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【第91回天皇杯 4回戦 名古屋 vs 柏】レポート:PK戦までもつれ込んだ熱戦を制し、名古屋が柏へのリベンジに成功。主力抜きでの戦いに自信をつかみ、準々決勝へと駒を進めた(11.12.22)

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12月21日(水) 第91回天皇杯 4回戦
名古屋 3 - 3(PK 9 - 8)柏 (19:00/瑞穂陸/5,618人)
得点者:42' レアンドロドミンゲス(柏)、66' 工藤壮人(柏)、77' 永井謙佑(名古屋)、88' 増川隆洋(名古屋)、96' 永井謙佑(名古屋)、115' レアンドロドミンゲス(柏)
★第91回天皇杯特集
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名古屋も強いが、柏もまた強い。スコアだけ見れば3-3の打ち合いの末のPK決着だが、試合内容を追えば双方の強さとチームの成長を如実に感じさせるものだった。流石は今季のリーグ1位と2位の対決である。その上で勝負を決めたのは、名古屋の「負けたままでは終われない」という意地とプライドだった。

今季のベストメンバーといえる11人をスタメンに並べてきた柏に対し、名古屋はケネディと田中マルクス闘莉王、そして阿部翔平という不動のスタメン3選手を欠く苦しい布陣で迎え撃っていた。このスタメンを張った金崎夢生、千代反田充、三都主アレサンドロの3名はいずれも実力者たちだが、欠場3選手の貢献度を考えれば代役の感は否めないところ。柏はエースのレアンドロドミンゲスがクラブワールドカップの3位決定戦を出場停止で欠場しており、十分な休養をもって戦列に復帰するなど好材料も十分。控え選手も含めて充実のラインアップは、名古屋にとっては脅威以外の何物でもなかった。

予想通り、試合の入りを制したのは柏だった。開始直後にレアンドロのドリブル突破からチャンスを作ると、「エクセレントな試合内容」(ネルシーニョ監督)で名古屋を圧倒。運動量はさほど多くはなかったものの、要所をきっちりと抑える試合巧者ぶりを発揮し主導権を完全に握った。攻守の起点を欠く名古屋は玉田圭司や藤本淳吾、そしてダニルソンらの個人能力を頼りにボールを前に運ぶも、ここぞの場面での決め手に欠けるもどかしい展開が続いた。その中で前半終了間際の42分に柏が先制。酒井宏樹のクロスが増川隆洋に当たり、こぼれたところをレアンドロがすかさず詰めた。JリーグMVPがその勝負強さを遺憾なく発揮し、前半は柏リードで終了。最初の45分はほぼ100%、柏が制した。

しかし後半、状況は一変する。名古屋のストイコビッチ監督はハーフタイム明けから小川佳純に代えて永井謙佑を投入。彼を1トップとし、金崎を本来のポジションであるウイングの位置に配したことで、反撃の足がかりをつかむ。スピードのある永井が攻守に前線をかきまわし、金崎もそれに呼応するようにサイドから前線で躍動。持ち味のドリブルでサイドに起点を作ると、永井や藤本淳吾、ダニルソンとともに攻撃の圧力を強めていった。66分には柏に美しい連係から2点目を奪われ一時は試合が決まったかに見えたが、2失点目の後はさらに攻勢を増し、徐々に流れを引き戻していく。激しく泥臭い戦いぶりは表現するなら白兵戦といったところ。あらゆる局面で体を張り、強引にでもボールを前線へと運んでいった。

そして76分、名古屋の逆転勝利のきっかけとなるゴールが生まれる。ダニルソンからの縦パスを受けた永井がペナルティエリア前でマーカーを1人かわし、強烈なミドルシュートを叩き込んだ。このゴールを期に名古屋の攻勢はさらに加速。87分には三都主のロングスローを相手DF陣がクリアミスし、前線に残っていた増川が左足を振り抜き同点に追いついた。「転がってきたボールを蹴りこんだだけ」と謙遜した増川だったが、低くコントロールされた見事なシュートはFW顔負け。土壇場で試合を振り出しに戻った一戦は、そのまま延長戦へと突入した。

主導権が両チーム間を行ったり来たりする展開は延長になっても変わらなかった。延長前半に名古屋の永井がスピードを生かしたドリブルで抜け出し、見事なループシュートを流し込んで勝ち越すも、延長後半には柏がPKを獲得し追いつき返す。
結果、勝負はPK戦に委ねられることになったがこのPK戦もまた、熱かった。両チームともに5本目までをきっちり決め、6本目は両守護神がともにセーブ。その後も順調にPKが決まっていき、迎えた9本目。名古屋は延長後半に田中隼磨がイエローカード2枚で退場していた上に、ダニルソンが足を痛めて蹴り順の最後尾に回されていたため、GKの楢崎正剛が登場した。珍しいGK同士の対決は楢崎に軍配。きっちり決めた楢崎に対し、10本目を蹴った菅野孝憲がバーに当てて失敗してしまう。最後は足を引きずって菅野と対峙したダニルソンが痛みをこらえながらも鋭い軌道でネットに突き刺し、約2時間半の長丁場に終止符を打った。

最後まで諦めず、柏から今季公式戦初勝利をもぎ取った勝者の指揮官はご満悦の様子だった。「忘れないでほしい。Jリーグのチャンピオンを相手に、阿部、闘莉王、ケネディなしでここまでできた。この勝利には2倍の価値がある」。その通りである。昨季以来、特にケネディと闘莉王の不在時の戦い方は名古屋最大の課題であった。控え選手もフルに使い、飛車角抜きの布陣で柏に勝ったということは、チームの成長を印象付けるに十分。次戦以降にも大きな自信を持って臨めることは、何より大きかった。

一方で負けた柏もまた、大きな成長を感じさせた。ネルシーニョ監督も言及した試合開始からの素晴らしい戦いぶりは、クラブワールドカップの影響もあったようだ。増嶋竜也は言う。「クラブワールドカップの経験はチームのレベルを上げてくれた。球際の強さもそうだし、相手が全然怖くなかった」と。後半からは疲労を隠せず劣勢に陥ったが、それでも延長の最後で追いつくあたりは地力がある証拠だ。「疲労の影響は何一つない。今日は自分たちのミスで負けた」という指揮官の発言も、負け惜しみではなく潔さの現れだろう。柏はこれで、「勝利の年」(ネルシーニョ監督)を終えた。

準々決勝進出を決めた名古屋だが、これから厳しい日程が始まる。まずは中2日で臨む横浜FM戦だ。その上、田中隼が出場停止となるため主力4選手が不在という非常事態。ホーム瑞穂陸で戦えるアドバンテージだが、またも苦戦は必至だ。だが、その状況もポジティブに捉える潔さが名古屋にもある。「リーグ戦終盤から負ければ終わりの状況が続いているが、原動力、ポジティブに捉えて結果を出せている。次もまた勝ちたい」(楢崎)。たとえ手負いの状態だろうと、闘う気持ちは萎えていない。“Jリーグ前王者”は2011年シーズンを、無冠で終わるつもりはさらさらない。

以上


2011.12.22 Reported by 今井雄一朗
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