ヤマザキナビスコカップでは無傷の4連勝で、予選突破まであと勝点1に迫った清水と、すでに予選敗退が決まった大宮。対照的な状況にある両チームだが、この試合が、リーグ戦も含めた今後の戦いに向けて重要な試金石となることに変わりはない。
ホームの清水は、水曜日の札幌戦で大前元紀をセンターフォワードに起用するという新たな形を試み、4-0の快勝を果たしている。中断前のリーグ戦で3試合勝利がない中、「相手に研究されてサイド攻撃を抑えられたときに、中央を突破する方法が不足していた」(小林大悟)という課題が浮き彫りになったが、大前の新たな起用法も、その対策の一環である。
今回は久しぶりに少しインターバルが空いた中で、アフシンゴトビ監督も「相手の守備を崩すために、選手たちがもっと仕掛けて突破していくこと、コンビネーションを使って相手の裏をとること、そしてラストパス、ラストタッチの練習も多くやってきた。元紀をセンターフォワードで使うこともオプションのひとつ」と語っている。この形が今後のスタンダードになるとは限らないが、相手や試合状況によって使えるオプションのひとつになることは、札幌戦の手応えを見ても間違いなさそうだ。
大前本人も「自分は高さがあるわけじゃないし、他の人とは要求が違うと思う。DFラインと中盤の間やギャップでボールを受けたり、裏を狙ったりして持ち味を出していきたい」と語っている。
それに対して、鈴木淳監督が5月末で解任された大宮のほうは、岡本武行監督代行の下で、三浦俊也監督時代のような4-4-2のコンパクトな3ラインを敷いたゾーンディフェンスに戻し、水曜日の神戸戦ではそれが機能して1-0で勝利している。当然、今回も同様の守り方をしてくるだろうが、それは清水にとってトレーニングの成果を試す意味で絶好の相手となる。今度も大前が中央に入るかどうかはわからないが、どんな形になったとしても、大前が言うように相手のコンパクトな守備ブロック(ゾーン)のわずかな隙間でボールを受けることや、裏を狙ってDFラインを下げさせることは、大宮のような守備を崩すために欠かせない。
逆に大宮にとっても、リーグ戦でも上位を走る清水に対して、今の守備が通用するのか、今後の課題や手応えを確認するために絶好の戦いになる。清水がブロックを崩す回数を増やせるか、大宮がそれを許さない隙のないブロックを築けるか。この試合最大の見どころになるだろう。
戦力面では、清水のほうはオーストラリア代表のアレックスとケガの岩下敬輔を欠いているが、その他に大きな問題はない。札幌戦では、長期のケガから復帰した辻尾真二が今季初出場を果たし、小野伸二、枝村匠馬、八反田康平らも復帰が近づきつつある。そんな中でゴトビ監督は「(ナビスコの2試合では)若い選手に経験を与えること、2試合とも勝つこと、そして全員がフィジカル的に良い状況を作ることという複数の目標がある。だから、水曜日と土曜日に誰が出るかということを賢くやらなければならない」と語っている。当然、リーグ戦のレギュラー陣と、若手やベンチ組、復帰組らが融合した形になるだろうが、その中でどんな化学反応が生まれるかという部分も楽しみなところだ。
一方、大宮のほうは、ボランチの青木拓矢と左サイドバックの下平匠が出場停止となったのは、かなり痛い部分。その他にも、センターバックのキム ヨングォンが韓国代表に選ばれ、DFの坪内秀介と村上和弘は負傷中で、守備陣が手薄になっている。だが、青木と下平の代わりに入った選手が守備の戦術に忠実なプレーができれば、神戸戦のような戦い方はできるはず。それをベースに、攻撃陣が神戸戦以上のプレーを見せられるかどうかがカギとなるだろう。
清水としては、引き分けでも予選突破が決まるが、ここ2試合アウスタで勝ち切れていないだけに、この試合は「勝って予選突破をしたい」(大前)ということしか考えていない。大宮のほうも、引き分けを狙う必要はない立場なので、勝利だけを目指して積極的なチャレンジをしてくるはずだ。そうした諸々の要素を考えると、観る者にとってもかなり楽しい試合になることは間違いなさそうだ。
以上
2012.06.08 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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