「浦和戦はとにかく、まずは気持ちで負けない戦いをする。そのためにも、90分を通して相手が嫌がるくらい、しつこいくらいの気持ちの強さと迫力を出してプレーしたい。あとはこの中断期間、石垣島キャンプも含めてしっかりと追い込む中で積み上げて来たものをピッチで出すだけ。言葉にはしなくても、誰もが“ゲーム”に飢えているし、巻き返してやるんだという強い気持ちを抱いているはず。それを結集させれば強い力になる。」
約3週間ぶりに再開するJ1リーグ戦を前に胸の中に渦巻く思いを一つずつ紡ぐように話してくれたのはガンバ大阪のDF中澤聡太だ。
G大阪のここまでの成績は2勝3分7敗の16位。毎年のようにJ1リーグの優勝争いを繰り広げて来たことを思えば、この数字は決して胸を張れるものではないだろう。だが今、チームに求められるのは、終わった結果を嘆くことではなく、ここから先の戦いで勝点3を積み上げていくために前を向くこと。実際、冒頭のDF中澤の言葉にもあるように、1週間弱の日程で行った石垣島キャンプを含めたこの中断期間では日本代表のMF遠藤保仁、DF今野泰幸は不在ながら、チームとして同じ意思統一のもとで身体を追い込み、更なるパワーアップを図るべくトレーニングに取り組んだと聞く。もちろん、その中では現在チームが抱える攻守にわたる課題の見直しもしっかりと図ったようだ。
「石垣島では集中した環境のもとでハードな時間を過ごしたが、選手の意識も高く、日々、疲れた身体にムチうつように身体をいじめ、再開後の試合への気持ちを見せてくれた。そのトレーニングではこれまでの失点の見直しや攻撃における課題も含めて、具体的に数字を示しつつ、短い時間ながら多くのことを積み上げられたと思う。それを今後のピッチでどれだけ発揮できるか。再開後、初戦の浦和戦はある意味、今季一番ともいえる大事な試合。全員で結果を獲りにいきたい」(松波正信監督)
だが、そう簡単ではないことは誰もが百も承知だ。なぜなら、迎え撃つ相手は過去に数々の激戦を繰り広げてきた浦和レッズ。しかもその浦和を今季から率いるのは、元サンフレッチェ広島監督で、G大阪も幾度となく苦しめられたペトロヴィッチ監督だからだ。実際、今回の対戦について、G大阪の選手は単に『対浦和』のみならず、同監督が嗜好する攻撃サッカーへの警戒を強めており、「チームスタイルがはまれば攻撃力が爆発することも考えられる。だからこそ自分たちは前線の選手に気持ちよくサッカーをさせないようにしなければいけない」と前述のDF中澤は語気を強める。確かに、今季の浦和は今のところ、同監督が広島を指揮していた時のような爆発的な攻撃力を示している印象はあまりないが、前線にボールが入る回数が増えれば、個の能力としても高い選手たちがしっかりとゴールにおさめてくる可能性は高い。また経験豊富な選手も多い中で、例えば12節の清水戦のような相手のストロングを逆手にとり、相手のハイプレスの背後を徹底して突くような、試合巧者にたったゲーム運びが出来るのも浦和の強みの1つだと言えるだろう。
そのあたりの浦和のゲーム運びの巧さも踏まえてG大阪としては、予想されるハードな攻防戦を制することができるか。ホームといえども、あまりにも前へ、前への攻撃サッカーは、逆に浦和にロングボールで背後をとられ、DFラインに揺さぶりをかけられることも十分に考えられる。これらを頭に入れた中で、この中断期間に積み上げて来た『新たな力』を、中断前には示し切れなかったG大阪らしい攻撃力をしっかりとピッチで示して欲しい。
以上
2012.06.15 Reported by 高村美砂
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