10月19日（水） 2011 J2リーグ戦 第6節
草津 4 - 2 岐阜　（19:04／正田スタ／1,348人）
得点者：11' リンコン（草津）、35' 小林竜樹（草津）、70' 田中秀人（岐阜）、73' 戸田和幸（草津）、85' 萬代宏樹（草津）、90'+4 佐藤洸一（岐阜）
スカパー！再放送 Ch184 10/20（木）深00:00〜
☆totoリーグ第４ターン開催中！
----------
草津がクラブタイ記録となるゴールラッシュで４対２と快勝、６月12日以来約４カ月ぶりの連勝を果たした。と書けば響きはいいが、実際はアップダウンの激しいエンターテインメント性に富んだゲームだった。

前半の草津は９月の停滞がまるで嘘のような圧巻の攻撃を披露した。「２列目の３人が連動して動けるようになってきた」（林勇介）。前節千葉を倒して自信をつけた身長1７１cmの後藤涼、１７０cmの林勇介、１６２cmの小林竜樹のトリオが、リンコンの周囲を衛星のように走り回り次々とチャンスを演出していく。

岐阜ＦＷ西川優大は「リンコンにボールを収められて2列目が絡んできた。それによって守備が真ん中に寄ってしまいサイドにスペースを与えてしまった」と振り返ったが、草津の先制点はその形から生まれる。11分、センターサークル付近でボールを受けた松下裕樹が右サイドへ大きくチェンジサイド。サイドをえぐった古林将太がゴール前に速いクロスを送ると林を経由して、ファーサイドで獲物を待っていたリンコンが今季初ゴールをマウスへと押し込む。

先制点でさらに加勢した草津はチーム全体が連動する波状攻撃を展開、岐阜をロープ際へと追い詰めていく。そして35分、センターバックの中村英之がＤＦとＧＫの狭間へ送ったロングフィードを小林が絶妙の飛び出しで受けてビューティフルゴール。「ヒデくん（中村）と目が合ったので背後へ抜け出した。ふたりのイメージが合致したゴールだった」（小林）。小林の２戦連続ゴールで主導権をがっちりと握った草津は完璧に近い内容で後半へ向かう。

「次の１点を狙え」（副島博志監督）。２対０のセオリー通り、相手の息の根を止めるべく３点目を奪いにかかった草津だが、ギアを入れ直した岐阜の反撃を直に浴びることになる。ラインと圧力を上げた岐阜に対して草津は一転して防戦一方。70分に田中秀人にこぼれ球を詰められて１点差に迫られると嫌なムードがスタジアムを包み込む。草津は熊林親吾とリンコンが退いたことにより起点を失い、迷走し始める。

そんな状況を一変させたのが戸田和幸だった。59分からピッチに投入された戸田は、林のＦＫをファーサイドで合わせて千金の追加点。「結果的にはあの１点が大きかったと思う」（戸田）。草津は85分にも後藤からのパスを受けた萬代宏樹が落ち着いてゴールへと流し込み今季最多の４点目。アディショナルタイムに失点する甘さは相変わらずだが４対２で岐阜を下し今季４度目の２連勝を果たした。

岐阜の木村孝洋監督は試合後に「前半がすべてだった」と語ったが、草津の勢いに屈した前半の２失点が悔やまれる。また３点目を奪われた直後の76分に西川優大がゴール前の決定機を外すなど決定力不足が響いた。結果的には４対２となったが、勝負所で決めるか、耐えるべき時間帯で抑えることができていれば岐阜にも十分に勝機はあった。「このままじゃ終われない」（菅和範）。この思いはサポーターも同じ。残り８試合、岐阜は最下位脱出、そして一つでも順位を上げるべく戦う。

前半と後半で一変したサッカーを演じた草津だが、勝利という結果を残したことは大きな収穫だ。ただこれで満足してはいけない。「数字上の可能性がある限り、一つでも上の順位を目指す」（副島監督）。２アシストを決めた林は「僕らには失うものはない。ただチャレンジするだけ」と力を込めた。チームの可能性を追求する戦いは、選手それぞれの可能性を広げる戦いでもある。

以上

2011.10.20 Reported by 伊藤寿学