アウェイ仙台でのショッキングな大敗から5日。名古屋はさらなる苦境の中でリーグ序盤を締めくくる一戦に臨むことになった。4失点を食らった仙台戦で中盤守備の要・ダニルソンが負傷退場し、診断結果は右ひざ内側側副靭帯損傷で全治3週間。彼の代役の一番手である吉村圭司も同試合で右のハムストリングを痛め、こちらも全治2週間の診断を受けた。先より中村直志と磯村亮太が負傷欠場していたチームには、これでボランチをこなせる選手がいなくなってしまった。C大阪とのホームゲームが終われば、名古屋はすぐさまオーストラリアに飛びAFCチャンピオンズリーグのラウンド16を戦う。当然ここにもボランチは不在のため、この試合で現状メンバーでの最良の形を見つけ出すことは至上命題。もちろん、リーグ戦連敗を避け、仙台でバスを囲んでまで抗議したサポーターたちの信頼を回復する意味でも、負けることなど許されない。
では具体的にはボランチ不在の穴をいかにして埋めるのか。ストイコビッチ監督はあくまで攻撃的姿勢を貫くことを、水曜日のトレーニングで表明した。ダニルソンという怪物的なボランチがあって成立する4-3-3のアンカーシステムを継続、しかもアンカーに任命されたのは3年目の攻撃的MF、田口泰士である。フィジカルコンタクトを厭わない闘争心あふれる選手ではあるが、彼の持ち味は守備力ではない。ボールさばきとゲームメイク力を買われての起用と思われ、現に指揮官からも「ボールを展開して、ローゾーンとハイゾーンのプレーの選択をしっかりやれと言われました」(田口)とアドバイスを受けたという。インサイドハーフには藤本淳吾が体調不良で練習を休んだこともあり、小川佳純と玉田圭司が入ったことも攻撃的な姿勢をより強調する部分だ。小川は「タマさんはより攻撃に専念させた方がチームのためになる。僕が守備的にプレーするわけじゃないけど、気を利かせてやりたいと思います」とバランサーとしての意識を高めていた。藤本が戻った場合にインサイドハーフをやるのか、あるいはアンカーをやるのかはわからないが、いずれにせよ今節の名古屋が守りに入ることはないといえる。
対するC大阪は、攻撃陣がどのような編成となるかが注目点か。まずは前節を体調不良で欠場したキム・ボギョンが復帰するか否か。現在得点ランク2位の7得点を挙げている点取り屋の存在はやはり大きい。また今節では扇原貴宏がU-23日本代表のトゥーロン国際大会のため不在。攻撃のスイッチ役を欠くという意味でも、キム・ボギョンの復帰は望まれるところだ。ドイツ移籍を決めた清武弘嗣との日韓代表コンビが見られるのもあとわずか。名古屋としては厄介極まりない選手たちだが、魅力的なサッカーの担い手としては期待も高まる。今季、チームに復帰した“天才”柿谷曜一朗のプレーにも注目しておきたい。その才能の大きさは、ボールタッチを一目見るだけでわかるはずだ。
今回の対戦の趨勢を左右するのは、やはり名古屋の守備となってくる。特に攻撃的MFに好選手を揃えるC大阪を相手に、急造の3センターが適切に対応できるのか。清武、キム・ボギョン、ブランキーニョというテクニシャンたちの突破を、田口や小川、玉田や藤本らがどのように対処するのかは見ものだ。小川は「ボールをキープして守備の時間を短くすれば問題ない」と語ったが、多かれ少なかれ守備の機会は当然ある。サッカーセンスに優れる面々ではあるだけに、うまく組織で対応する術を見出せればしめたもの。そこがクリアになれば、攻撃面での期待感は大きくなる。前線にはケネディ、金崎夢生、永井謙佑が待っており、攻撃陣の絶対数はいつもより多い。守備から攻撃にスムーズにつなげることができれば、より魅力的なオフェンスが実現できることも十分に考えられる。
最後にサプライズの予想を。ストイコビッチ監督のこれまでの采配を振り返れば、試合当日のひらめきでメンバーを決めることも多々あった。そこで浮上するのが、田中マルクス闘莉王のアンカー起用だ。昨季にも一度試した秘策のひとつで、浦和時代にはボランチでもプレーした経験もあり、そのゲームメイク能力は本職顔負けだ。いずれにせよ、名古屋にとっては序盤戦最後にして訪れた正念場であり、なりふり構わず前に出る姿が見られることは間違いない。ハイリスク、ハイリターンは望むところ。オープンかつアグレッシブなゲーム展開となることは、期待していてよさそうだ。
以上
2012.05.24 Reported by 今井雄一朗
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