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開幕戦で対戦した富山と横浜FCが最終戦でぶつかる。
15位の富山は今季目標に掲げた13位に届く可能性が残っている。13位・湘南、14位・岡山との勝点差は２。今回勝てば、両チームの結果次第で２つ順位を上げることができる。
昨季18位に沈み、今季は将来的な上位進出を目指してチームの基盤を作り直すことがテーマだった。その成否の目安として設定した数値目標が13位だ。安間貴義監督は「最終戦で目標達成を狙える位置にいるのはチームが成長したから。しかし満足することなく、目標を成し遂げるという強い気持ちで戦いたい」と話す。選手のモチベーションは高く、今週も張りのあるトレーニングを続けている。
横浜FC戦に向けて安間監督は「選手はいつも通りにやってほしい」と言う。それは開幕から変わらずに追求してきたプレースタイルや戦術を指す。「走る」「素早く攻守を切り替える」「熱を込めてプレーする」「メンタルをコントロールする」の４原則。そして、サイドを使いながら常にゴールを意識する攻めや、守りでのしつこいマーキングなどだ。
“いつも通りに”。監督は選手を信頼しており、もはや多くを語る必要はないのだろう。シーズンを通したぶれることのない取り組みで、意思統一されたチームが出来上がっている。
もうひとつ今季を象徴しているように感じたフレーズがある。“サッカーが楽しかった”。この１年を振り返る質問に対し、多くの選手が口にした。「サッカーがもっと好きになった」と表現した者もいる。ルーキーのMF吉川拓也は「シーズンは短く、あっという間に感じた。終わってほしくないと思うほど楽しかった」と言う。監督やコーチに導かれ、少年に戻ったような純粋な心でサッカーに向き合っていたのだろう。選手たちは鍛えられ、チームは地力をつけていった。
今季、印象に残っている言葉がいくつかある。
「今日の練習もハードだった。だけど最後にみんなで走りながら『きつかったけど楽しかったな』って言っていたんですよ」（MF木本敬介）。「競い合いながら全員で一生懸命に練習している。だから試合でもチームのために頑張ろうと自然に思えるようになりました」（MF森泰次郎）。真っすぐな気持ちで切磋琢磨したチームは強い団結力を持つようになった。勝って13位を達成し、2011年の物語に輝きを加えたい。
横浜FCにとっては無念のシーズンだった。現在の18位という位置を予想していた者は皆無に近いだろう。開幕戦で富山に１−２で逆転負け。リーグ中断をはさむが序盤でつまずいた。８月に４連勝して11位まで浮上したが、直後に12戦未勝利（３分９敗）と不振に陥って５季ぶりのJ１復帰の夢がついえた。
富山との前回対戦を振り返ると、希望に満ちていた春を思い出して悔しさが込み上げてくるであろうことは想像に難くない。ましてや岸野靖之監督が率いるプロ意識の高い集団だけに残る１勝に執念を燃やしているはずだ。
両チームとも高い位置からボールを奪いにいくアグレッシブなスタイル。球際では気持ちの入った激しい攻防が展開されるだろう。
富山県民がそのプレーを楽しみにしている横浜FCのFW三浦知良は今季18試合に先発して健在ぶりを示している。東日本大震災の復興支援チャリティーマッチで挙げたゴールは記憶に新しい。Jリーグでは1993年から18年連続してゴールを挙げているが今季はまだ無得点。富山の地で無類の勝負強さを発揮するか、全国のサッカーファンが注目している。
以上
2011.12.01 Reported by 赤壁逸朗
