10月12日(水) 第91回天皇杯 2回戦
磐田 3 - 0 福島 (19:00/ヤマハ/2,019人)
得点者:33' 荒田 智之(磐田)、71' 荒田 智之(磐田)、83' 荒田 智之(磐田)
★第91回天皇杯特集
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昨日の代表戦のような試合にはしたくない――。
J1・磐田との一戦を前に、福島ユナイテッドFCのFW久野純弥はそう考えていたという。それはチーム全員の思いだったかもしれない。久野の言う“代表戦”とは、この試合の前夜に行われたFIFAワールドカップブラジル大会アジア3次予選を意味する。早い時間帯に先制点を奪った日本代表がタジキスタン代表を終始攻め続けた“ハーフコート”ゲームである。自陣で守りを固める相手を最後まで押し込み、許したシュートはわずか1本。日本代表のゴールショーに長居は大いに沸いたが、彼らは異なる角度でこの試合を捉えていたのだろう。
久野の言葉の通り、序盤、勢いがあったのは明らかに福島だった。彼らは“引く”ことを選択しなかった。最終ラインをコントロールしながら前線から気迫溢れるプレッシングを仕掛け、格上の相手に対して一方も譲らない姿勢を見せる。その姿勢が試合開始早々のビッグチャンスをもたらしたのかもしれない。
スタジアムは一時騒然となった。磐田・八田直樹は「あれでチーム全体が引き締まった」と振り返ったが、磐田とすればこの試合で最も肝を冷やした瞬間だっただろう。自陣左サイドで与えたFKから一瞬の隙を突かれた。浮きパスで――ゾーンディフェンスの“盲点”である――ファーサイドを突かれ折り返されると、ボールはゴール中央でマークを外した青柳雅信の下へ。福島のキャプテンマークを巻く男は体を投げ出し懸命に足を伸ばしたものの、あと一歩のところで押し込むことはできなかった。「やられてもおかしくなかった場面」(古賀正紘)。まさに間一髪だった。
序盤のピンチを何とかしのぎきった磐田だが、相手のプレスに手を焼いていることに変わりはなかった。最終ラインから攻撃を組み立てていくものの、思うように決定機につなげることができない。どこか手詰まりしている感もあった。ただ、その中で焦れずにゲームを進めていたことも事実である。「あれだけ(前線から)来るか、引いてくるか。そのどちらかだと思った」と相手を見ていたのはこの試合の最年長・金沢浄。前半、相手のプレスに苦しめられながらも、序盤からハイテンポなプレーを続ける相手のスタミナがどこまで持続するのか、と冷静に戦況を見つめていたという。「焦れずにボールを回し、相手を消耗させることもできていたと思う」と続けた。
相手の勢いを止めるという意味では、前半の先制点が非常に大きかった。33分、イ ガンジンの縦パスを前線で受けた荒田智之が左足で冷静に流し込み、磐田が均衡を破る。1点リードで前半を折り返すと後半は一気にギアを上げた。後半開始から金園英学に代わり山崎亮平をピッチに送り出し、60分には山本康裕も投入。山崎は再三に渡りドリブル突破を仕掛け、後半だけで6本のシュートを放ち、山本康も右足首を捻挫した9月中旬のヤマザキナビスコカップ・仙台戦以来の公式戦となったが、はつらつとしたプレーでスタンドを沸かせた。対する福島は時間の経過と共に消耗が顕著に現れ、徐々に相手にスペースを与えるようになっていった。試合後、福島・手塚聡監督は「60分間はよく頑張ったと思うが、残り30分間は得点が取れそうな攻撃がなかなかできなかった」と悔やんだが、敵陣に攻め入っても決定機を生み出す余力は残されていなかった。
終わってみれば21本ものシュートを放った磐田に対し、福島のシュート数は4本。しかしながら、序盤だけを切り取ればどちらに転んでもおかしくないゲームだった。ましてや福島が序盤のチャンスを得点に結び付けていれば全く違うゲーム展開となっただろう。試合後、ヤマハスタジアムは福島の健闘を称える大きな拍手に包まれた。「ジュビロサポーターのみなさんからもああいった声援を受け、感動しました」と話していたのは冒頭の久野だ。「この試合で通用したところもあったので、通用しなかったところをこれからの課題として、もう一つ上に行けるようにやっていきたい」。そう話す表情は明るく、充実感を感じさせた。
以上
2011.10.13 Reported by 南間健治
J’s GOALニュース
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