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【J2:第3節 甲府 vs 愛媛】レポート:堅守の愛媛から2ゴールを挙げて3連勝の甲府。ただ勝っているのではなく、成長を伴う勝利が希望を大きくする(12.03.18)

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3月、雨降るナイトゲームのキックオフは19時。試合途中から降り出したのなら話は違うが、朝から雨が降っていれば腰が重たくなるのも仕方がない。それでも6000人を超えるファン・サポーターが山梨中銀スタジアムに集結。2連勝中なのでクラブ側は、もうプラス2000人くらいの集客を期待していたかもしれないが、これも現実。焦らず受け止めて、チームをみんなで応援・サポートし、チームが県民の郷土愛や自尊心を刺激してくれる関係を構築していけばいい。憂さ晴らしのために勝利を目指しているのではない。新生JFK甲府もリーグ戦もまだまだ始まったばかり。6000人が熱く楽しめれば、次にできる輪はもう少し大きくなっていくはず。

愛媛の守備はコンパクトな組織でボールへの寄せも速く、評判通りの堅さ。しかし、甲府にはダヴィと高崎寛之がいる。フィジカルに恵まれた万能タイプのFWを組織力だけで封じ込めることは難しい。開始1分の決定機は、「簡単過ぎて(外した)。繰り返してはいけないミス」と振り返るダヴィのシュートミス。こんなチャンスが頻繁に来るとは思っていなかったが、甲府が主導権を持つ時間は長かった。しかし、30分を過ぎるとだんだん愛媛の守備に圧されて消極的なパス回しになっていき、逃した魚は大きくなる。ボールを失いたくない足元パスでは愛媛の守備に穴を開けることはできず、ボールを持たされる展開。消極的なパス回しにファミリー席の、普段は上品なマダム監督や子連れのミセス監督が「もぅ〜」、「あ゛ぁ〜」と不機嫌に呻く。

愛媛は前線の有田光希と前野貴徳が不在だったが、初先発の石井謙伍は充分に脅威だった。シルエットだけで誰か分かるほどの愛媛フリークではないので、彼の背番号「11」と大山俊輔の背番号「17」の「7」と「1」が見分け難く、大山のいいプレーの一つや二つは石井だと思い込んでいるのかもしれないが、それでも石井は小気味よかった。ただ、甲府の守備は試合ごとに目立つバグを潰していっている。ボランチとセンターバックの間を狙われるのは当然だが、ドウグラスが日本のサッカーに慣れるにしたがってパートナーの山本英臣がバグ潰しに専念できる時間が増えている。また、サイドの柏好文と堀米勇輝は自分がボールとは逆サイドにいても戻るべきときはちゃんと戻って、アリバイではなくボールを奪うつもりの守備ができるようになった。前半を0−0で終えたらハーフタイムに何を食べるか考えていると、堀米のスルーパスに飛び出した高崎が倒されてPK獲得。ドイツでは香川真司も決めた誕生日ゴールを、愛媛からPKで決めるかと思ったら、年間60ゴールペースのダヴィがボールを確保。

「高崎がアピールしてきたら譲ったかもしれないけれど、何も言ってこなかったので蹴った」というダヴィ。前半開始直後に逃がした魚を、人の竿で釣り上げた。そして、ハーフタイムを挟んで後半開始直後。高崎が左サイドを縦にドリブルして入れたクロスが、ディフェンダーに当たって、ゴール前の柏の足元に転がるもそのまま奥のダヴィの前にコロコロ。ワンタッチで打ったシュートが決まって2−0。ダヴィは3試合で5ゴール。このままいけば、マイクもビックリの年間70ゴールのハイペース。愛媛の堅い守備をこじ開けて2点も取るなんて素晴らしい。甲府のホーム用のユニフォームの胸に「Qatar Foundation(カタールファウンデーション)」って入れると、あのクラブのユニに似るんじゃないかと与太を考える余裕も出てきた。カタール財団は年間3000万ユーロ(約32億円)も払っているそうだけれど、あのクラブの元副会長が神戸の取締役になるそうで、その年俸も気になる。

