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【FCWC 柏 vs アルサッド】レポート:アジア王者を押し込むも、数多くのチャンスをモノにできず。世界3位の座を逃した。(11.12.19)

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12月18日(日) TOYOTAプレゼンツ FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2011
柏 0 - 0(PK 3 - 5)アルサッド (16:30/横浜国/60,527人)
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戦前、アルサッドが準決勝のバルセロナ戦で見せた極端な守備的シフトを「参考にならない」と柏の選手たちは話していたのだが、この試合でもアルサッドは屈強なセンターバックを中央に3枚並べ、メサード アルハマド、ナディル ペルハジがウイングバックを務める5バックを敷いた。ただ、「相手はブロック作っていても、結構スペースが空いていたり、(水野)晃樹君とキタジさん(北嶋)がフリーだったりして、そこはうまく使えた」(茨田陽生)という通り、中盤の枚数では柏が優位に立つため、ジョルジ ワグネルと水野晃樹、またはトップの北嶋秀朗がゾーンの間に生じるスペースに顔を出し、そこに大谷秀和、茨田から縦パスが何本も入った。

アルサッドはボールを奪うと、手数をかけずに前線にボールを送り、ママドゥ ニアン、カデル ケイタ、ハルファン アルハルファンのスピードと身体能力の高さを生かした突破に委ねる攻撃を展開する。柏のセンターバック、近藤直也と増嶋竜也はその攻撃を確実に弾き返していくが、おそらくアルサッドの狙いは一発のフィードで抜け出すことよりも、競り合った後のセカンドボールを誰かが拾い、スピードで畳みかけるような2次攻撃を仕掛けることにあったと思われる。ただ、大谷と茨田のリスクマネジメントが行き届いており、柏はほぼセカンドボールを支配。となれば、パスをつなぐスタイルの柏がゲームの主導権を握るのは必然の流れである。

アルサッドの中央を締めた最終ラインに対し、ボールをワイドに動かしながら、陣形を崩そうと目論見る柏。相手が引き気味だったこともあり、酒井宏樹と橋本和の両サイドバックのオーバーラップも頻繁に見られた。サイドから、あるいは中央から、柏は数多くのチャンスを作り出した。だが、カットインからの田中の左足シュートは右ポストを直撃。その直後、酒井の突破から生まれた絶好機では、フリーの田中が放ったシュートはGKモハメド サクルの好セーブに阻まれた。

決定機でゴールを奪えない場合、今季の柏はセットプレーから幾度となく活路を見出してきた。そして、この日の柏は多くのセットプレーを獲得した。レアンドロ ドミンゲスが不在でも、ジョルジ ワグネル、水野という名キッカーがいることで、セットプレーはチャンスとなった。しかし28分と39分のコーナーキックでの、北嶋得意のニアでのヘッドもネットを揺らすには至らず。

61分の、高い位置でボールを奪った柏がショートカウンターを仕掛けたシーンなどは、アルサッドの守備意識の高さを語る上で象徴的場面だ。敵陣深い位置でボールを奪ったのだから、本来なら手薄になった相手守備陣の隙を柏が鋭く切り裂いてもおかしくはないが、元来からリスクを冒さず、しかも自陣への戻りが速いとあって、田中から北嶋にボールが渡った瞬間には、アルサッドは複数人が北嶋を囲い込みに入り、そのこぼれ球からミドルシュート狙った水野は、枠を逸れて頭を抱えていたものの、立ちはだかる5人のDFによっておそらくコースはほとんど消されていたのだろう。ある意味、アルサッドの「アジア王者たる由縁」を垣間見たワンシーンだった。

62分、橋本のクロスがアルサッドDFの頭を越え、北嶋の元へ。胸でトラップをした北嶋がゴールを狙った。ここもGKサクルが身を挺したセーブを見せる。また、69分はこの試合で唯一、アルサッドDFのジョルジへの対応が遅れた場面だ。さすがのジョルジはこの一瞬を見逃さずに、緩い対応のDFの間に割って入り、ミドルを放つ。しかしJリーグで柏の窮地を救ってきた彼の左足もこの日は不発、GKの正面を突いた。

何度かアルサッドもカウンターやセットプレーでゴールに迫るシーンはあったとはいえ、総じて見れば相手のゲームプランを消し、主導権を握ってチャンスを数多く作り出したところまでは柏にとって狙い通りだった。だが、ゴールは生まれず0−0のスコアレスからPK戦の末に敗れ、柏は「世界3位」の座を逃した。

ここまで来た選手を称えたい気持ちもある。それに、来季のACLを戦う上で、アジア王者を押し込んだ事実はポジティブに考えていいだろう。しかし、それでも結局は勝てなかったし、勝利を収められなかったのには必ず原因がある。この試合で言えば、それは間違いなく“決定力”だ。その事実に正面から向き合い、今後、アジアや世界の強豪と対峙するためにはどう突き詰めていくのか。FIFAクラブワールドカップでの、濃厚な11日間で得た貴重な経験は、天皇杯の戦いに生かされる。

以上

2011.12.19 Reported by 鈴木潤
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