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【J2:第5節 岡山 vs 山形】プレビュー:J1の力、スピードを教えてくれる山形との初対戦。岡山に欲しいのはまず、ゴールという浄化作用。(12.03.25)

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岡山はここまで、2分2敗。DF・一柳夢吾は言う。「試されているように感じる。自分たちのやりたいことは出来ているのに、結果がついてこない。そこには何かが足りないだろうし、こういう時にどんな風にしていられるかが大切なんだと思う」。前節・大分戦では守備を立て直し、ゴールに向かう姿勢を発揮しながら、88分の失点で敗れた。連戦で練習時間が長く取れない今週は、そのショックから素早く立ち直るための作業も必要だった。ゲーム翌日は休養。その後、リカバーを兼ねた有酸素運動、紅白戦を行って、山形戦に備えた。しかしオフにファジアーノ岡山ネクスト(岡山の下部組織)の練習に参加した選手もいる。これらを踏まえて、影山雅永監督は選手たちにこう話したという。「ここから上がって行くほうが面白いだろ?」。

山形は全員守備・全員攻撃のサッカーで、一年でJ1復帰を狙っている。J1に初昇格した09年から「堅守速攻で、真面目なチームというイメージだった」(川又堅碁選手)が、昨年の最下位での降格と、総得点・23点、1試合の平均シュート数・約8本という数字を逆に好機と捉え、守り勝つサッカーから攻め勝つサッカーへの移行を目指している。開幕戦は千葉に敗れたが、その後、3連勝。山形で11年目を迎えるMF秋葉勝をはじめ、仙台から加入した中島裕希、草津から加入した萬代宏樹、昨年、広島から加入し、今年完全移籍を果たした山崎雅人が順調にゴールを決めている。

前線は中島、萬代、山崎の3枚、中盤は秋葉と船山祐二にアンカー・宮阪政樹の3枚で、クリスマスツリー型のフォーメーションを採る。「前の3人に加え、その下に構えている3人が奪って上がってくるスピードがある。それに対して、どのようにスタートを切るかは検討中」と影山監督。ポイントは、J1クラスのスピードをいかに抑えるか。前節、元通りに戻った守備を前提に、スピードのある選手を先発させるか、後半のカードとして効果的に使うか、後半に向けてポゼッションを狙うか、というゲームプランに合わせて岡山のメンバーが決まりそうだ。

岡山でこのゲームの鍵を握りそうな男がようやく復活する。ボランチ・千明聖典は開幕直前の練習中、左股関節部肉離れを起こし離脱していたが、先週から練習に復帰。コンディションは、「実は、いい。怖さもなくプレー出来ている」とバツが悪そうに話す。「ちょっとしたボールの動かしだけでも、相手からしたら絶対面倒くさいと思う」と話す千明とコンビを組むことで、仙石廉は本来のプレーに集中することが出来る。

岡山の現在の課題は、攻撃の最後のひと工夫だ。前節も、中野裕太、チアゴ、関戸健二、石原崇兆がそれぞれにいい形を作りながら、ゴールに至らなかったことから、エリア付近でのプラスワン・アクションがテーマとなっている。「自分で切り拓いてドリブルでシュートでもいいし、誰かが追い越して裏をとってシュートでもいい。打てばいいというものではなく、エリア付近でのアクションが欲しい」(影山監督)。怪我で離脱していたFW川又堅碁は、「ワンタッチかツータッチのところで動き出せば、入れてもらえるから、自分も前向きの選手にワンタッチで落とせる。そうしながら3人目がサイドの裏に抜けたりできると思う」と話す。先発か切り札か、いずれも重要なキープレーヤー・石原は、「スタメンの方が時間がたっぷりあるからうれしいけど、流れを変えるカードとしても今、やるべきことがわかる」。

開幕戦以来、PKによる1ゴールのみの岡山に、もっとも必要なものは、ゴールというカタルシスだ。4戦ずっとハードに戦い、サイドを制するだけでなく、中に入っても技巧的にボールを奪う澤口雅彦は、こう話す。「まずゴールを取れば絶対流れは変わると思うんで。たぶん先制点とったら勝ちますね…、うん」。初めての山形戦で岡山は、ゴールのために考え、走る。

以上

2012.03.24 Reported by 尾原千明
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