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【J2:第22節 甲府 vs 岐阜】プレビュー:後半戦はこう戦う。バイタルエリアで躍動感を出すために新たなリスクを背負って挑戦する甲府が、右肩上がりの岐阜を迎え撃つ(12.07.01)

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「鏡よ、鏡よ、鏡さん、もっと点が取れるシステムはなぁ〜に?」
な〜んて、城福浩監督が顔を洗うたびに鏡の中の魔人に聞いたりすることはないが、「システムは4−3−3で、シャドーには崔誠根(チェソングン)、ダヴィは右に置いた方がいいでしょう」、な〜んてことも誰かが教えてくれるわけではない。上手くいけば選手がヒーローになり、上手くいかないときには責任を被る監督とは判断力と覚悟の両方がないと務まらない。そして、なかなかハマり続ける組み合わせもないから、状況に合わせながら勝ち続けることはもっと難しい。対戦相手は、「J2屈指の攻撃力」なんて甲府のことを持ち上げてくれるし、ダヴィ以外にもいい仕事ができる選手も少なくない。しかし、総ゴール数は東京Vより9ゴール少なく、リーグ6位の得点力なので「屈指」という言葉が少しこそばゆい。挙げた31ゴールのうち、16ゴールがダヴィという現状は素晴らしくもあり、「もしダヴィが抜ければ…」という不安材料でもある。後半戦は進化を伴って変わらなければならない。

前半の甲府の戦いを見て、「(F東京監督時代に比べて)長いボール蹴るね」とか「どこがムービングなの?」なんて言葉も聞いたが、そもそもカテゴリーも違うチームで半年足らずで大きく進化できるほどサッカーは簡単ではない。五目並べとは違う。でも、半分が過ぎた今、JFK甲府は新たなステージに立とうとしている。選手の並びで勝負するわけではないが、一番分かりやすい違いはシステム(布陣)、スタートポジションの変化。どんなシステムでもダヴィは――選挙が近い衆議院議員も羨む――当確で、あとは7〜8人の候補がFWとMFのポジションを奪い合う状況。それだけに、決めることは難しいし、選ばれる選手によって活かすためのシステムも微妙に変化する。前節の4−1−4−1は4−3−3でもあるのだが、今は「(山本英)臣のワンボランチ?」、「チェソングンはシャドー?ボランチ?」と甲府の試合をいつも見ているサポーターも迷うような布陣がポイントでもある。この微妙さ加減で主導権を取るためには中盤の3枚ないし4枚の労働力(運動量)と判断・決断がポイントになる。特に、トップ下の選手はシャドーでもあり、ボランチでもあらなければ成り立たないシステム。
 
甲府と岐阜のシステムは4バックなのは同じで中盤の三角形が正三角形か逆三角形かの差だけになりそうなので、中盤の頑張り勝負のマッチアップという戦いになる可能性が充分。甲府の城福浩監督は岐阜について「第16節で対戦(3−0)して以後は、千葉に勝つなど2勝2分1敗。(岐阜が上向きになった)理由を理解する必要がある。ボールを奪った後の狙いが、速攻か遅攻かによってはっきりしていることは特徴の一つ。ここ5試合コレクティブになっている印象がある。しかし、相手対策よりも自分たちがどんなサッカーをするのかという点を後半戦はより強調したい」という趣旨の話をしている。そのなかで一番のポイントはバイタルエリアで躍動感を出すために厳しいエリアでボールを受ける、ボールを出すということへのチャレンジ。このチャレンジにリスクがあることは承知の上。喰いつかせる為ならともかく、安全第一が目的のパス回しは必要ない。「(開幕から)4−4−2をベースに戦い、立ち返るものは少しできたと思う。それなしに新たなチャレンジをしても路頭に迷う感じになってしまう。チームの最大値を出すという作業は選手の成長度合いによっても変わってくる。最大値を出すために立ち位置が違ってくることは自然なこと。2つ目、3つ目のオプションを持てるようにもしたかったし、違う選手が出てくる中で最大値を出せるスタートポジションが4−4−2とは限らない。また、ゴールを揺らす選手のほとんどがダヴィという現状を考えると、ポジティブな意味でも、ネガティブな意味でも次のオプションを探ることは自然なこと」と、後半戦は一歩踏み出した戦いをすることを表明。

岐阜の行徳浩二監督も目先の勝点を欲しがるチーム作りではなく、主導権を少しでも長い時間取れるようなチーム作りを行っており、ようやくそれが結果に出始めたばかり。クラブの経営が厳しい状態に置かれている中、ここ5試合で2勝2分1敗という数字を残せていることはファン・サポーターやスポンサーに対しても大きなアピールとなっているはずだ。この素晴らしい可能性を持つチームを多くの岐阜県民が応援してくれることを願う。新たなステージに行くためにチャレンジする甲府の意欲と背中合わせのリスクに、岐阜のコレクティブなスタイルがどんな展開を生むのか。それぞれの目標を達成するための後半戦の生きる道、生きたい道が見える戦いになるだろう。

以上


2012.06.30 Reported by 松尾潤
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