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【第91回天皇杯 準々決勝 名古屋 vs 横浜FM】レポート:両者譲らぬスコアレスの戦いはPK戦で決着。無冠で終わりたくない意地で上回った横浜FMが、名古屋を下して準決勝に進出した。(11.12.25)

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12月24日(土) 第91回天皇杯 準々決勝
名古屋 0 - 0(PK 3 - 4)横浜FM (13:01/瑞穂陸/8,728人)
★第91回天皇杯特集
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今季のリーグ戦を2位で終え、ヤマザキナビスコカップとAFCチャンピオンズリーグも途中敗退した名古屋。横浜FMはリーグ5位、ヤマザキナビスコカップも準々決勝で敗れ去っている。ともに強豪と呼ばれるチーム同士の対戦となった天皇杯準々決勝は、スコアレスながら両チームのタイトルへの執念が勝敗を分けた。

試合前の情勢は横浜FM有利。それはコンディショニングの面で明白だった。4回戦のゲームから中5日で調整してきた横浜FMに対し、名古屋は中2日で臨んだ試合だった。しかも名古屋は120分の延長+PK戦をナイトゲームで戦っており、実質的には中2日に満たないインターバルしか取れていない。選手が回復しきれていないのは動きを見ても明らかで、DFの増川隆洋は「体調が戻ってきてないのは感じました。走ってもすぐ乳酸がたまる感じで」と試合後に語っている。メンバー構成にしても横浜FMがほぼベストメンバーを揃えたのに対し、名古屋はケネディ、田中マルクス闘莉王、阿部翔平に加え、この一戦では田中隼磨が出場停止で欠場。名古屋の戦力が最大値から程遠いことは、明らかだった。

果たして試合は横浜FMが支配する展開となった。「相手は日程的に厳しかったので、相手よりも走らないといけない」(小椋祥平)と選手全員が意識し、激しいプレッシングで名古屋を圧倒。特に際立ったのはボールを失った後の反応で、攻撃から守備への切り替えが速く、名古屋に反撃の態勢を整える余裕を与えなかった。「今週やってきたことが出せた」と木村和司監督は満足の表情を見せたが、しかしそこから先に進むことができなかったのもまた確か。次々と攻め立てる横浜FMの前に、名古屋の個の強さが立ちはだかった。

前半だけで3度の決定機を作った横浜FMだったが、そのいずれもが名古屋の守護神・楢崎正剛に阻まれた。それ以外のチャンスは増川を中心とするDFラインに跳ね返され、ビルドアップはダニルソンと中村直志の執拗なチェックに動きを鈍らされた。この試合、シュート数では各ハーフごと全てにおいて、名古屋が上回ってもいる。劣勢のやり過ごし方と、シュートまで持っていく打開力の高さは、今季を通して名古屋が武器として確立してきたもの。その名古屋も攻撃に迫力を欠き得点には至らず、試合は膠着の度合いを深めていった。

後半になると両監督の采配が試合を動かしはしたが、それでも得点は生まれなかった。わずかながら先に動いたのは横浜FMだ。17分に森谷賢太郎に代えてスピードのある松本怜を入れ、サイドの突破力をチームに加えた。その交代を受け、ストイコビッチ監督は前半からミスを頻発していた三都主アレサンドロに代えて攻撃的MFの吉田眞紀人を投入。布陣を3バックに変更し、中盤の厚みを増して横浜FMに対抗してきた。この采配はどちらも効果を挙げ、横浜FMは松本のドリブル突破を起点にチャンスを作り、名古屋は吉田の入った左サイドが反撃の軸になっていった。

だが、それでも両チームには得点が生まれなかった。名古屋は本来の迫力ある攻撃が作れず、シュートは放つも単発で厚みがない。好位置での直接FKは数本あったが、藤本淳吾も小川佳純も金崎夢生も、誰も枠の中に飛ばすことができなかった。横浜FMは単純な決定力と攻撃のイメージ共有の不足といったところ。小野裕二と渡邉千真のツートップは数多く突破を仕掛けたが、単独突破が多くパスを出してもつながりきらなかった。要するに、両チームともに決め手を欠いたのだ。

試合は延長戦を経ても決着がつかず、名古屋にとっては2戦連続となるPK戦へ。3人目までは両チームともきっちり決めたが、名古屋が4本目を止められ、5本目を外して勝負は決した。名古屋はこれで2011年シーズンの無冠が決定。ストイコビッチ監督は「しっかり戦う姿勢を見せてくれた。後悔はしていない」と選手をかばったが、選手は悔しさを露わにした。「やりきった感はありますけど、リーグと同じで何も得てない」と増川が話せば、「全体的に見れば悪くはないシーズンでした。それでも、タイトルを獲得できず悔しい思いをした事も事実」と楢崎が呼応する。昨年のJリーグ王者は強さを誇示したが、それをタイトルという目に見える形にすることが、最後までできなかった。

一方で勝者の舌は滑らかだ。木村監督は「PK戦は監督として初めてだけど、ひとつになるというか、そういうものはいいですね」と辛勝をポジティブに受け止める。さらには今季のリーグ開幕戦で永井謙佑を「ありゃあスピード違反にならんかね。大したもんだ」と評したことから、この日のDF陣の出来を「栗原と中澤佑二がちゃんとスピード違反を取り締まってくれたというところでしょうね」と表現。「切り替えて優勝するしかないという気持ちで臨みたい」と早くも準決勝を見据えていた。今回のベスト4ではリーグ戦順位が一番高いチームとして、ここからは優勝候補の最右翼として見られることにもなるだろう。勝てば来季のACL出場権も得られる重要なタイトルだけに、優勝への意欲は高まる一方といえそうだ。次戦の相手はJ2京都に決定したが、若き背番号10、小野裕二は「僕らはリーグで悔しい思いをしていますし、天皇杯は本当に高いモチベーションで臨めている。これを切らさないように、続けていければ相手がどこだろうと関係ない」と意に介さなかった。1992年以来となる天皇杯制覇まであと2勝。まずは29日の国立競技場で第一の関門に挑む。

以上

2011.12.25 Reported by 今井雄一朗
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