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【AFCチャンピオンズリーグ2012 アデU vs 名古屋】レポート:アデレードの守護神の前に名古屋の攻撃陣が沈黙。敵地での16強の壁はまたも破れず、3度目のアジア挑戦はここで終了に(12.05.30)

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3度目の挑戦も道半ばにして終わった。一発勝負のラウンド16は、アウェイゲームでしかも数名の主力を欠くなど、チームが置かれた状況まで昨季そっくりだった。せめて結果は逆にできればよかったのだが、結果は約17時間の長距離移動が心身に堪える敗戦となった。

名古屋のチーム状態に、前戦からの改善点などもちろんなかった。ダニルソンを筆頭にボランチの選手が軒並み負傷欠場し、中盤の守備専任は不在。その対応策として3日前のリーグC大阪戦では田口泰士をアンカーに置く4-3-3を採用したが、いいところなく敗戦したことでストイコビッチ監督はまたも布陣変更を決断した。DFラインを田中マルクス闘莉王、ダニエル、増川隆洋の3名で構成し、その前に田口と藤本淳吾を並べ、高い位置を取る両翼には右に小川佳純、左に阿部翔平を起用する3-4-3である。3トップを含め、フィールド10人がすべて攻撃的なメンバーには、指揮官の「前へ出て得点を奪う」という気合が十分に感じられた。

対照的にアデレードのメンバーは名古屋とは逆にほぼ不動。フォーメーションは長身ながら小技の利くファイフをアンカーに置く4-1-4-1で、右の攻撃的MFには技巧派のヴィドシッチ、左には突貫型のドリブラー・ラムゼイを配置。運動量と守備的な貢献度の高いカラヴェラ、バービエロらインサイドハーフたちとのバランスもよく、キープ力のある1トップのジテを合わせた前線の連係も実に緊密である。つまり、代える必要がないほどに完成度が高いというわけだ。

キックオフからの序盤で、まず名古屋が苦しんだのはピッチの芝の長さだった。明らかに日本よりも長く、パスやドリブルのスピードが上がらない。それゆえビルドアップにしてもチェンジオブペースにしても、名古屋のパスは単調なものになり、相手のプレッシングの効果も増大。さらにアデレードはセンターライン付近に緊密な守備ブロックを形成し、名古屋の前線と後方を分断することに成功していた。その中盤ブロックはさながら壁。名古屋はDFラインから、その壁を超えるようなロングボールを蹴るしかなかった。

それでも徐々に環境に慣れ、縦パスを有効に使えるようになってくると名古屋は盛り返し始めた。主に左サイドを起点に形を作り、33分には阿部のクロスにケネディが渾身のヘディングシュートを放つ。これは相手GKガレコヴィッチのスーパーセーブに遭い、惜しくも得点はならなかったが、続くCK、そして36分に玉田、39分に阿部と惜しいチャンスを作るなどしてペースを握り返した。

だが、好事魔多し。攻勢の一瞬の隙を突かれて、アデレードが先制点を挙げたのだ。42分、アデレードにとってこの日初めてのCKからボーガードがほぼフリーの状態でヘディングシュート。これが名古屋DFに当たってこぼれたところを、最後はまたもフリーのマケインに押し込まれた。ようやく流れをつかみかけたところでの失点は、まさに痛恨。その上2人の選手をフリーにしてしまったことは、悔やんでも悔やみきれないミスだった。

これで否が応にも前に出ざるをえなくなった名古屋は、後半開始から玉田に代えて金崎夢生を投入したが、前半同様に相手の中盤守備ブロックを崩す動きが前線の選手に見られず、攻撃の効果が上がっていかない。90分を通して名古屋に最も多く見られたのは、3人のDFラインが互いに横パスを回し合い、前へのパスコースを探す姿だった。後半10分過ぎにはボールをキャッチしたGKの楢崎正剛が、パスを送ろうにも送れずに激昂する姿も見られた。ストイコビッチ監督は会見で「前線に問題がある」と語ったが、確かにこの日の前線には、ボールを引き出す動きというものが欠けていた。後半には63分の増川、67分のケネディと名古屋に決定機が生まれたが、またもガレコヴィッチがファインセーブを披露。特に遠めのFKをうまくフリックオンした増川のシュートを止めた場面などは、前半のセービングと並ぶこの試合のハイライトだ。名古屋の敗因、そしてアデレードの勝因には、間違いなくガレコヴィッチの活躍が大きな割合を占めている。

その後、名古屋は田口に代えて田中隼磨、永井に代えて田中輝希を入れて最後の勝負に出たが、C大阪戦同様に闘莉王を前線に上げるようなパワープレーはなし。闘莉王はボランチの位置に上がってゲームを組み立てたが、最後の局面になってもFWとして得点を狙う姿は見られなかった。チームは75分と76分の決定機も決めることができず。ラストプレーとなった藤本の直接FKではガレコヴィッチを出し抜くことには成功したが、シュートは無念にもポストに弾かれ、敗戦のホイッスルを聞いた。

名古屋からしてみれば、ガレコヴィッチひとりにやられた感覚もあるだろう。内容は良くはなかったが、前後半で少なくとも6度の決定機は作った。それもシュートをミスして決まらなかったのではなく、普通ならば入っていてもおかしくないコースを防がれたのだ。前半のケネディ、後半の増川のシュートなどは特にそうで、この2本が決まっていれば勝者は変わっていたかもしれない。ストイコビッチ監督も「今日のアデレード・ユナイテッドのGKはファンタスティックなプレーを見せた。今日の試合のMVPだ」と脱帽するほどに、アデレードの守護神は神がかっていた。

これで名古屋は公式戦3連敗となり、2シーズン続けてアジア挑戦は16強の壁を破れずに終わった。「1点を取られたのは問題だけど、跳ね返す、取り返す、全ての面でネガティブすぎた」と語ったのは楢崎だ。国内外を問わず、現在の名古屋は悪循環の最中にある。その打開策、あるいは特効薬があるのかはわからない。指揮官は「我々はこれからハードなトレーニングをしっかりとこなして、前を向いて信じていく」と話し、まずは前線の改善に取り組むことを宣言した。チームは1週間ほどのオフの後にミニキャンプで再始動する。昨季も、一昨季も名古屋は6月の中断明けから見違えるような動きを見せた。この悔しさをステップに変え、“例年通り”となる今後の巻き返しに期待したいところだ。

以上

2012.05.30 Reported by 今井雄一朗
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