ルーキーの初ゴールはいつだって待ち遠しい。
第11節・草津戦でＪ初ゴールを決めたのは、流通経済大から今季加入した関戸健二。甘い顔立ちもさることながら、クレバーで臨機応変なプレー、最後まで落ちない運動量でファン・サポーターを魅了している。ゴールは同点に追いつかれた前半43分。ハーフウェイライン付近でボールを奪い、ドリブルで前線に持ち込んで華麗に勝ち越しのゴールを決めた。

試合後、「ピッチが濡れていたので、低いボールをと思っていました。ＧＫがこぼしてくれたらチャンスかなと思っていたんです。運が半分ですね。入っちゃった、という感じでしたが、みんなが喜んでくれてうれしかったです。今まで数多くのチャンスを決められなかったけど、ようやく。サポーターの皆さん、これからもよろしくお願いします」と話した。しかし、さらに報道陣からつっこまれると、「今まで決まらなくてもあまり気にしていなかった」と言う。
影山雅永監督は以前、「関戸健二はしつこい。松本戦の後に、自己評価を聞かれて１００点満点中の３点ですって答えながら、それでも飄々とやってる。しぶとい」と褒めていたが、なるほどこのしなやかな若者は、しぶとい筋肉としぶといメンタルでできているようである。

関戸健二と特に仲が良さそうなのは、同じ22歳で今季新潟から期限付き移籍で加入したＦＷ川又堅碁だ。川又の第６節・アウェイ徳島戦でのゴールが決まった時、関戸は川又以上に喜んでいた。「ケンゴの岡山での初ゴールだったから」と関戸。その後、関戸にもゴールチャンスはいくつかあった。決定的だったのは、第９節・鳥取戦のゲーム終盤だ。ペナルティーエリア付近で川又から絶妙のパスを受けたが、決めることはできなかった。川又は「別に俺、あのまま１人で行きたかったんですけど、完全にお膳立てしてあげよかなって。ケンジには、決めろよっ！って言いました」

桑田慎一朗がこう話していたことがある。
「いいパスが来ると、『来たッ！』って思ってしまう。パスを考えてる時のほうが周囲は見えてるんですよね。シュートはあんまり気負わない感じでいってみようかなって」。昨年のルーキー・石原崇兆も昨年10月の初ゴール後、「決まってみれば、あっさりでした」と話していた。応援するチームのゴールは、選手の逡巡も垣間見えるから、なおおもしろい。

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2012.05.01 Reported by 尾原千明