《前編はこちら》
旅にトラブルはつきもの。それをどう乗り越えるか次第で楽しさも増す。船の欠航をプラスにとらえ、道中の車内ではインタビューに専念することにした。
Jリーグのクラブの中でも歴史の浅い熊本ではあるが、ロアッソくんはマスコット界では比較的キャラクターが立っている存在である。特に試合前のスタジアムでは、ホーム、アウェイ問わずサポーターとフレンドリーに接しているし、コミカルな振る舞いや様々な工夫でコンコースとスタンドを盛り上げてくれる。聞けばそうした行動もほとんど自発的なものらしい。たとえば対戦相手のマスコットが鳥をモチーフにしたものであれば、どうにかしてぬいぐるみを手に入れ、鳥かごに入れてゴール裏に持って行くなど、必要な“小道具”の手配も怠らない。昨季の最終節でウィントスくんに渡した「J2卒業証書」など、自分で用意できなければ大人の知人に制作を依頼してでも用意する。「やっぱり、サポーターの皆に喜んでもらうことが、ボクの役割だからね」
今回の愛媛遠征に関しては、100m競争に参加することを踏まえて前節(第8節)のホーム・松本山雅戦前に行われた400m競争「2012シーズン・馬男は誰だ!?」というイベントに出走して足慣らし。途中、足を痛めてレースを棄権、担架で運び出されたが、これについては「足は大丈夫。ちょっと一平くんを挑発しようと思ったんだ」と真意を明かしてくれた。
ほかのクラブのマスコットとは、試合前のイベント等での出会いをきっかけにネットワークを構築している。イベントの合い間には、お互いのチーム状況を話したり、どうやって顔を洗うか(笑)などといったプライベートなことで情報交換したりすることもある。これまで行ったアウェイの雰囲気についても話してくれた。
「富山は道路の信号機が縦並びだったのに驚いたなぁ。雪が落ちやすくしてあるんだね。あと、印象に残っているのは京都かな。京都の運営担当の方が熊本に縁のある人だったみたいで、すごく良くしてくれたんだよ。スタジアムグルメのお店の人たちも皆優しくて、いろいろごちそうになっちゃった」
しかし、そんなロアッソくんにも悩みがあることがわかった。それは、自分が出向いたアウェイゲームでの戦績が思わしくないこと。
「もう2年半ぐらい、ボクがアウェイに行った試合ではチームが勝ってないんだよね…。100m競争は愛媛の連中に花を持たせてもいいから、試合では勝ってほしいなぁ」
そんな話を延々していたものだから、当初はしまなみ海道を通って直接愛媛に入る予定だったがルートを間違えてしまい(笑)、岡山から瀬戸大橋を渡って四国に上陸。坂出市を経由して松山市に入ったのは朝8時頃。ちょうど月1回のイベントが行われている松山中央卸売市場で朝食をとり、9時半頃にニンジニアスタジアムに無事に到着した。《後編へ続く》
以上
2012.04.24 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
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前節、松本山雅戦の試合前に行われた400m走で転倒、担架で運ばれ途中棄権したのは、愛媛戦の前に行われる「ゆるキャラ100m競争」への布石だった(笑)
松山中央卸売市場での朝食は、平成11年創業の寿司店「くじら丸」の“まかない丼”(市場特価の500円)。「第1回スーパーマーケットお弁当・総菜大賞」の「おにぎり・寿司部門」で大賞を受賞したメニューらしく、松山市束本1-8-29の店舗では、赤だし付きで600円とのこと