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【J2:第6節 熊本 vs 岐阜】レポート:試合のペースは握られながらも、効果的なゴールを重ねて熊本が今季初の完封勝ち。(12.04.02)

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シュートはともに9本と、数字的には互角である。ただ内容としては、終止ペースを握っていたのは岐阜で、序盤から前への勢いを見せて熊本ゴールへ迫った。それでも勝利を手中にしたのは熊本。崔根植の加入後初ゴール、そしてルーキー五領淳樹の2ゴール、合わせて3発で岐阜を一蹴。4試合ぶりの勝点3を得て、順位を14位に上げた。

「高い選手がいると頼ってしまう」と、行徳浩二監督が前線の構成を変えた理由を説明している通り、井上平と樋口寛規を2トップに据えた岐阜は、「流動的に動いて作ったスペースを使う、前が動くことによって両サイドもスペースに飛び出す」という狙いを実践。トップはやや縦関係になった上で自在に左右に流れ、ワイドの地主園秀美と廣田隆治のスピードを生かした突破を交えることで、攻撃の糸口を見いだそうとしていた。

一方の熊本は、前節同様の球際での激しさとボールに対する複数の寄せで岐阜の攻撃に対応。特に岐阜の右サイドからの仕掛けに対しては片山奨典が流れを切り、最終ラインもそれぞれが身体を張ってカバーリングし、ボールは握らせる中でも決定機は作らせない。与えたCKも少なくなかったが、GK南雄太が的確かつ果敢な飛び出しで防ぐなど事なきを得ていた。しかしそうした岐阜の圧力を受けて攻撃はなかなかいい形が出せず、5分、9分と五領が絡んでカウンター気味にチャンスを迎えるものの単発。要因としては、セカンドボールを岐阜に拾われることが多く、押し込まれたことも関係して自陣からのビルドアップがうまくできずに、中盤で落ち着きどころを作れなかったことが挙げられよう。

それでも「時間が経つごとにチームが変化して、いい守備でボールを奪って前に出る場面が少しずつ出てきた」と高木琢也監督が振り返ったように、25分を過ぎたあたりから徐々に流れを引き戻す。先制点はセットプレーからだった。33分、養父雄仁の右CKをニアに入ってきた高橋祐太郎が頭で落とし、フリーになっていた崔が左足のアウトで浮き球を押し込んだ。リスタートに関しては、この試合に向けたトレーニングでいつも以上に複数のパターンを試している。養父のキックはゴールから離れる軌道で、崔によれば「練習した通り」の形。岐阜はまたもセットプレーからの失点で、ゴール前でのマークの甘さが浮き彫りになったと言わざるを得ない。

そうした点について、行徳監督はハーフタイムにも選手たちに伝えていたようである。しかし修正する間も与えない47分、熊本が再び右CKから加点。先制の場面と同じく、ゴールから離れる養父のボールに対して崔が頭で合わせると、これをGK多田大介の前に立っていた五領が触ってコースを変えゴールイン。直後にはハーフウェイライン付近でボールを奪った養父が持ち込み左足のミドルシュートを放つなど、リードを広げたことで熊本は出足が良くなり、53分にも五領が決めて3-0とする。崔が浮き球のパスを送って武富孝介を走らせ、相手DFを後ろ向きにさせた格好だが、落ちてくる難しいボールをうまく抑えたシュート技術もさることながら、落下点を予測した五領の動き直しが秀逸だった。

3点を追う展開となった岐阜は、廣田に替えて染矢一樹、中盤では金正賢に替えて橋本卓をピッチへ送るが、逆に熊本はあえてリスクを冒さずに左右ウイングバックも引いた状態でバイタルを閉じて跳ね返し続ける。理想を言えばカウンターからさらに加点して勝負を決めたかったが、6分のアディショナルタイムもほとんど危ない場面はなく、終わってみれば今季初の完封。前節得た手応えをしっかりと結果に結びつけた。

岐阜にとっては非常に厳しい敗戦である。「ゲームごとに良くはなっている」と行徳監督が話しているように、スピードや流動性は熊本にとってもやっかいだったことは確か。しかし最後の部分の崩し、あるいはゴール前のアイデアに乏しく、怖さを与えることはできていない。精神的な余裕が生まれればそうした部分も生かされてくる可能性は高く、主導権を握っているうちにゴールに結びたいが、一方で失点が続いているセットプレーの対策を早急に練り直す必要があろう。

熊本は決して内容が良くないなか、確実にゴールを重ねて勝点3を手にした。意図的にリトリートした守備対応だったことも影響して高い位置でボールを奪えず、そのため攻撃でも本来やろうとするコンビネーションは見られなかったが、相手の出方に応じた判断で90分間をうまく運んだと言っていいだろう。しかし、ロッカーを出てバスに乗り込む選手たちの表情に安堵はあれど、誰も満足はしていない。
「上を見ればきりがないので、成長し続けることが大事」。2得点を挙げた五領について触れた高木監督の言葉は、そのままチームにもあてはまる。上ろうとしている山は、まだまだ高い。

以上

2012.04.02 Reported by 井芹貴志
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