3月20日に行われた第4節北九州戦。中2日アウェイ連戦という日程で挑んだ水戸は0対1で敗れ、開幕からの連勝は3でストップ。今季初の敗戦を喫することとなってしまった。
チームは意気消沈して水戸に戻ってきているかと思いきや、そうではなかった。2試合で勝点3獲得という「最低限のノルマを達成した」(柱谷哲二監督)ことに加え、「内容はどんどんよくなっている」(柱谷監督)という手ごたえを感じることができており、連戦が続く中でも選手たちの表情は冴えわたっていた。
前節北九州戦、序盤こそ相手のハイプレッシャーに苦しみ、押し込まれる展開が続いた。そして51分にシュートのこぼれ球が相手の前に転がってしまい、ゴールを許すという不運な形で失点をしたものの、その後は水戸のペースに持ち込むことができた。果敢に縦パスを入れながら、北九州のプレスをかいくぐり、厚みのある攻撃で北九州ゴールを襲った。何度か迎えた決定機を決め切れず、敗れはしたが、開幕2試合よりもはるかに内容がよくなっていた。「開幕2試合は内容よりも勝利にこだわるという気持ちを前面に出して戦うことを要求された。でも、第3節を前に監督から『内容を求めながら勝って行こう』と言われて、しっかりボールをつなぐサッカーに切り替えることができた」と橋本晃司が言うように、チームが前進していることを選手たちは感じ取ることができているのだ。
とはいえ、北九州戦で敗れたという事実を軽視してはいけない。「結果にこだわる」ことをテーマとする今季の水戸にとって、「最低でも引き分けにしないといけない試合」(橋本)であったし、現状におけるチームの力不足を痛感させられるゲームともなった。
ただ、「過ぎてしまったことは仕方がないこと。次の試合はしっかり自分たちのサッカーをするために勝たないといけない」(橋本)と選手たちは気持ちを切り替えている。「J1昇格をするためにも連敗をしてはいけない」(橋本)ことは言うまでもない。今節は水戸にとって「J1を目指すための力が試される」(橋本)ゲームとなるのだ。
松本は今季J2に参入してきたチームで、かつて新潟や湘南をJ1に導いた経験を持つ反町康治監督が指揮を執るチームだ。「J2初年度でモチベーションが高い」と柱谷監督が分析するように、これまでの4試合で1勝3敗という成績ながらもいずれの試合も集中力高く試合に挑んでいたのが印象的であった。特に守備に対する意識の高さはリーグでも屈指と言えよう。3−6−1というシステムで、コンパクトな守備ブロックを形成する。そしてボールを奪うなり、縦にスピードのある攻撃を繰り出し、一気に相手ゴールまで攻め込む形を得意とし、堅守速攻を武器とするチームである。特に左サイドの流通経済大学出身(加藤広樹と同期)MF楠瀬章仁の突破力には注意しなければならない。
おそらくゲーム自体は水戸が主導権を握ることだろう。ただ、松本の堅守をこじ開けることができなければ、松本のカウンターの餌食になりかねない。決めるところをしっかり決めることができるか。前節と同じ過ちを犯さないことが重要である。
そこで求められるのは、チームにパワーを与える存在だ。前節、1点のビハインドを負っているにも関わらず、柱谷監督は試合の最終盤まで攻撃的な選手を投入することができなかった。三島康平や吉原宏太が負傷で欠場を余儀なくされていることも関係しているが、「前のポジションで切るカードがなかった。メンバーを替えないのがベストだと思った」と指揮官が判断せざるを得なかった現状は問題だ。
第4節翌日の練習、その日はサブ組だけの練習となったが、練習前に柱谷監督は「まだ自信を持って出せる選手はいない。もっと意識を高めて取り組んでくれ」と選手たちに要求した。果たして、それを聞いた選手たちはどう応えるのか。これまでの4試合、1人以外同じ先発メンバーで戦ってきた。しかし、長いシーズンを乗り越えるためにも選手層の厚さが求められる。控えに入る選手には、レギュラー陣からポジションを奪ってやるという強い意気込みを持ってベンチに座り、ピッチに投入された際にはその思いをプレーで表現してもらいたい。「J2はどこが相手でも紙一重。ほんのちょっとの隙を突けるかどうかが勝負の分かれ目となる」と柱谷監督が言うように、今節も厳しい戦いとなることだろう。必ず控えの選手にもチャンスが回ってくるはず。そこで投入された選手たちが何をできるかが今節の勝敗だけでなく、今後の水戸の命運を握っていると言っても過言ではない。
以上
2012.03.23 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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