北九州は1990年の「とびうめ国体」に合わせて建設された本城陸上競技場をホームスタジアムとしている。
この本城、今年もすでにプレビューやレポートで何度となく雨だ、風だと書いてきたように、どうやら雨が多い。あんまりにも書きすぎたので、そろそろ怒られるんじゃないかと思う。でも、それにしても、やっぱり、雨が多いように感じてしまう。
だけれども、口先ばかりで本当に多いのかを今まで検証したことがなかった。そこで、(自分の拙稿を正当化する意味でも)その実態に迫ってみたいと思う。そして雨が本当に多いのならば、考え得る対策も示してみたい。
題して「本城の雨。その傾向と対策」。
この企画(?)に、各分野の専門家が快く協力してくれた。何回かに分けて紹介していく。
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第1回目は、ずばり、本当に本城は雨が多いのか。これで「多くない」となったら企画倒れであるが、いきなり本論に突っ込みたいと思う。
話を伺ったのはJリーグと共同で観戦者調査をしたり市民意識調査を行っている北九州市立大学の南博・准教授(都市政策)。本城には黄色いレプリカユニフォーム姿で登場することもあるほか、アウェイ会場にも訪れて、観戦者動向や市民とクラブとの関係などを多角的に分析されている。
その南准教授に取材をお願いしたところ、多忙中にもかかわらずいくつもの資料を制作してくださった。この場を借りてお礼申し上げたい。
まずは昨季のホームゲームでの悪天候率。これが企画が成立するかどうかの肝でもあるが、結論から言えば「やはりホームでの降雨試合は多い」(南准教授)。詳しくはグラフを見ていただきたいが、北九州はホーム19試合中、公式記録上は5試合が雨や霧などの悪天候。それだけでなく、試合開始前まで雨が降っていた試合があったり、開幕戦から土砂降りだったりと、数字以上に雨が印象に残るシーズンだった。ちなみに今年も開幕戦は雨。初っ端が雨になったのは3年連続だ。
南准教授が指摘したのは、雨の多いチームと入場者数の関係。記録上、北九州よりも雨に見舞われていたのは、水戸、草津など6クラブ(6試合)だが、そのほとんどが晴天時でも観客数が伸び悩んでいる。一方で北九州市からも近く、そもそもある程度の観客数が見込める鳥栖は、なんと1試合しか降られていない。「もともとお客さんが少ないところを狙って雨が降っているかのよう」と南准教授も首をかしげる。
本城に雨が多いと思わせる要因はもう1つある。それは2011年になって極端に雨の試合が増えた点だ。JFL時代にまでさかのぼるが、2008年は17試合中、雨は1試合のみ。2009年も同様で、「雨率」は5.9%にとどまる。しかも、2009年の記録上の雨試合は後期第7節の鳥取戦(8月15日)だが、当日現場にいた私は雨を記憶していない。
J2加入後の2010年も2試合のみで、雨率は11.1%。それが昨季は5試合に急増し、26.3%の雨率となった。今季もここまで2試合が雨。試合中は晴れたが午前中までは暴風雨に見舞われていたという日もあった。
雨が降ると「入場者数が減少する傾向にある」と南准教授は指摘する。昨季の晴天時の観客数は平均で4,327人だが、悪天候時は3,279人とおよそ1,000人、率にして24.2%も少ない。今季も第15節終了時点で悪天候時は22.0%、入場者数が減っている。
屋根がなかったり駐車場が遠いといったハード面が入場者数に大きく影響していると考えられ、南准教授は「子ども連れや女性が行きにくくなる。観戦経験が浅い人にはつらい環境」と話す。対策として「着替えのスペースを確保したり、雨を逆手にとったインセンティブがあってもよいのでは」とソフト面の充実を訴えている。
ということで、本城はやはり雨が多く…というか、多くなってきていることがわかった。企画倒れにならなかったので、南准教授が提起したソフト面での取り組みについては、いずれクラブにもアイデアを伺うことにしよう。
気になるのは、雨が多い根本的な理由だ。そこで次回は、気象予報士の資格を持つ熱烈な北九州サポーターに、北九州の気象傾向について伺うことにする。ご期待くださいませ。
以上
2012.05.23 Reported by 上田真之介
J’s GOALニュース
一覧へ【J2日記】北九州:<連続企画>本城の雨。第1回「で、雨は多いの?」(12.05.23)
「2011年はアウェイでは雨が1試合だった」と話す北九州市立大学の南博准教授。「雨男・雨女がいるとすれば、(アウェイ遠征する)監督や選手ではなく在北九州の誰かでは?」
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