トップチームはシーズンを終えて自主トレ期間に入っている熊本。その自主トレも本日までとなり、1年間戦った選手たちはこれから短いオフで身体を休めつつ来シーズンに備えるが、一方で今日、新たな一歩を踏み出したのが、ユースから初めてトップ昇格が内定し、記者会見が行われた甲斐敬介選手だ。
クラブが発足して7年目、年々育成体制を整えてきた熊本にとっては、甲斐選手の世代が言わばアカデミーの1期にあたる。運営規模を考えても、たとえばJ1のクラブと競合して全国的にも知名度の高いルーキーを獲得するのは難しく、アカデミーからトップへのルートを作ることは地方のクラブにおける大きな課題のひとつ。そうした意味では、無事に実績を作ったことで、会見の様子を後方で見守ったアカデミースタッフにも安堵の表情が見られたのが印象的だった。
個人的な本音を言えば、1人だけではなく複数の選手が一気にトップ昇格、となることを期待していたが、そう簡単にはいかないのが実情。「トップチームの状況や強化の動きに左右される部分があって、難しいところもあります」と、永尾健次アカデミーダイレクターも明かす。ただ、そうした中でもトップ昇格内定にこぎ着けたポテンシャルは推して知るべし。
「トップとの練習ゲームでも、甲斐の仕掛けにひっかかる選手もいた(笑)」(永尾氏)らしく、J1を含めて他のクラブも興味を持っていた逸材。永尾氏によれば「身長もあるけど足元もあるし、何より賢い」そうで、実際に会見の席でも、1度に複数投げかけられた質問に対し、順を追ってよどみなく答えるなど、「何を聞かれていて、何を話せばいいのかもわかっている」(同氏)というインテリジェンスの部分でもクレバーな一面を見せた。
会見に同席した池谷友良総監督GMも話していたように、今回のトップ昇格によってユース、ジュニアユースの選手たちがトップチームをより身近な目標としてとらえることができるようになるし、そうした中から将来スターが生まれてくれば、地元で育った選手の流出を食い止める効果も期待できるだろう。甲斐選手もそうしたことも踏まえてか、「J1昇格に貢献することと、子どもたちの目標になる選手になりたい。その後は世代別代表に入ること、その先はワールドカップ出場」と、県民に期待を抱かせる目標を話した。同時に、「アカデミーでは足りない部分を認めつつ、いい部分を伸ばして来た」と永尾氏が述べているように、守備面と運動量、さらにはメンタルの強さやフィジカル強化が課題ということは本人も自覚している様子。当然、アカデミー出身という理由だけで優遇されるようなことはなく、そうした点は今後彼に続く選手たちも含め、それぞれの努力が必要なことは言うまでもない。
ただ、アカデミーからトップへのルートができたとはいえ、仮にトップチームが目指すサッカーのスタイルがユース以下のそれと大きく違っていたり、アカデミーで培った部分を生かせなかったりと、せっかく育てた若い芽を摘んでしまうようなことがあってはならない。そう考えると、今後が試されるのはむしろトップチームのほう。熊本愛、ロアッソ愛に満ちた「赤い魂を持った選手」(池谷総監督GM)を大事に育てていけるかは、トップチームが目指す将来像にかかっている。
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2011.12.16 Reported by 井芹貴志
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