4−4の同点となり、アウェイゴールの差で準決勝への切符は清水の手に。6分間の大逆転劇はまさにミラクルで、若いチームならではの勢いも良い方向に作用させた痛快なゲームだった。

一方で歓喜から一転、奈落の底に突き落とされたような気分なのは名古屋だ。「こんなことだったら、私が代わりにピッチに出てプレーした方が良いと思わせるような内容だ」と指揮官は怒りをかみ殺すように語った。最後のCKでは自らもゴール前に上がった楢崎は「何で負けなきゃいけないのか、よくわからない」と試合運びのまずさを吐き捨てるように語った。「前からプレッシャーをかけ続けたイメージ。監督もそういう風に指示として、勝ちに行こうということだったけど、こうなってしまった」と阿部翔平が話したように、同点で十分ながらも常に攻め続けたことが裏目に出た面もあった。他の選手もみな足早に会場を後にし、藤本などはあまりのショックに報道陣との接触を避けるように裏口から会場を後にした。2度のビハインドから追いつくなど清水に負けず劣らずの粘りは見せたが、早くも今季のヤマザキナビスコカップを終える憂き目にあった。

だが、これで俄然面白くなってきたのが中2日で迎えるアウェイ清水でのリーグ21節だ。4日間で2度対戦という滅多にないスパンでのリターンマッチは、ホームコートアドバンテージも含めて清水が精神的優位に立って臨むことになった。名古屋は楢崎が「ちょっとダメージはデカいですよね」と嘆くほどに大きなナビスコカップ敗退のショックをどれだけ払拭し、反発力に変えることができるか。再び点の取り合いを、とまではいかずとも、プライドとプライドがぶつかり合うような、熱い試合を再び見せてほしいものだ。

以上

2012.08.09 Reported by 今井雄一朗
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