柏は3月3日のFUJI XEROX SUPER CUP 2012で初優勝を成し遂げ、その4日後にはアウェイの地でAFCチャンピオンズリーグのブリーラム・ユナイテッド戦を戦った。今シーズンは、すでに実戦をこなした後で迎えるJリーグの開幕戦となる。
ACLの試合から中3日。やはり過密日程による疲労や、暑いタイと寒い日本の寒暖の変化にコンディションを維持できるかなど、若干の懸念材料があるのは事実である。先月26日のちばぎんカップから、FUJI XEROX SUPER CUP 2012、ACLのブリーラム戦と3試合をこなしてきたが、柏の本来のパフォーマンスと比較すると現在のコンディションは70%ほどといったところ。それに関しては「今の我々は1試合1試合を通して、そのゲームレベルを回復していく段階にある」と話すネルシーニョ監督の言葉から察するに、開幕戦にピークを持ってくるのではなく、長いシーズンを戦い抜くために尻上がりに調子を上げていくチーム作りを進めているため、一見低調に映ってしまいがちではあるが監督のプランニング通りと見ていい。事実、今の柏はFUJI XEROX SUPER CUP 2012のF東京戦のように、内容が良くないなりにも勝ち切れる勝負強さがあり、最初のちばぎんカップと比べれば、試合を追うごとにチームのパフォーマンスは確実に向上している。
開幕戦のキーマンは、ありきたりだがレアンドロ ドミンゲスを挙げたい。ブリーラム戦では、まさに別次元とも言うべきハイレベルのプレーを披露し、タイ3冠の強豪を終始翻弄した。彼自身のコンディションも当然ピークにあるわけではないが、あの切れ味を見る限り、さらに凄みを増した“柏のキング”を止められる選手・チームはそうはいない。日本代表クラスを揃える横浜FMの守備陣に対し、レアンドロ ドミンゲスの創造性豊かなプレーの真っ向勝負は大きな見どころのひとつだ。
一方で気掛かりなのは、ブリーラム戦のプレビューでも触れたように、疲労がピークに達している酒井宏樹と、グアムキャンプからなかなか調子が上がらない茨田陽生の若い2人。もし、これまで戦列を離れていた栗澤僚一が開幕戦に照準を合わせ、万全の状態で11日の試合を迎えられるのならボランチに関しては問題ないが、酒井の代役となると、やはりその穴を埋められる人材不足と言わざるを得ない。確かに右サイドバックには新戦力の藤田優人がいる。しかし戦術理解や周囲との連携面を考えた時に、さすがのネルシーニョ監督でも、いきなり新戦力を抜擢するという賭けに出るとは思えない。したがって、フィジカル的に厳しいだろうが、酒井にはもうひと踏ん張りしてもらわねばならないだろう。
また、気になる予想布陣だが、中盤からDFにかけてはブリーラム戦のメンバーがベースになるのは間違いないが、全く読めないのが2トップの組み合わせである。グアムキャンプでは常に主力組を張り、開幕スタメンが濃厚だと思われていたリカルド ロボが、ちばぎんカップからACLまでの3試合、いずれもベンチスタートで途中出場。その他、北嶋秀朗、田中順也、工藤壮人らもコンスタントに起用されており、むしろネルシーニョ監督が意図的に、2トップは誰を起用するか、どの組み合わせがいいのかなど、開幕戦を見据えながら目を凝らし、まるでトライアウトかのようにFW陣を試しているのではなのかとさえ勘繰ってしまう。試合前日の練習まで、昨シーズンと変わらずFWの熾烈なポジション争いが繰り広げられることだろう。
この試合のトピックとしては、リニューアルされた日立台のこけら落としということが挙げられる。チケットはすでに完売。新たに増設されたスタンドは、びっしりと黄色い柏サポーターで埋め尽くされる。ブリーラム戦では一瞬の集中力の欠如を突かれ、痛い敗戦を喫したが、「守備にしてもこまかなところを修正し、リーグ戦開幕に臨みたいし、選手の皆も切り替えはできている」(増嶋竜也)と選手たちはJリーグの開幕戦に向け奮起している。リーグ連覇への道のりは、長く険しいものになるだろう。だが、新生日立台を黄色く染めるサポーターの後押しを受けたディフェンディングチャンピオンは、「7冠」という大いなる野望へと向かい、新シーズンのスタートを切る。
以上
2012.03.10 Reported by 鈴木潤
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