3月4日(日) 2012 J2リーグ戦 第1節
愛媛 2 - 0 町田 (16:05/ニンスタ/3,926人)
得点者:6' アライール(愛媛)、62' オウンゴ−ル(愛媛)
スカパー!再放送 Ch180 3/5(月)後00:30〜
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7回目を迎える愛媛の開幕戦は、様々な点で新鮮だった。今シーズンのニンジニアスタジアムは2017年の愛媛国体に向けて観客席の改修が予定されており、ゴール裏のサポーターがバックスタンドとメインスタンドへ移動。ピッチを見つめるサポーターの視線も、メインスタンドからの景色も変わった。また、ホームのユニフォームはオレンジをメインにしつつも濃紺の割合がグッと増え、引き締まったイメージに。対戦相手がJファーストマッチの町田ということもあり、新しいシーズンがはじまるという印象はより強まった。
さらに、ピッチに立つ選手たちもフレッシュ。町田はもちろんのこと、愛媛の選手たちも11人中7人が新加入の選手。まさに新生・愛媛がスタートを切った。しかし、その中でも4年目の指揮となるバルバリッチ・イズムは既にチームに深く浸透しており、継続性を感じさせるサッカーを展開した。特に、ディフェンス面の完成度は開幕前に選手たちが自信を見せていただけに高いクオリティ。「相手に向かう守備に固執している」とバルバリッチ監督は語ったが、高い位置から連動してプレスをかける陣形はコンパクトに保たれており、開幕戦の硬さが残る町田を試合の序盤から苦しめた。
その守備でのアグレッシブな姿勢が、攻撃の推進力も生み出した。開始直後に右サイドバックのアライールがファーストシュートを放つと、5分には左サイドバックの内田健太も負けずにミドル。さらにボランチの村上巧が高い位置で奪うと、センターバックの浦田延尚がオーバーラップ。最終ラインも含めた全員が攻める姿勢を見せると、6分に得たフリーキックからアライールが頭で押し込んで先制点を奪った。まさに、愛媛にとっては最高の立ち上がりだった。
一方で町田にとっては手痛い先制パンチを受けてしまった。試合後、オズワルドアルディレス監督は「何かびっくりして開幕戦を戦ったという印象」と振り返ったが、緊張を解きほぐす間もなく失点したことによって歯車に噛み違いが生じたようでもあった。アルディレス監督は「自分たちのサッカーをやろうともせず、ロングボールばかりになり、それは我々が望んでいるサッカーではなく負けてしまった」とも語ったが、愛媛の素早いプレッシングによって次のプレーの判断をさせてもらえず、単調な攻撃とミスを繰り返してしまった。
その流れは後半に入っても変わらない。後半9分には内田のクロスにFW有田光希が飛び込むが惜しくもオフサイド。さらにMF前野貴徳のクロスにはFW小笠原侑生がボレーであわせるなど、愛媛は攻撃の手を休めず町田を攻め立てると、追加点が生まれる。続く後半17分、愛媛は右サイドからアライールの速いクロスで町田のオウンゴールを誘った。ただ、そのプレーもゴール前に飛び込んだ有田へのピンポイントクロスで、ディフェンダーにとってはやむをえないプレーだっただろう。逆に、愛媛としてはしっかりとした狙いを持った追加点だった。
一方の町田は試合終盤に見せ場を作り、愛媛のゴールに迫ったものの後半39分に迎えた最大のチャンス、FWディミッチのフリーキックはGK秋元陽太のファインセーブに阻まれた。続くシュートチャンスも決めきれず、記念すべきJ初戦で勝点を得ることはできなかった。「自分たちにできること、いつもの力を出せずに悔しい」とFW勝又慶典は悔しさをにじませたが「まだ、はじまったばかり。このスピードになれて自分たちのサッカーができれば違ってくる」と前を向いた。さらに「自分たちのサッカーができなかった要因は認識できているから、チームのいいところを伸ばして戦えるチームにしたい」とJ初勝利に向けた意気込みも残した。
逆に白星発進という最高の結果を得た愛媛だが、バルバリッチ監督が「どの試合も、いい試合であっても修正点はあるので改善していきたい」と指摘したように、課題もみつかった。それは前線のコンビネーション。特に試合終盤は前でボールを収められず、序盤のようなコンパクトさも失い町田に反撃の隙を与えてしまった。それでも「足りなかったコンビネーションは時間とともにもっとよくなると思う」と指揮官が自信を見せるように、まだまだシーズンははじまったばかり。今日の一戦を見る限り、攻守ともに完成された愛媛のサッカーを見ることができる日は、そう遠くなさそうだ。
以上
2012.03.05 Reported by 近藤義博
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