ヤマザキナビスコカップ予選リーグ最終戦の第7節、勝点9で並ぶ2位Ｃ大阪と4位鳥栖の直接対決は、Ｃ大阪が今季最多となる5得点を奪い、鳥栖に圧勝した。この結果、Ｃ大阪は、仙台、磐田と勝点12で並んだが、得失点差で2チームを上回り、Aグループ1位に浮上。ACL出場でシードされていた昨年に続くベスト8入り、そして、2006年シーズン以来の予選突破となった。

この一戦に臨むに当たって、「決勝トーナメント進出が自力で決まるという、非常に重要な局面での試合」（セルジオ ソアレス監督）を迎えたＣ大阪は、出場停止のケンペス、足の違和感により欠場した高橋大輔を除いて、23日に行われたJ1第15節・F東京戦と同じメンバーを組み、前線に播戸竜二、左サイドバックに丸橋祐介がそれぞれ入って、万全の態勢で決勝トーナメント進出に向けて必勝を期した。

鳥栖のスターティングメンバーの構成、わずか開始2分でDF小林久晃が負傷交代、そのうえ2人の退場者を出したこともあり、Ｃ大阪としては有利な状況が重なったということもある。しかし、桜色のチームは、序盤に相手に攻勢を許した以外、最後まで攻勢をやめることはなかった。
そのきっかけを作ったのは、24分、ロンドン五輪日本代表候補、レフティボランチの一振りだ。「ちょっと前から、播さん（播戸）に、『シュートを打っていけ』と言われていた」という扇原貴宏は、相手DFのクリアボールをペナルティーエリア手前で受けると、左足で無回転シュート。これがゴール右スミの絶妙なコースに決まった。「いいところにボールを持ち出せたし、（左足を）振り抜けて、いいところに入った」（扇原）ゴールで、Ｃ大阪に勢いが生まれた。
前半終了間際にキム ボギョンが自ら得たPKを決めて、2-0で折り返すと、「ここからぬるいサッカーをするな」という指揮官の檄を受けて臨んだ後半だけで、実に20本のシュートを鳥栖に浴びせた。そこで、55分には清武弘嗣のパスを受けた柿谷曜一朗が左足でゴール。この得点で勝負を事実上決定づけると、71分に再び柿谷がペナルティーエリア内での巧みなドリブルから左足で自身2点目を獲得。さらに90分にはCKから藤本康太がヘッドを叩き込み、計5得点。結果的には、この大量点が、仙台との得失点差争いに大きく影響し、Aグループ1位にもつながった。

試合後、「播さん（播戸）、モニさん（茂庭）が、『相手が退場しても気にするな』と、厳しく僕らに言っていたし、退場する前のサッカーを続けようということで、ずっとやれていて、守備も播さんと2人で協力してサボらずできていた」と柿谷は述べていたが、前線からの精力的な守備、そしてタイムアップのホイッスルが鳴るまでゴールを狙った播戸の存在がチームを牽引していたことも、ここで付け加えておきたい。
播戸同様に清武弘嗣も、残念ながらこの試合ではシュート3本を放ちながらも得点ならず。それでも、この日初めて実現した功暉との兄弟対決では「やっぱり落ち着きがあるし、ボールを持って仕掛けるのは上手い」と弟が称えるようなプレーを見せつけた。来る30日、ドイツ移籍前のＣ大阪ラストマッチでは、Ｃ大阪3代目「8番」の勇姿に期待せずにはいられない。

一方の鳥栖は、Ｃ大阪とは対照的に4日前のリーグ戦から大幅に陣容を変更。「次の土曜日のゲーム（札幌戦）も踏まえたうえで、代わって入った選手でも十分にやれるだろうと予想して、今日のメンバーを構成した」と尹晶煥監督も言うように、赤星拓、呂成海の2人以外、フレッシュなメンバーを揃えたが、結果は大敗。クラブ史上初の決勝トーナメント進出は叶わなかった。「ピッチに残った選手は、最後までしっかり戦い続けてくれたことには感謝したいし、この遠いところまで来てくださったファンの方々には、非常に申し訳なく思っている」と述べた尹監督。負傷者や、GKを含めた2人の退場者を出し、3日後の試合にも痛手となってしまったが、「また次がすぐに迫ってくるので、その準備というものをしっかりしていきたい」と、J1の戦いに気持ちを切り替えていた。

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2012.06.28 Reported by 前田敏勝