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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第24節 甲府 vs 松本】レポート:山梨中銀スタジアムで繰り広げたバトル・アンド・ロマンス。甲信ダービーは両チームのサポーターのハートを狙い撃ち。誰にも文句は言わせない。J2リーグ最高峰ダービーは甲信ダービー。(12.07.16)

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前略 城福浩様

負けていれば「いいダービーでした」なんて言えなかったと思いますが、約4000人の松本サポーターと約10000人の甲府サポーターが作り上げた雰囲気の中の甲信ダービーは、「ダービー」という言葉に相応しい闘いでしたね。地勢学上、海なし県同士で寿司屋の数でも競う以外に甲府と松本が争う理由を思いつくことは難しいですが、東京から離れた甲信で自分たちの誇りや名誉を託すチーム同士で熱く戦えたことが嬉しかったです。「J1リーグを支えるJ2リーグの繁栄なくしてJリーグの繁栄なし」のモデルになるような、今のJ2リーグで最高のダービーは「甲信ダービー」だと感じました。松本サポーターから見れば「信州ダービー」の方がしっくり来るのかもしれませんが、今回の対戦で「週末ヒーローJFK甲府Z」を強く意識してくれたでしょう。

今期の松本は先制した試合では負けていないということをご存知でしたか。このジンクスを破ってみたいという誘惑にも駆られましたが、25分にダヴィのPKで先制できましたね。遠くの記者席から見る限りでは誰が誰に何をしたからPKになったのかは分からず、貰えるものは貰っておこうという気持ちで見ていました。しかし、ダヴィがペナルティマークにボールを置いた瞬間、前日練習の様子がフラッシュバックしました。紅白戦形式で戦術やセットプレーの確認をしたあと、1本だけやるPKをダヴィが浮かして外したシーンです。城福監督は「PKは1本だけだぞ」と仰っていましたが、もう1本ダヴィにPKを蹴らせましたね。PKを外したまま練習を終わりたくなかったのだと思って見ていましたが、2本目はバーに当てて外しました。なんとなく嫌な感じでしたが、ダヴィ、決めましたね。ただ、1点は1点で嬉しかったのですが、最初はペナルティエリア内で間接FKになるのかと思っていたので戦況がよく判らないまま先制した気分でした。

流れの中ではクロスを多く入れ、CKも多く獲得しましたがその数に見合った決定機はなく、前半は19分のダヴィのセンタリングとバーに当たった永里源気のシュート(37分)以外は決定機なき主導権という感じでした。4−3−3というスタートポジションに取り組んでから間もない中で選手が徐々に掴んでいることは感じています。前半は永里が長い距離を戻りながら逆サイドで効果的な守備をしていたことも素晴らしかったですね。こういう積み重ねが一定の水準を超えたときに得点力と安定感がグッと高まるものと信じ、期待しています。ただ、後半になって松本が喜山康平を下げ、大橋正博を入れて4−4−2にシステム変更をしてきた反町采配にはやられましたね。甲信ダービー第1試合で食らった玉林睦実から鐡戸裕史のタマテツ・ホットラインに第2試合でも決められてしまいました。この頃からボールに対してプレスが掛かりにくくなりました。走力が落ちたことだけが理由ではないでしょうが、ちょっと走り負けているようにも思いました。城福監督は「4−3−3ではプレッシャーを掛けられないときに、どこに戻ればいいのかまだ分かっていない部分がある」という趣旨の話を囲みで仰いましたが、4−2−3−1に変えてこの部分をカバーされたのだと思います。これは4−4−2をベースに進化していく中で戻る場所があるという部分を見せることができたのだと思っています。井澤惇がドリブル突破で3人を引き寄せ、このこぼれ球を保坂一成がワンタッチで思い切りのいいシュートを打ってゴールネットを揺らしました。甲府サポーターがいる側のゴールに蹴り込んだシュートで、サポーターはまさに感電ビリビリで感動昇天。保坂にとって5年ぶりの貴重なゴールで、次は2017年まで待たないといけないかもしれませんが、多くのサポーターが観測できたことは良かったですね。

新潟時代から反町監督を支えてきたGK・野澤洋輔から2点を取るということは凄いことです。甲府は湘南時代の野澤には何度も泣かされました。ねじ込んだはずのシュートを何度も止められ、掻き出されました。74分のダヴィのシュートもそうですが、逆を取られながらもキャッチする反応の良さは常識が通用しない天賦の感覚。野澤というGKは味方にすれば頼もしいのでしょうが、敵にまわすと本当に厄介です。その野澤から2点を取ったのですから勝利の可能性がグッと高まると思っていましたが、83分に柏好文が2枚目のイエローで退場になってからは逃げ切りを図るラグビーのチームみたいに蹴り出しサッカーにならざるを得なかったですね。城福監督も「ボールにプレッシャーを掛けることは諦めた」と覚悟を決められましたが、適切な判断だったと思います。89分頃に井澤が足を攣らせてしまったときは2人少ない状態になりましたが、トレーナーが「(骨折や靭帯を痛めたわけじゃないのだから)兎に角戻れ」とピッチに彼を戻す様子はちょっと笑ってしまいました。井澤も「(トレーナーは)鬼か?」と思いながらもよく戦いました。試合最後の部分の印象が強く残っている人は、甲府に対してネガティブな記憶を残すかもしれませんが、松本はファイトできる素晴らしいチームで、そこを相手に主導権を取った前半、システムを変えながら対応した後半と甲府の進化を確実に見せることは出来たと思います。それに大橋の正確なセットプレーを起点とする攻撃を凌いだことも収穫です。大橋が90分プレーできるようになれば松本はもっと強くなりそうですね。最後はライブで15曲目の「ももクロ」なみに疲れた様子でしたが、勝利のときにしか出ない特殊なアドレナリンが選手を癒してくれるでしょう。今節の結果、J2リーグの上位は更に混戦になりました。甲府は千葉、東京Vと上位との対戦が続きますが、ちっちゃなオジサンがチームを加速させてくれることを期待しています。

追伸  先日、山手線に乗っているとき、前のスーツマンが読んでいる日経新聞の広告欄に「25万部突破。オリコン書籍ランキング、スポーツ部門6週連続第1位・上昇志向(長友佑都)」という書籍広告が目に留まりました。本って売れれば儲かるのですね。城福浩監督の著書に「Jリーグサッカー監督。プロフェッショナルの思考方」がありますが、負けていられません。次は「夢をかなえる日本男児が心を整えるときは上昇志向」という本でも出しましょう。売れる要素しかありませんが、念のために帯の推薦文は香川真司に書いてもらいましょう。370万部売れるはずです。城福さんは話すだけでいいので、僕に…書かせてください…ごにょごにょ。付け足しになりますが、反町監督は「ももクロ」ご存知ありませんでした。今節は好奇心年齢50代ダービーでもありましたね。でも、来年は甲信ダービーないですよね…。

早々

以上

2012.07.16 Reported by 松尾潤
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