開幕2連勝と好発進した神戸とF東京。順位は総得点でわずかに1得点上回る神戸が2位、F東京が3位。これだけを見ても注目度の高いカードだが、両チームとも今季は大型補強に成功し、まだまだポテンシャルを残しているから興味は尽きない。
F東京は、日本代表DFの今野泰幸がG大阪へ移籍したものの、横浜FMからMF長谷川アーリアジャスールとFW渡邉千真、磐田からDF加賀健一、清水からDF太田宏介ら即戦力選手が加入。特に長谷川は、リズムのいいタテパスで攻撃にスイッチを入れたかと思うと、2列目からの飛び出しなど、早くもF東京に新しい風を吹き込んでいる。前線で存在感を見せるFWルーカス、前節2ゴールを挙げたMF石川直宏、豊富な運動量の羽生直剛、テクニシャン梶山陽平との連動性がさらに高まれば、リーグ屈指の攻撃陣になる可能性は高い。
実際、前節はタレント集団の名古屋を相手に、後半にこの4人と両サイドバックが絡み、分厚い攻撃で畳み掛けて逆転勝利。主導権を握った時のF東京は、手が付けられない印象だ。また、F東京は2002年のセカンドステージ第9節以降、神戸に15試合負け無し(9勝6分0敗)。相性的には圧倒的に優勢と言える。
だが、過去の数字が全く参考にならないのが、フットボールだ。特に今季の神戸は、日本代表の伊野波雅彦をはじめ、橋本英郎、野沢拓也、田代有三、高木和道ら日本代表経験者が加入し、タレントの豊富さではF東京に負けていない。加えて、今季からFWに専念し、開幕戦で2ゴールを挙げている大久保嘉人が「内容が悪い中で勝てていることは大きい」というように、まだまだチームは発展途上。3月20日のヤマザキナビスコカップでは、ケガで出遅れていたキャプテン吉田孝行や高木らが公式戦に出場するなど、現時点でのポテンシャルではF東京以上かもしれない。
強いて勝負のポイントを挙げるなら、ボランチの主導権争いか。試合前日の囲み取材で神戸の和田昌裕監督はこう話す。「(F東京の長谷川について)2列目から飛び込んでくる時の対応はしっかりしないといけない。うちのボランチが2枚とも攻撃に行ってしまわないように。でも、F東京は長谷川だけじゃなくて全員がいい選手なので、ポイントはそこだけじゃないけれど。とにかく、やりがいのある相手だと思います」。
クラブ史上初のJリーグ開幕3連勝に挑む神戸。和田監督は「3連勝、できるだけしたい。したら、ちゃんと書いてや」と言い残して報道陣の前から姿を消した。
以上
2012.03.23 Reported by 白井邦彦
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