やや鮮度が落ちてしまいますが、前節の山形戦の話を少し。

自分達の戦い方を貫き、首位を撃破した栃木。球際はもちろん、随所に闘志や気迫が伝わるプレーが見られました。その中でも53分の菅和範選手のプレーが、最も印象的だったのではないでしょうか。左サイドからのクロスを跳ね返すために繰り出したダイビングヘッドの低さは、先の南アフリカワールドカップ、ジョン・テリー選手（イングランド代表）の文字通り“捨て身の顔面クリア”に勝るとも劣らないものでした。あのボールへ食らい付く姿勢と執念には、“顔面ブロック”が持ち味である『キャプテン翼』の石崎君も嫉妬したはずです。たぶん……。

試合後のミックスゾーンで「気持ちの入ったプレーでしたね」？と菅選手に話を振ると、「低空飛行ですか？鼻がちょっと（芝に）当たってたんじゃないですかね（笑）。でも、絶対にやられたくなかったのでね。ただ、そこはヘディングで行くべきなのかは疑問ですけど。結果的にクリアできたし、気持ちが入ったプレーが出来たんじゃないですかね」と、少し冗談を交えながら笑顔で話してくれました。「咄嗟の判断ですか？」と記者陣が質問を重ねると、「そうですね。準備は出来ないですから（笑）」。そうですよね。とにかく前半に挙げた１点を死守するために、無我夢中でプレーしたら足ではなく先に頭が出た、というわけです。

悪い流れを断ち切り２連勝を飾れたことに関して、山形のオウンゴールを引き出した廣瀬浩二選手は、「（前々節の）松本戦から皆の気持ちが全然違う」と言います。今節の鳥取戦でも引き締まった、松田浩監督が頻繁に用いる「カチッとした」試合ができるように、選手達はワンプレー、ワンプレーに魂を込めてプレーしてくれるはずです。

以上

2012.07.06 Reported by 大塚秀毅