でも、2−0は魔の得点差。すぐにスコアは動いた。石井のよう見えたが、大山のワンタッチ・ミドルシュートが決まって2−1。この辺りに甲府の甘さが出る。その後も徐々に愛媛が主導権を取る時間が長くなり、甲府は受けに回る場面が増えていった。左サイドバックの佐々木翔が結構忙しくなったが、彼はミスをしても自分のサイドを狙われても怯まずに闘っていた。判断ミスや判断の遅さが招いたピンチもあったが、前にボールを運ぼうとする姿勢は変らなかった。このメンタルが凄いと思う。城福浩監督は、「(その状況では)相手を裏返す(裏にボールを入れて自陣に向かって走らせる)ようなフィードを割り切ってするのか、もっと丁寧にパスを繋ぐのか両方の判断があると思う。相手がどうやって来ているのか感じる力を我々は養わないといけない。殆どのピンチはその判断からきていることを認識していると思う。選手が成長するにはこういうことを乗り越えないといけない。(佐々木を)代えるチョイスもあったが、相手がもっと割り切って前掛りになってきたときに跳ね返すという選択肢しかなくなったときに彼の強さが出た。代えないことが(彼への)メッセージ。『ここで学べよ』と」と、佐々木を使い続けた理由を話した。佐々木は、「プレーに消極的な部分があった。判断に迷ったことでプレーが遅れた部分もあったし、もっとオーバーラップができたと思う。前半よくなかったから悔しかったし、後半は負けたくなかった。代えないで使ってくれた監督の期待に応えたいと思う」と振り返ったが、闘い続けていた部分に今後も期待できる理由がある。幸いにも、甲府はその負担をチーム全体で受け止めて経験を積みながら勝点3を手にすることも出来た。山形戦でもチャンスがありそうだが、そこで佐々木がどんなプレー・判断を見せるのか楽しみになってくる。

前半終了間際と後半開始直後にスコアが動いた第3節甲府対愛媛。後半の中盤と終盤に愛媛に同点のチャンスもあったが、決定機の数は甲府の方が多く、決定機の数に見合った2−1のスコアでタイムアップ。愛媛はアライールが甲府時代はやってくれなかった日本語でのコメント取材に応えてくれ、チーム状態の良さと選手が物凄く頑張っていることをアピールした。彼も手応えは感じているはずで、今の「もうちょっと」をどう乗り切るかが鍵だろう。バルバリッチ監督は会見で「有田、前野がいなくてもチャンスは作った。愛媛は若い選手が多く経験が少なく、ゴール前での落ち着きに欠けている。でも、試合を積み重ねる中で良くなっていくと思う」と話した。できるだけ勝点を稼ぎながら成長できるかが昇格レースに加わるためのポイントになりそうだ。
甲府は、タイプの違いが大きい栃木、東京V、愛媛の3チームに対してほぼ同じ先発メンバー、ほぼ同じ交代メンバーで勝ちきって3連勝。連勝サロンのテーブルのメンバーも3人になってしまい、眼が合えばお互いニタニタしてしまいそうだが、まだ3試合。3連勝したくらいで昇格したつもりにはならないし、JFK甲府の目標はプロビンチアの星としてJ1のビッグクラブの間に割って入ること。「J1クラブが相手だったら…」と考えれば、ダヴィも高崎もまだまだ強さや正確性は必要。でも、ただ勝っているのではなく、勝ちながら進化・成長・熟成など右肩上がりの要素を感じられることが嬉しい。この流れを大切にして42節続けることができたら、ね。ただ、今節で悔やむことがある。BIGを買い忘れたこと。1等が2口も出たそうで悔しい。人生逆転ホームランは打てなかった。

以上

2012.03.18 Reported by 松尾潤
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