11月26日(土) 2011 J1リーグ戦 第33節
柏 1 - 1 C大阪 (14:04/柏/11,107人)
得点者:48' 上本大海(C大阪)、65' レアンドロドミンゲス(柏)
スカパー!再放送 Ch183 11/28(月)前04:30〜
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選手入場時、バックスタンドには『やってやれ!』の人文字が浮かび上がった。これは酒井宏樹の応援歌のフレーズだが、優勝決定の可能性がある試合に臨むにあたり、U−22日本代表でチームを離れている若きサイドバックの魂を抱いて一緒に戦おうという意味と、純粋に柏の選手たちに向けられたサポーターからの強い後押しの表れだと思われる。
ただし、C大阪のレヴィークルピ監督が「柏はこのゲームに何が何でも勝つぞという意識がありすぎてナーバスになってしまった部分があった」と話すように、柏の選手たちにわずかながらでも気負いがあったのは否めない。もちろん流動的なC大阪の前線の動きに苦しみ、なかなかボールの取りどころを見出せないといった戦術的な要因もあったにせよ、試合開始直後からペースを握ったのはC大阪だった。
C大阪の戦術的な肝はこの試合で用いた布陣、マルチネス、倉田秋、キム ボギョンの3ボランチの存在が大きく影響している。DFラインの前に彼ら3人が構えることで、レアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルという脅威のブラジル人コンビにスペースを与えず、柏の攻撃力を半減させるとともに、攻撃時には必ず1枚が空くためにマルチネスが効果的なパスを散らす。
ただ、サイドには比較的スペースがあり、前半の20分過ぎからは徐々に柏もピッチを広く使い、ボランチを経由したサイドチェンジを用いて攻勢に転じようとはした。しかし左サイドバックの橋本和は仕掛ける姿勢は良かったが、持ち過ぎた揚句にボールを失うシーンもあり、酒井不在により右サイドバックは増嶋竜也が務めたために、レアンドロとの連携やスペースへ飛び出すタイミングが合わず、柏得意のサイド攻撃がいまひとつ機能していなかった。
後半立ち上がり、左コーナーキックからニアで清武弘嗣がフリックし、ファーにいた上本大海がプッシュ。48分にC大阪が先制する。この日のC大阪は、丸橋祐介の不在も影響したのか、サイドバックの攻め上がりも少なく、「リスクを冒して攻めてくる感じではなかった」(栗澤僚一)。C大阪の3ボランチの1人、キムボギョンも「ディフェンスについてはバランスを意識してできたと思いますが、その分攻撃の厚みが無くなってしまいました」と語っており、この先制弾がさらに守備への意識を働かせたのだろう、中盤から後ろに人数を割き、自陣のスペースを潰した。
ネルシーニョ監督は相変わらず動くのが早い。後半開始と同時に北嶋秀朗に代えて田中順也を投入すると、1点リードされた直後の54分には水野晃樹を右サイドバックに据え、超攻撃的な布陣を敷いた。この交代はてき面だった。田中は、前半に浮き気味だったマルチネスのケアをしつつ、バイタルエリアの狭いゾーンでボールを受けては収め、リズムをもたらす。GKキム ジンヒョンの好セーブに阻まれた水野のミドルシュート、右ポストを直撃した田中の右足ハーフボレーと、立て続けに得点の匂いを漂わせた後の65分、水野のロングスローを増嶋がすらし、田中が落としたボールをレアンドロ ドミンゲスが左足で射抜いて1−1の同点にした。
試合終盤になり、陣形が間延びする。スペースができやすく、互いにカウンター合戦の様相を呈する。面白いのはそこでの駆け引きだった。勝つに越したことはないが、柏にとって最も避けたいのはC大阪に勝ち越しを許し、「自力優勝」のアドバンテージを手放すことにある。水野をサイドバックに置き、そこへパスを供給できる茨田陽生を入れて攻撃的に進める柏に対し、攻撃の回数は少ないまでもC大阪は清武や杉本健勇、後半から入ったファビオ ロペスがスペースに出没し、虎視眈々と追加点のチャンスを窺う。すると大谷秀和は周囲にリスク管理の意識を徹底させ、C大阪のカウンターに備えさせる。攻撃的なC大阪のこと、どこかでギアを上げて攻め立てる時間帯が来るかとも思ったのだが、「レアンドロ ドミンゲス選手とジョルジ ワグネル選手がいることで、ボランチとディフェンスの間のケアが大変でした」と話す上本の言葉から察すれば、彼らもリスクを冒すことで柏のブラジル人をフリーにさせてしまう状況を恐れたのかもしれない。
結局、その後は両者に追加点は生まれず1−1で試合は終了。このところ失点の多さが目立ったC大阪にとっては守備面での収穫の多い試合となった。キンチョウスタジアムで行われる最終戦、そして来月の天皇杯に向けて「次につながる良い試合ができた」という清武の言葉に偽りはないだろう。
このドローは柏にとっても価値のある勝点1だ。同時刻に他会場で行われていた名古屋が山形を降したため、もし柏が敗れていれば得失点差で首位が入れ替わっていただけに、なおのことその価値が増した格好になった。自力優勝のアドバンテージは、依然として柏の手中にある。
以上
2011.11.27 Reported by 鈴木潤
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