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過酷な連戦の３ラウンド目となる今節、草津は主力ＣＢである御厨貴文と中村英之が揃って警告累積で出場停止となる。ふたりに代わって先発出場が予想される有薗真吾が今のチーム状態についてこんなことを言っていた。「控え組でプレーしていて先発組と紅白戦をしていたがシステムを変える前まではある程度守れていた。でも今の形というか今のメンバーになってからは防げなくなった。だから千葉戦も岐阜戦も絶対に勝つと思った」。草津は進化を遂げたのだ。
メンバーとシステムを一新し２連勝を果たした草津が、北九州を迎え撃つ。草津も連勝中だが北九州も最近３試合で２勝１分と好調をキープ。11位草津（勝点41）と８位北九州（勝点44）の勝点差は３で、草津が勝利を収めれば得失点と得点数の関係で順位が入れ替わる。草津はアウェイでの対戦で北九州に屈しているだけにホームでリベンジを果たしたいところ。北九州も盛り返してきたが草津の勢いはそれ以上。草津はホームの力も借りて今季初の３連勝を狙う。
草津が新たに採用した４−２−３−１のシステムが、草津の選手たちの特長を引き出すことに成功している。最近２試合で７ゴールを上げた前線に注目が行きがちだが、松下裕樹、熊林親吾のダブルボランチが大きな役割を果たしている。ピッチ外では勝負弱い二人だが、ピッチに立つ二人は最強。千葉、岐阜の両ゲームでは「縦」と「横」を有効に使った絶妙なパスを配給、チャンスを次々と演出した。副島監督も「ボランチが前の４人の特長をうまく活かしている」と話す。「個人の特長がチームの中で表現できるようになっている」（松下）。今ゲームでもふたりのパスがチャンスを生み出すことだろう。
前線では1トップ・リンコンが気分良くトレーニングに励んでいた。千葉戦で先発復帰すると絶妙なポストプレーで２列目の３選手をサポート。岐阜戦では前半11分に今季初ゴールを流し込みチームに火をつけた。「岐阜戦では早い時間帯にゴールが決められたので自分もうれしかったし、チームが勢い付いた。２試合連続で勝っているのでこの流れを継続して連勝を伸ばしたい」（リンコン）。岐阜戦翌日、趣味のドラムを叩いて初ゴールの喜びを表現したというリンコンが北九州戦でも熱いビートを奏でるはずだ。
北九州は８月から９月にかけて勝てない時期が続いた。８月14日の京都戦の敗戦後に４試合連続ドロー、そして３連敗と８試合連続で白星から遠ざかった。だが３連敗はいずれも上位陣との対戦で、それを越えると岐阜、富山に連勝し前節は湘南相手に粘り強く戦い引き分けた。昇格２年目ながら三浦監督のもとチーム一丸となったチームは着々と力をつけている。草津は昨季の天皇杯で北九州に敗れ、今季のアウェイ対戦でも黒星の土産を持たされるなど決して相性はよくない。副島監督は「北九州は勝てない時期を乗り越えてチームが成熟してきた。難しい試合になるがアウェイの借りを返さなければならない」と返り討ちを狙う。
Ｊ２は２週間で５試合という連戦になっているが、草津は日程的に恵まれている。５連戦のスタートはアウェイながら首都圏の千葉。そして前試合岐阜戦から今節北九州、次試合横浜ＦＣ戦の３連戦はホームゲームとなる。さらに連戦のラストは同じ北関東の水戸。草津は、長距離移動なしという大きなアドバンテージを持ってこの連戦に挑んでいる。北九州が富山、ホーム、群馬（草津）と長距離移動となっているだけに、このハンデを有効に活用しない手はない。
新システムを採用してからの２試合で７ゴールを叩き込んでいる草津は、選手たちの手応えが自信に変わりつつある。今節はＣＢ２選手が出場停止となるが攻守のバランスは整っている。２戦連続ゴール中の小林竜樹は「チームが連動して動けるようになりゴールのイメージも共有されている。チームのためにも自分のためにも残り試合全勝するつもりでプレーする」と話せば、ＣＢ有薗真吾は「自分が出て負けるわけにはいかない。自分のできることをすべて出して守り抜くだけ。勢いに乗って今季初の３連勝をつかみたい」とピッチへ立つ。草津の３連勝に死角はない。
以上
2011.10.22 Reported by 伊藤寿学
