10月5日(水) 2011 ヤマザキナビスコカップ 準々決勝
名古屋 5 - 3 新潟 (19:00/瑞穂陸/4,108人)
得点者:15' 金崎夢生(名古屋)、63' ブルーノロペス(新潟)、90'+1 永井謙佑(名古屋)、90'+3 川又堅碁(新潟)、98' 菊地直哉(新潟)、105'+2 永井謙佑(名古屋)、114' 橋本晃司(名古屋)、120'+1 田中マルクス闘莉王(名古屋)
☆ヤマザキナビスコカップ特集ページ
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雨中の激闘を制したのは、名古屋のストロングポイントである強いメンタリティーだった。ケネディと藤本淳吾という攻撃の中心人物2選手不在、そして試合前から降り続けた雨という環境を逆手に取り、延長を含めた120分で5得点。思わぬ点の取り合いとなった一戦は、名古屋というチームの強みを改めて認識させるに十分なものとなった。
リーグ戦、ヤマザキナビスコカップ、そして天皇杯という3つのコンペティションによる過密日程に突入した名古屋は、前述の2選手を代表招集によって欠いた上に、玉田圭司とダニルソンが負傷で欠場。さらには蓄積した疲労を考慮して、増川隆洋もベンチスタートさせた。DFライン中央を固めるのは田中マルクス闘莉王と千代反田充のコンビで、その前に中村直志と吉村圭司がダブルボランチを組む。前線は1トップに永井謙佑を据え、サイドに小川佳純と金崎夢生、トップ下にブルザノビッチを置く4-2-3-1の布陣。ケネディというポストプレーヤーを欠くマイナス部分を、機動力と守備の安定でカバーしようという狙いだ。
一方の新潟は清水に逆転勝利を収めた2回戦第2戦のメンバーから、ミシェウのみを欠く現状のベストメンバーをピッチに並べてきた。トリッキーなドリブルと卓越したゲームメイクを見せる背番号10の代わりに、ブルーノ・ロペスと2トップを組んだのはアンデルソン。より純粋なFWの選手だが、前線でタメを作るという役割は同じだ。右サイドで好調を維持する田中亜土夢とともに、この一戦での新潟の浮沈を握るキーマンのひとりである。
キックオフから試合終了まで、常に先手を取り続けたのはホームの名古屋のほうだった。各ハーフのキックオフからシュートに持ち込む入りの良さで、主導権を握る。滑りやすいピッチを利しての速いグラウンダーパスでポゼッションを高め、「今日は雨でもトラップミスが少なかった」(名古屋・阿部翔平)ことで流れるような攻撃を展開。ケネディ不在の前線は永井、小川、金崎が次々とポジションチェンジを繰り返し、人とボールの動きの多彩さで新潟DF陣を切り崩しにかかった。そして15分には幸先よく先制。右サイドでDFをかわした中村のクロスをニアでブルザノビッチがため、落としたボールを走り込んだ金崎が難しい体勢から流し込んだ。
そのまま一気に名古屋が支配力を強めるかと思われたが、得点後にペースダウンした影響で前半は1-0のまま終了。落ち着きを取り戻した新潟にとっても決め手を欠く流れであったため、試合は次の1点勝負になるかと思われた。
だが、後半に入ると試合は一変。予想外の打ち合いの幕が開いた。ハーフタイムに新潟の黒崎久志監督は「テンポを上げろ」と指示。シンプルなロングボールのこぼれ球を起点にされていたことを踏まえ、守備意識の徹底を指示して後半に臨んでいた。そして速い展開の作り手として菊地直哉を小林慶行に代えて投入。よりダイナミックな動きのできるボランチで、攻守の改善を図った。
その結果、後半は新潟が猛攻に出ることになる。序盤から圧力をかけ、粘り強い守備でリズムを整えると、18分には名古屋の田中隼磨がクロスの処理を誤りハンドでPKを献上。これをブルーノ・ロペスがきっちりと決め、まずは同点に追いついた。その後、疲れの見えるアンデルソンに代えて長身FWの川又堅碁を投入。アディショナルタイムには名古屋が波状攻撃から最後は阿部のクロスを永井がヘディングシュートを沈め、一時は勝ち越したが、3分のアディショナルタイムの3分目に川又が起死回生の同点ゴール。試合は延長戦へと突入した。
手にした勝利がするりと逃げていくような延長戦に、名古屋の選手たちはみな「正直、がっくりきた」(楢崎正剛、阿部)と言う。勢いからすれば、延長戦で優位に立つのは間違いなく新潟だ。
しかし名古屋はここ数カ月の戦いで、先制されての逆転勝利または土壇場での同点劇を繰り返してきたチームである。ちょっとやそっとのことでは、彼らの心は折れなかった。延長前半、98分に新潟の菊地がブルーノ・ロペスとのワンツーから見事なシュートを決めて逆転するも、延長前半のアディショナルタイムに名古屋も永井のゴールで応戦。延長後半には温存していた増川を入れ、久々となる闘莉王のFW起用で畳み掛けた。その甲斐あって、114分に永井のサイド突破からのクロスに途中出場の橋本晃司が合わせ、うれしいプロ初ゴールで逆転に成功。新潟も選手交代などで食い下がったが、試合終了間際には永井の突破を鈴木大輔がファウルで止めてしまい、PKの判定。ダメ押しの5点目を闘莉王がきっちり決め、終わってみればトータル5-3という大味なスコアで名古屋が準決勝への切符を手にした。
二度追いつかれ、一度は逆転されたゲームを最終的に勝ち取る。勝因はまさしくメンタル面だった。「強いメンタリティー、戦う気持ち、最後まで諦めない気持ち。この3点で勝利をもぎ取ることができた」と、“闘将”としても知られるストイコビッチ監督も満足げ。2得点1アシスト、PKまで獲得した殊勲の永井も「本当に点が取りたかった」と得点への強い気持ちを口にしている。
準決勝は中3日で鹿島をホームで迎え撃つことになった。今季公式戦4戦目となる宿敵とは、現在2勝1分とリード。引き続きケネディと玉田、藤本は不在だが、120分で5点を稼いだ攻撃陣に不安はない。むしろ勢いがものを言うトーナメントでは、苦戦の末に勝ち上がったという経験は何よりの追い風になるものだ。ファイナルまではあと1つ、タイトルまではあと2つ。来週にはリーグ戦の大一番を控える名古屋だが、もうひとつのリーグタイトルへ向けても、モチベーションは上がってきている。
以上
2011.10.06 Reported by 今井雄一朗
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