本文へ移動

今日の試合速報

国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋
国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋

J’s GOALニュース

一覧へ

【AFCチャンピオンズリーグ2012 城南 vs 名古屋】レポート:名古屋は勝点1を拾ったのか、勝つチャンスを逃したのか。グループGの勝負は最終節・三つ巴の戦いに発展した(12.05.02)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
結果への評価が、人によって大きく分かれる試合となった。アウェイでの勝点1を最低限と取るか、及第点と取るか。基本的に劣勢だったから同点を良しとするか、それとも決定機の数からして勝てたと悔やむか。はっきりしているのは試合後の選手たちがみなうつむき、不満げな表情を浮かべていたこと。そして名古屋の自力でのグループ1位突破がなくなったことだけだった。

首位攻防、そして1位通過には勝利が必要だった名古屋は、ここ2戦で導入し結果の出ていない3バックに見切りをつけ、慣れ親しんだ4バックに布陣を戻して臨んだ。前日会見で選手の入れ替えを示唆したストイコビッチ監督は、宣言通り増川隆洋と玉田圭司の2名をベンチスタートとすることを決断。4バックより前の構成も藤本淳吾を得意の右サイドハーフに置き、逆サイドを小川佳純、そして金崎夢生と永井謙佑を2トップとして起用するなどマイナーチェンジを実施。これはここ数試合ピリッとしない選手たちへの刺激として課したものだと想像できる。Jリーグ屈指の個人能力を誇る集団に最も必要なのは、プレーに対する新鮮さと緊張感だからだ。

それは韓国屈指の強豪である城南一和も同じだったのだろうか。確かに前回対戦から2ヵ月という期間は長かったが、その時と布陣・メンバーともに大きく変わっていた。3月の対戦時と同じポジションにいるのはセンターバックのオグネノブスキ(背番号4)と右サイドバックのパク・チンポ(背番号6)、ボランチのキム・ソンファン(背番号16)のみ。左サイドバックだったホン・チョル(背番号12)はサイドハーフへポジションを上げ、その位置にいたハン・サンウン(背番号11)は1トップにいた。前線の核だったエヴェルトン、エベルチーニョ、ヨバンチッチの3名は負傷などもあり、エヴェルトンがベンチにいるのみ。しかし申台龍監督が選んだ11人は、キックオフから猛烈な勢いで名古屋を圧倒してみせた。

キックオフ直後の攻撃をいきなりゴール前まで展開し、若いユン・ビッカラム(背番号14)がシュートに持ち込む。名古屋は楢崎正剛の好セーブで難を逃れたが、ここで得たCKも惜しいシュートにつなげるなど城南一和は最高の入り方をした。名古屋はホン・チョルを筆頭に激しくボールを奪いに来る城南の勢いに押され、イージーなミスを連発。フィジカルコンタクトでも劣勢に回ると、ファーストシュートは8分を待たねばならないほどに押し込まれた。

そして12分、ペナルティエリア前で与えたFKをハン・サンウンに豪快に決められ、名古屋はアウェイで早々にビハインドを背負う厳しい状況に。その焦りからか、普段あれだけ落ち着いた組み立てを見せる名古屋の攻撃のベクトルが定まらない。田中マルクス闘莉王は試合後に吐き捨てるように言った。「わからない。どうしたらいい? オレらが支配しているのに、あの前半は」。ベンチで見ていた玉田も同調した。「前半は中盤がなかった。ボールを回そう、もらおうという意識がなかった」。ケネディがいればそれでも前線へのハイボールという起点を無理にでも作れるが、いない現状では堅実なビルドアップすなわち土台作りは必要不可欠なもの。それが欠けていた前半がうまくいかないのは必定だった。

しかし名古屋でただひとり、「悪くなかった」と言う選手がいた。藤本である。左足のテクニックを100%発揮できる右サイドのポジションを得たことで、このパートでの攻撃は確かに威力を発揮していた。精力的にデコイラン(囮の動き)を繰り返してくれる田中隼磨を効果的に使いながら、テクニカルなドリブルで目の前のマーカーを翻弄。「切り返せば何回でも食いついてくれる」相手を次々とかわし、チャンスを作り出していた。その好調ぶりは「個人的には楽しかった」と言うほど。名古屋の右サイドだけは相手の脅威となっていた。

それを受け後半、名古屋は強攻策に出る。玉田を阿部翔平に代えて投入し、田中隼を左サイドバックに、小川を右サイドバックに移行。田中隼は名古屋移籍直後の練習試合などで経験したのみというポジションである。とにかく前線にゲームメイカーを、そして攻撃的な選手を増やそうという意図が見て取れたが、一方で阿部が昨年来抱える目の持病による自主的な交代という側面もあった。目がかすみ、ボールが見えなくなるという症状で、「正直、感覚でやってるところはありました。左サイドバックだからできる部分はある」とのこと。陰のゲームメイカーが今後も不在となればチームにとっては大打撃。早期の回復を祈りたい。

さて、試合は徐々に打ち合いの様相を増していった。前がかって攻める名古屋の勢いを、城南が見事なパスワークでいなし、カウンターでけん制する構図は後半開始から数分は続いたが、時間の経過とともに城南一和の様子に変化が生まれてきた。前半からの精力的なプレスにより、城南の選手たちは想定以上に体力を消耗していたのである。それに伴い名古屋は支配力を取り戻し、同点への流れが生まれていく。執念の得点が生まれたのは72分、藤本が中盤から長いドリブルで前線へボールを運び、DFを引き付けて右サイドの小川に渡す。小川がダイレクトで中央に速いクロスを送ると、走り込んだ玉田の前でDFに当たり、ボールはゴールマウスの中へ飛び込んでいった。形はオウンゴールだが、相手を後ろ向きに走らせたからこそ生まれた得点であり、それはようやく効果的な攻撃を名古屋が繰り出したということの証明でもあった。

その後、82分、83分、88分、89分、そしてアディショナルタイムにも2度、決定機を作った名古屋だったが、逆転するまでには至らなかった。このうちゴール前フリーでシュートを放ったダニエルと、俊足でDFをぶっちぎってGKとの1対1となった永井のチャンスはまさに“決定機”だったが、ともにシュートは枠の外へ。この試合終盤の猛攻があったがゆえに、名古屋にとってのこの試合は後味として微妙なものになってしまった。前半のやられ方では勝点1も御の字、しかし勝つチャンスは十分にあったのだ。

この結果を受け、ここまで混戦模様だったグループGの戦いは最終節までもつれこむことに。1位城南一和と2位名古屋が勝点7、3位セントラルコーストが6で追う状況は、グループ突破ということだけを考えれば名古屋と城南一和が有利な立場にある。最終戦は引き分け以上でOKだからだ。しかし名古屋は自力での1位突破がなくなり、すべては城南一和の結果次第。おまけに名古屋の最終戦の相手はセントラルコースト(5/15@瑞穂陸)ということで、負ければ3位に転落してしまう恐れもある。城南以上にフィジカルが強く、アウェイで苦戦を強いられた相手はモチベーションも十分で、タフな試合になることは必至。そのためにもまずは本来の強さを取り戻すことが先決だ。2週間の“準備期間”で名古屋の大変身に期待したい。

以上

2012.05.02 Reported by 今井雄一朗
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/08/05(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田J2リーグ全ゴールまとめ【0803-0804】