岡山がGW5連戦のスタートを2ゴール無失点のゲームで幸先のいいスタートを切った。これで3月25日の山形戦から5戦負けなしとなる。鳥取はチャンスを作り、シュート数も前節・甲府戦の3本から飛躍的に伸ばして計10本を放ったが、岡山のスーパー守護神・中林洋次が守るゴールを割ることは出来なかった。
互いに前節から先発メンバーとポジションを変えて臨んだ。岡山はシャドーに関戸健二、ボランチに澤口雅彦、左右ワイドに田所諒と石原崇兆、最終ライン左に植田龍仁朗。鳥取はトップに住田貴彦、ボランチに実信憲明、鶴見聡貴、右SBに奥山泰裕が入り、両チームともに状況に合わせて修正を加えていった。
立ち上がりの鳥取は、アグレッシブで、シュートへの意識も高かった。「ボールをしっかりつないでくる岡山に対し、我々が高い位置からプレスを掛けて、それをさせない。またビルドアップの段階で特に、ボランチの選手にプレスにいきたいというイメージがあった」と鳥取・吉澤英生監督は話す。対する岡山は、「鳥取には、前線からのディフェンスと中盤の厳しさがあるので、真っ向から拾い合い、それを制することでゲームを落ち着かせようと選手たちに話した」と岡山・影山雅永監督。
岡山のトップ・川又堅碁が厳しいマークを受ける傍らで、前半、自由な動きで前線をかき回したのはシャドーの金民均だ。後方の選手の上がりと絡んでチャンスを作り、徐々に岡山がポゼッションの時間を伸ばしていった。先制点は39分。鳥取のスローインからのビルドアップに石原がプレスを掛け、パスの選択肢を狭める。鳥取がやむなく後方につなげたボールを、川又は虎視眈々と狙っていた。鳥取ディフェンダーの曖昧なパスをカットし、そのままエリア内へと持ち込み、GKのポジションを素早く確認して柔らかく鋭く、確実に決めた。ロックオンして一直線に進み、直前にギアを一段階上げる川又の姿は、今もっとも岡山ファンをワクワクさせる光景だ。
後半に入ると、鳥取は前線からの守備を高めるため、トップに福井理人、ボランチに森英次郎を入れ、実信がトップ下の位置に上がる。これが奏功し、実信のクロスから福井のシュート、美尾敦から小井手翔太へのシンプルな縦パスなど、前線が流動的に動き、複数が絡んでペナルティエリア付近へと近づく回数を増やした。しかしリズムを掴みかけた66分、岡山はセットプレーから後藤圭太のヘディングで追加点を奪う。
鳥取は前節・甲府戦よりもボールを動かし、チャンスを作ることが出来た。しかしボランチ・三浦旭人は「相手のボランチに、ずっと顔を上げた状態でプレーさせ、後手を踏んでしまった」。交代で入った森は、「ちょっとプレッシャーがかかると、受け手の動きの変化もないし、出し手も工夫がなかった」と反省する。
後半の岡山は、危ないシーンもあったが、引いて相手に持たせる戦術という点では、成長を感じさせてもくれた。「前線の選手が90分間ずっとプレスに行くのはきつい。相手に持たせて、入るところを潰すという戦い方も、90分間の中で引き出しとして持っていたい」と竹田忠嗣は話す。ゲーム全体として金民均の暴れぶり、石原の勝ち気、澤口の器用さ、関戸健二のしぶとさ、竹田の冷静な対応、後藤の攻撃センス…等々がを目にすることが出来、岡山サポーターとファンはゲームを満喫したに違いない。課題は3点目が取れなかったこと。評価すべきは、3試合連続で失点をゼロに抑えたこと。ポジティブになれる課題を見つけ、目の前のゲームをまずひとつ、勝利で終えたことは大きな意味を持つ。
以上
2012.04.23 Reported by 尾原千明