試合後、先に記者会見場に姿を表したアウェイのF東京・ランコ ポポヴィッチ監督は「チームの関係者ではなくて、ただ見ている人にとっては、おもしろい試合だったのではないでしょうか」。続いたホームの仙台・手倉森誠監督も「客観的に見て、楽しい試合をしてくれたと思います」と語った。第三者が見ればそう両者が口を揃えるとおりだったが、「やっている私たちからすれば必ずしもそういうゲームではなかった」(ポポヴィッチ監督)結果で第1戦は終了。両指揮官が悔やんだのは、ミスからの失点以上に、勝負を決める「3点目」を取れなかったことだった。
立ち上がりの時間帯を制したのはF東京だった。ホーム&アウェイ2戦トータルの結果に突破がかかる準々決勝では、アウェイゴールが大きな意味を持つが、30分間で2点を奪い試合を優位に進めていた。主力に負傷者が多く、権田修一と徳永悠平がロンドン行きで不在というチーム状況でありながら、攻守にバランスの取れた試合運びを披露。出足の鈍い仙台の隙間に高橋秀人と長谷川アーリアジャスールがパスを通し、ルーカスのキープや石川直宏のサイド突破も冴えた。16分には相手の連係ミスを誘ってCKを奪い、連続攻撃から渡邉千真が押し込んで先制。30分には石川が「狙いどおりのかたち」という抜け出しで相手の高い最終ラインの裏を取ってゴールした。
結果論だが、F東京はこの時間帯に3点目を取れなかったことが響いた。「あまりこういう言い方はしたくないが、ある程度ゲームを終わらせることができた」とポポヴィッチ監督が分析した「3点目」を、押している時間に決めることができなかった。
逆に、仙台はアウェイゴールを2点取られたことで、気持ちが折れるよりも開き直って猛攻をしかける方向でチームがまとまった。縦横のパスのミスが減り、前への出足が復活。2失点目からわずか2分後、今度は仙台が押しこんでもぎ取ったCKから、田村直也が豪快に蹴りこんで反撃を開始した。
手倉森監督はハーフタイムに引き上げてきた選手達に「よく1点を返した」と言葉をかけた上で、相手のサイドバックがあまり前に出ないことを考慮して自分たちの攻撃の人数を増やす4-3-3にフォーメーションを変更。田村ひとりを中盤の底に置いて相手FWを、その前に配置した梁勇基と松下年宏には相手ボランチを、それぞれ牽制させた。
そして後半は仙台が支配した。相手のボランチのバランスを崩すと、その隙間に50分、田村の縦パスが通る。これを太田吉彰がつないで、最後はウイルソンが正面から蹴りこんだ。試合は振り出しに戻り、仙台はなおも点を狙った。
結果論だが、仙台はこの時間帯に3点目を取れなかったことが響いた。「3点目を取るチャンスはあった」とは田村。F東京が新戦力エジミウソンを投入しても押し返されず、前半と対照的に相手陣内で試合を進め、武藤雄樹や柳沢敦、中原貴之といった攻撃の選手を次々投入。だが勝ち越すことはできなかった。
仙台ホームの試合が2-2に終わったことで、F東京は8月8日のホーム戦では0-0や1-1でも勝ち抜けが決まることとなった。だが彼らの攻め抜く美学からすれば、守りに入るよりも勝利ですっきり決着をつけたいところだ。
一方の仙台は次戦で「勝つしかない」といえる状況。「わかりやすい。やるしかない」(武藤雄樹)。3-3以上の引き分けでもアウェイゴールのルール上は次に進めるが、それに求められる大量得点を取るためには「勝つ」という意識が要るだろう。
今度は「3点目」が取れるのか。そして両者の思惑は8月8日の第2ラウンドでどう結実するのか。今は負傷などで離れていたメンバーが戻ってくるであろうその試合が、今から楽しみだ。
以上
2012.07.26 Reported by 板垣晴朗
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