千葉の今季初連勝、３連勝中の岡山のクラブの連勝記録更新がかかった一戦だったが、結果はスコアレスドローで互いに目標を果たすことはできなかった。両チームとも最後まで体を張った守備陣の奮闘は素晴らしかったが、それに対してミスが目立った攻撃陣のプレーには物足りなさが見られ、勝ちきるための課題が多く残った。

相手よりも多くの課題が残ったのは千葉だ。岡山の球際の激しさは前節の水戸ほどではなかったように見えたし、実際、試合後の千葉の選手たちが岡山のプレスの厳しさに言及することはなかった。だが、時にはディフェンスラインを高くしてチーム全体をコンパクトに保つ岡山の組織的な守備に、特に前半は千葉のパスが引っ掛かるのが目についた。岡山は千葉の選手が高い位置を取って攻め込んでくるとマンツーマン気味にマークし、しっかりとゴール前に引いてスペースを消した。前半の千葉は６本のシュートを打ったが、相手の守備を崩しきれずにペナルティエリア外からが多く、精度不足で決定機はゼロだった。

それでも、粘り強くボールを動かして岡山の守備網に綻びを作り、その穴を突きたかった千葉。後半はゴール前に迫る回数が増えたが、最後まで岡山の守備網を破れなかったのは「アクションを起こすためのクサビのパスやサイドチェンジのパスが出た時にスピードアップしないといけなかった。そういうスイッチを入れるパスがなかなか出せなかった」（千葉のＭＦ兵働昭弘）ためだ。相手が組織的であればなおさら「タイミングよく勝負の縦パスを入れないと相手の守備は崩れない」（千葉のＦＷ深井正樹）わけだが、兵働や深井が悔やんだようにテンポの変化がないパスワークが多かった。それだけに、工夫を意識して得点の可能性が感じられた数少ない選手の１人の深井の70分という早めの時間での交代は残念だった。また、常に高い位置をとることを意識し、積極的な攻め上がりでチャンスメークしてきたＤＦ大岩一貴が、今節はＵ−23日本代表の合宿参加（４月９日〜11日）の影響かスタメンから外れた。深井の交代とともに木山隆之監督の采配には疑問が残った。

千葉に思い通りには攻撃させない守備を見せ、決定的なピンチではＧＫ中林洋次の好守が光った岡山。特に前半は主導権を握っていただけに、38分のＭＦ澤口雅彦の右サイドの突破からのＦＷ川又堅碁のシュート、それをＧＫがセーブした後のこぼれ球からのＭＦ桑田慎一朗のシュートという連続の決定機はどちらかを絶対にモノにしたかった。後半には桑田がフリーでゴール前へ抜け出してスルーパスを受けたが、直前で千葉の選手が視界に入って焦ったのかシュートがクロスバーの上。試合内容では千葉を上回っていただけに、もったいない引き分けだった。目標の６位以内に入るには、今節で見られた個人の技術や連係でのイージーミスを減らし、決定機を確実にモノにするしたたかさが必要だろう。

後半には岡山を押し込み、４度の決定機を作った千葉だが、前半から後半のような動きのある攻撃ができれば苦戦しなかったのではないだろうか。これまでも相手が多いところにわざわざ仕掛けて行ってしまう攻撃が見られたが、パスをつなぐのは相手に隙が生まれるところや相手の人数が少なくなるところを作るためのはず。「勇気を持ってミスを恐れずに出すパス」（深井）や「勝負のパス」（木山監督）と積極果敢な動きが作る攻撃が見たい。勝利を呼び込むゴールはチャレンジすることを忘れない攻撃から生まれるはずだから。

以上

2012.04.16 Reported by 赤沼圭子