「スラムダンク」(井上雄彦著/集英社)で、インターハイ1回戦の湘北vs豊玉、流川楓は腫れあがった眼で南烈につぶやく。
「日本一の選手ってどんな選手だと思う…。
きっとチームを日本一に導く選手だと思うんだよな。
オレはそれになる。
一歩も引く気はねーぜ」
日本一だ!「常勝」を破り京都を再び日本一に導け!
いよいよ天皇杯4回戦。相手は「常勝」鹿島。これ以上ない組み合わせだろう。どこが相手でも格上となるのなら、とびきり強い相手の方がいい。その方が面白い。
安藤淳はこの一戦に向け「僕たちは失うものが何もないですから」と口にした。京都にとってはこれがまず一番の考え方だろう。「失うものは何もない」――、それ以上に得るものしかない。
大木武監督はこの試合に向け「ストロングポイントで戦うということ。自分たちのミスも自分たちのストロングポイントで消すということです」と話した。恐れるものはない、ミスも失点も。それよりも自分たちの信じるものを出すということだろう。
鹿島の強さは本物。ロンドンオリンピック予選を経て、大迫勇也の動きは研ぎ澄まされている印象があり、また、本山雅志が中央に入り鹿島の攻撃の自在さも増している。
怒涛の攻撃を受けるかも知れない、のだが、相手の強さばかり見てもしょうがない。何より、京都もそれほど弱くない。京都の強みを出して相手を圧倒する。今までそうやって戦ってきたのだから、それを出すだけ。恐れるものも、失うものも何もない、とはそういうことだろう。
京都の強みというと「攻撃力」となるかも知れないが「守備」でも個性と強みが隠れている。「ボールに行く」守備。相手ボール保持者にスペースと考える時間を与えない。これも京都の強み。攻守に渡り京都らしさが詰まっている。つまり、攻撃も守備も11人で「皆で集中し、夢中になってボールを中心にサッカーをする」これが京都の強みとなるだろう。鹿島攻撃陣に対し11人で対応。鹿島守備陣に対し11人で圧倒する。ボールが敵陣にあれば敵陣に、自陣にあれば自陣に、さらにスペースを絞り込み、11人でサッカーをする。大迫対京都11人、興梠慎三対京都11人、新井場徹対京都11人となれば、京都のサッカーが展開出来る、ということ。個の能力を凌駕する仲間の力を結集させ、選手の個性を仲間が引きだしてあげる、そんなサッカーを観たいし、京都ならそんなサッカーも可能だと思っている。
「勝ちに行く」――、そんなことは当たり前だ。鹿島相手にどこまで出来るかを試しにわざわざ丸亀に行くのではない。
全身全霊を打ち込む。そこまで追い込まなければ見えて来ないものもある。日本一へ。京都の一歩も引かない戦いぶりを大いに期待したい。
以上
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2011.12.16 Reported by 武田賢宗
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