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【J2:第5節 熊本 vs 湘南】プレビュー:連敗を止め浮上の足がかりにしたい一戦。ホームに戻った熊本が4連勝中の首位・湘南を迎え撃つ。(12.03.25)

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中2日でのアウェイ連戦は、想像以上にハードで、かつ結果としても厳しいものとなった。京都に対してはイメージしていたプレッシングがうまくはまらずに左右のクロスから2発を浴び、町田戦では運動量でも相手を凌駕できず野津田初勝利を献上して連敗。勝点を積み上げることはできず4節まで終えて1勝3敗の17位と、熊本は苦しい状況に追い込まれている。4連勝で首位を走る湘南を迎える今節、高木琢也監督は「動ける選手を使わないと」と23日の練習後に話し、前節から若干のアレンジを加えることを示唆した。そこから読み解くこの試合の鍵は運動量だ。

町田戦で今季取り組んでいるつなぐスタイルを表現できなかった理由としては、ピッチコンディションも影響していたと思われるが、そうした判断に基づいてロングボールを背後へ送るという選択をしたのであれば、セカンドボールを拾うために相手より1歩でも早くボールに触らなければならなかった。しかし、攻守両面においてベースとなる部分を欠いたことも敗因のひとつにある。湘南に対して「若くて速い選手が前に出てくる。若さがあるからこその恐れを知らないチーム」と高木監督は評しているが、そうした相手に仮に走力で劣るのであれば、それを補う準備、すなわち展開を読んだ細かいポジションの調整が求められる。

今節も3バックで臨むことが濃厚だが、DF3人の間隔やワイドのMFが落ちた時のバランス、横の動きに対するスライドが重要。馬場賢治、岩上祐三、菊池大介という流動的な前の3枚に加え、両サイドで起点となっている高山薫と古林将太の5人をどう捕まえ、あるいは良さを抑えるか。ともに3-4-3の布陣で相対するため「空いているところがない」(高木監督)中でのスペースのせめぎ合いを制するにも、球際での激しい戦いだけでなく、例えばボールとは逆サイドといった争点以外のエリアでの準備やポジショニングが流れを分けることになる。

攻撃に関しても同様だが、3バックを採っている以上、前からの守備が機能しなければ押し込まれるのは必然。失点につながった場面を含め、前節に関して「非常にいい形でボールを奪っても、ファーストボールをパスミスなどで奪われていた」と高木監督が振り返っているように、カウンターのリスクを増幅させる、前がかりになった状態でのボールロストは極力避けなくてはならない。いい状態で奪えれば攻撃に転じた際のサポートもスムースに運ぶが、前節は中盤を飛び越える場面が多くボールの落ち着きどころがなかったことから、パスの距離を短くしてミスを減らす、さらには前にボールが入った時に複数の選択肢を作るうえでも中盤を経由した展開が必要。一方で、足元ばかりのステーションパスでは相手に守備陣形を整える時間を与えてしまうため、攻撃をスピードアップさせるスペースへの配球を織り交ぜたい。同じシステムを採っていることを踏まえれば、お互いにやりたいことは相手にやらせたくないことと同義。その裏をかいて主導権を握るにあたっても、相手より多く、長く走ることが大きな意味を持つことになる。

ここまでの4試合でいずれも先制を許している熊本としては、早い時間に先手を取って精神的にも優位に立ちたいところだが、対する湘南は試合の終盤に得点を奪ってひっくり返し、また突き放す底力をこれまでの試合で見せつけてきた。仮にリードしても最後まで気は抜けないし、逆にリードされても最後まで諦めずに戦う姿勢を見せなくてはならない。前節今季初の先発出場を果たした筑城和人は言う。「目指すところ、やることは変わらないし、まずは選手がそれをやり続けないといけない。次はホームなので、絶対に勝ちたい」。その思いの強さを証明するのに、首位・湘南は不足ない相手。チームとして1歩踏み出せるかは、1人1人がピッチ上で1歩を出せるかにかかっている。

以上


2012.03.24 Reported by 井芹貴志
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