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【J2:第6節 栃木 vs 千葉】レポート:刺激的すぎる“グリスタ”での今季初勝利。栃木はサビア弾で今季初の逆転勝利を飾り、千葉はまたしてもアウェイに沈む。(12.04.02)

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試合前の出来事だ。指揮官とストライカーは、ベンチの前でこんな会話を交わしたそうだ。
「ヒーローという言葉を知っているか?」
ストライカーは頷き、指揮官は続けた。
「今日はお前がヒーローになる日だ。1‐1の状況からお前が入り、ゴールを取るんだ」
モチベーションが高まっていることも、コンディションが上向いていることも分かっていた。ゴールを奪うのに魔法はないが、良いイメージを抱かせるために暗示ならかけられる。ほんの少し背中を押したことが勝点3を呼び込んだ。試合後、指揮官は予言者となり、ストライカーはヒーローになった。

アディショナルタイム5分が半分経過した時だった。1‐1の状況から途中投入されたサビアが振り向き様に右足を振り抜くと、直後ゴールネットは揺れた。髪を振り乱し、ユニホームを振り回し、バックスタンドのサポーターの元へと一目散。ユニホームを脱いでのイエローカードは頂けないが、感情を抑えきれなかった気持ちも理解できる。

開幕からスタメンを張りながらも期待に応えられずに控えに回った。同じポジションの廣瀬浩二は2ゴールを挙げ、棗佑喜はチームに不可欠なピースとなった。焦りと重圧はあったが、それは自分自身で跳ね除けるしかない。自分に打ち克ったサビアは、「背負っていた重荷が取れた」と笑みを浮かべ、神に感謝した。「本気になればやってくれる」。松田浩監督の信頼に応えた決勝ゴールは、刺激的すぎる今季ホーム初勝利を呼び込んだ。

この日、松田監督がテーマに掲げたのは「平常心」。前半18分に千葉に先制を許しても、チャ・ヨンファンの同点弾後に大和田真史がアクシデントに襲われてピッチを去っても、目まぐるしく変化する事態に選手が動じることはなかった。今季初勝利を挙げた徳島戦から継続できている粘り強い守備をベースに、悪いなりにも前半を同点で乗り切ることができた。ピンチとチャンスが交互に訪れた後半、PKを奪われる絶体絶命の危機に瀕してもGK武田博行が左手一本で防ぎ、逆転のきっかけを作った。「自分達の良い守備ができれば逆にチャンスが来る」。松田監督の読みは恐ろしいまでに的中した。

「決めるところで決めないときついなという感じ」
そう話した佐藤健太郎は敗戦に悔しさを滲ませた。千葉はボールを握り、サイドチェンジを活かし、先制点のシーンが象徴的するようにサイド攻撃は機能した。カウンターから何度もゴールを脅かしもした。勝つチャンスは十分にあったが、この日は些か決定力が足りなかった。PKも決まらなかったから運も無かったと言える。またしてもアウェイコンプレックスの克服は叶わなかった。

木山隆之監督はアウェイ2連戦を「ひとつのヤマ」に挙げていただけに、その初戦を落としたことの意味は小さくない。心理的なダメージはあるはずだ。ただ、結果は出なかったが、内容は悲観するほどではないのは救いだ。「チームとしてゴール前にボールを運べているし、決定的なシーンは作り出せている」。佐藤は前向きだ。次も水戸に乗り込んでのアウェイ戦。木山監督にとっては古巣戦になるが、この一戦は落とせない。

大和田を失った今、本職のセンターバックは一人もいなくなった。自転車操業は今後もしばらく続くが、急遽ボランチからセンターバックに下がったチャが、「彼がいなかったら今日の試合は非常に難しかった」と、松田監督が最大級の賛辞を送るパフォーマンスを披露したのは怪我の功名だろう。台所事情は苦しいが、今こそ昇格に必要な「団結力」が試される。高木和正は言う。
「残っている選手でやるしかない。怪我人は言い訳にできない。こういう時こそチーム一丸となって戦いたい」
殊勲のGK武田が言葉を重ねる。
「栃木はチーム全員で戦うチーム。1人が欠けても問題なくやれるのが僕等の良い所」
ホーム2連戦目、連勝が懸かった熊本戦でも皆が同じ方向を向き、皆で直面した困難を乗り越えたい。

以上

2012.04.02 Reported by 大塚秀毅
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