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【J2:第20節 栃木 vs 横浜FC】レポート:乱打戦を制したのは横浜FC。寄り切られた栃木は4失点で4戦未勝利。(12.06.18)

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3−3からの試合終盤の攻防は紙一重だったかもしれない。スコアだけを見れば僅かに1点差だ。しかし、試合全体を通してみれば、横浜FCと栃木の間には大きな隔たりがあったと言わざるを得ない。「今日のゲームに関しては、横浜FCさんの方がやっぱり力的に上だなと思うようなところが多々見られた」と、松田浩監督は素直に敗北を受け入れた。横浜FCとの力の差に関して、菊岡拓朗はこう話した。
「横浜FCはひとり1人が自信を持っていた。(栃木は)消極的というか、自分がボールを持った時に『何とかしてやろう』というプレーがなかった」。
菊岡と同じことを、指揮官も当然ながら感じ取っていた。ハーフタイムには「絶対に弱気になるな!」と檄を飛ばしている。だが、笛吹けど踊らず。リスクを冒して果敢に仕掛けるシーンは数えるほど。特にアタッキングサードでの質が低く、シュートで攻撃を完結させられなかったことで相手に脅威を与えられず。最後の最後までチャレンジ精神を失わなかった横浜FCに寄り切られた。順位をひとつ下げて13位に後退した栃木は、中位からの脱却を図る機会を再び逸してしまった。

最終的に両チーム合わせて7ゴールが飛び出す乱打戦は、序盤から互いがけん制し、静かに幕を開けた。拮抗した展開は20分過ぎに突如として激しく動き出す。まずは横浜FCが華麗なパスワークからカイオが先制弾。ダイレクトプレーでプレスの網を突き破った武岡優斗と大久保哲哉の連携は、ただただ美しかった。一気に横浜FCに流れが傾くかに思われたが、2分後に栃木が期せずして同点に追い付く。森本良のバックパスの目測をGKシュナイダー潤之介が誤り、オウンゴールが転がり込んできた。

1‐1からの均衡を破ったのは栃木だった。43分、菊岡の超絶FKが炸裂。同点から逆転の流れは6節の千葉撃破を想起させたが、喜びも束の間、5分と経たずに今度はオウンゴールを献上してしまう。後に山形辰徳が「やらなくてもいい失点だった」と振り返った通り、前半をリードして終えていれば風は栃木に吹いていたかもしれない。

迎えた後半の頭、先手を取ったのは横浜FC。佐藤謙介のサイドチェンジから武岡が仕掛けて放ったシュートはGK武田博行がタッチするも、ボールはゴール方向へと転がり大久保が押し込んで逆転に成功する。武岡のドリブルと大久保の執念は素晴らしかったが、栃木としてはサイドチェンジの目測を誤った小野寺達也の判断ミスが痛かった。ミスが重なり勝機が遠退いたかに思われた栃木だが、この日冴え渡っていたセットプレーで振り出しに戻す。CKからニアを抜けたボールが跳ね、ルーズボールに身を投げ出したのはサビア。交代カードが奏功し畳み掛けたかった栃木だが、山口素弘監督が掲げる「粘り強さ」に行く手を阻まれる。気持ちも体力も落ちなかった横浜FCは果敢に縦方向へボールを動かし、じわりじわりと圧力をかける。「多少(体勢が)きつくても縦へ入れられるのは結構嫌だった」と大和田真史が明かしたように、ジャブは有効打となり最終的には野崎陽介の決勝点に繋がった。

横浜FCが前節の敗戦を引きずることがなかったのは、負けても内容に手応えがあったからに他ならない。連勝が止まっても、その間に蓄えた自信が損なわれたわけではなかった。だからこそ、どんな状況でも自分達のサッカーを貫けた。山口監督が浸透させたゴールを奪うためのボール保持は、堅守で鳴る栃木の守備ブロックを翻弄し、先制点のシーンではそれが顕著に見て取れた。連敗することなく、「アウェイで最終的に3失点しても勝てたのはデカイ」(大久保)。横浜FCが先頭集団に加わるのに、それほど時間は要しないはずだ。そう断言できるほどに強い。

前節、北九州から持ち帰った勝点1を生かせず、栃木は4戦勝ちなしとなった。勝てない理由は明白だ。相手に先制点を奪われているからである。後追いの展開は、どうしても分が悪い。最低でも前半を無失点で乗り切らなければ、今後も苦戦が続くだろう。堅守を取り戻すことが先決だ。攻撃面に関して言えば、「もう少し落ち着いてやれるところでしっかりやらないと、チームとして前に行けない」(菊岡)。奪ったボールの扱い方が雑なため、簡単に相手にボールを譲り渡してしまっている。勝てない中での焦りが技術の低下を招いているのかもしれないが、逸る気持ちを抑え、冷静さを持って丹念にボールを扱いたい。自動昇格圏内の2位以内は霞んで見えない。プレーオフ圏内の6位以内が現実的。そこを目指すには、前半戦を最低限イーブンで折り返したい。現時点で負け越している栃木とって、次節の松本戦は極めて重要な意味を持つ一戦となるはずだ。

以上

2012.06.18 Reported by 大塚秀毅
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