12月23日（金） クリスマスチャリティサッカー2011
東北ドリームス 2 - 4 JAPANスターズ　（14:10／ユアスタ／13,889人）
得点者：15' 奥山泰裕（東北ドリームス）、21' 鈴木惇（JAPANスターズ）、42' 鈴木大輔（JAPANスターズ）、60' 矢野貴章（JAPANスターズ）、76' 仲間隼斗（JAPANスターズ）、85' 佐藤寿人（東北ドリームス）
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2011年12月23日は全国的に寒かった。それはユアテックスタジアム仙台のある仙台市も同様。最高気温も3℃まで行ったとか行かないとかで、このスタジアムでおこなわれたとある試合の公式記録の気温欄には「2.7℃」と記されている。やはり寒かった。
でも、この日のスタジアムを包む空気は、温かかった。

日本プロサッカー選手会（JPFA）は、東日本大震災からの復興支援のために、「JPFAクリスマス・チャリティーサッカー2011」をユアテックスタジアム仙台で開催した。被害の大きかった岩手・宮城・福島の三県で22日にふれあい活動をおこない、並行して寄付活動も実施。そしてこの23日に、抽選で選ばれた観客を無料で招待してのゲームが開催された。「僕たちにできることは限られているけれど、こういう活動を通して被害が大きかったところの皆さんを始め、被災した方々に少しでも元気になっていただけたら」（藤田俊哉・JPFA会長）という志のもと、東北出身者や東北のＪクラブにゆかりのある選手が集った「東北ドリームス」とJPFA所属で国内外の選手が組んだ「JAPANスターズ」がピッチ上で楽しいゲームを展開した。
バックスタンド側に全国から寄せられたメッセージが流れる中、ウォーミングアップから選手達はイベントを盛り上げていった。お祭り男・岡山一成らがなんとこの時点からインタビューに答えれば、入場時には全選手が一緒に記念撮影。スタジアムの空気をどんどん温めていった。

そして14時10分、キックオフ。試合は4-1-4-1を採用した東北ドリームスが小笠原満男や熊林親吾といった職人肌の中盤にボールを集めて展開し、サイドを突かれたJAPANスターズも技術の高い攻撃陣の個人能力を生かして攻め…といった細かい戦術の話も、今日はなしにしよう。この日のピッチでプレーする機会を得た選手達は、自らの技と、「皆さんに喜んでもらおうと」（小笠原）する気持ちをそれぞれ披露。そこにDFながら細かいリフティングや攻め上がりを見せた吉田麻也などに代表されるようなサービス精神も加わり、「楽しい」サッカーが90分に渡って続いた。

なかでも合計6度のゴールシーン後に見られた各チームのパフォーマンスは圧巻だった。東北ドリームスは先制点と最後の1点を決めたときには、得点者がサンタクロースの格好に着替え、仲間と一緒にゴール裏にプレゼントの投げ込みを実施。その流れから全員で「試合の2時間くらい前に岡山さん達と話し合った『希望の矢』」（佐藤寿人）を披露した。対するJAPANスターズも、得点した鈴木惇やどういうわけか巻き込まれた中山雅史を胴上げしたり、中山がサンタに扮して登場する早着替えパフォーマンスをみんなで演出したりと、こちらもやりたい放題だった。
さらに、ハーフタイムの時点で「チームから試合前にFAXが届いて（コンディション面で）ストップがかかっちゃって」（内田篤人）ということでプレーに不参加が決まっていた内田と香川真司が、なんと終盤になった時に副審として登場。スタジアムの温度を更に上げた。
試合は4-2でJAPANスターズが勝利。だが勝敗以上に、この楽しいゲームが繰り広げられた90分間、震災のことなど苦しいことを忘れ、また新しい一歩を踏み出すための力が沸いてくる―――スタジアムででも、テレビの中継ででも、ニュースなどの伝聞ででも、この試合を知ることができた人たちがそうなってくれることが、この試合に関わったすべての人たちの望みだ。

試合後、サンタクロースに扮した選手達が場内を一周するところを迎える人たちの拍手と笑顔が、このゲームがもたらしたものをよく表していた。「僕たちはできる限り、こうした活動を続けていきたい」。両チームに選手登録し、副審という形参加した香川真司は、この素晴らしいチャリティーマッチを終えて、気持ちを新たにした。その気持ちは皆が同じだった。
もう一度書くが、この日のスタジアムを包む空気は、とても温かかった。それ自体が、最高のクリスマスプレゼントだった。

以上

2011.12.24 Reported by 板垣晴朗