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前節、アウェイ柏戦に3-1で快勝し、勝点を32に伸ばして13位に浮上した大宮が、ホームNACK5スタジアム大宮に福岡を迎える。最下位に沈む福岡だが、前節は広島を相手に前線からハードワークし、2-1で６試合ぶりに勝利を収めて勝点を15とした。試合の興味は、大宮が(順位通りに)順当に勝って残留争いで一息つくか、それとも勝ち続けるしかない福岡が奇跡の残留へ望みをつなぐ勝点を手にできるかにある。
大宮は水曜日にヤマザキナビスコカップ２回戦第２戦があったが、既にカップ戦を敗退した福岡は試合を行っておらず、条件はイーブンではない。７月13日に行われた前回・第５節の対戦では、中２日しかもアウェイ移動付きで戦った大宮は、中３日の福岡に対して「運動量が少なく、パスをしても止まっていることが多くてパスコースがなかなか作れなかった」(鈴木淳監督)ことで苦戦し、0-1の敗戦を喫した。
その苦い記憶からか、水曜日のカップ戦で鈴木監督はラファエルや東慶悟を温存するなど、柏戦から実に９人もスタメンを入れ替えてリーグ戦に備えた。「水曜日にゲームに出た選手と、出ていない選手と、中途半端に出た選手と、コンディションにバラつきはあるが、疲労はたまっていない」(鈴木監督)状態で、当然、明日はベストメンバーで臨む。
スタメンは柏戦のそれがベースになるはずだ。注目はもちろん、１トップで柏戦２ゴールしたラファエル、そしてU-22代表と同じトップ下の位置で柏戦２アシストと輝きを放ち始めた東の２人。「ラファと慶悟のコンビネーションがすごく良いので、点は取ってくれると思う」と杉山新。東がスペースに飛び出して起点になることで、柏戦では大宮の攻撃に今までに見られなかった縦への速さも生まれている。この２人のコンビは福岡ばかりでなく、これから大宮と対戦するすべてのチームにとって脅威となるだろう。
上記のとおり福岡にとっては日程による体力的有利はほとんど望めない状況となった。しかし福岡は前節で、７位につける広島から驚異的なハードワークで勝点３を奪った。もともとハードワークこそ、J2の厳しい戦いで昇格の最後の椅子を勝ち取った福岡の原点である。前節では、J1で戦うためにジュビロから獲得した成岡翔、松浦拓弥ら技術に優れた攻撃的な選手たちも前線からボールを追い、押し込まれれば最終ラインまで下がり、ボールを奪えば必死に前線へ駆け上がった。
広島はもちろん大宮も、ポゼッションサッカーを標榜するチームは、このタイプに決して相性が良くない。前節の広島も、前回対戦時の大宮も、前半はアグレッシブな守備に苦しめられ、福岡の運動量が落ちてきた後半にこそ多くの決定的チャンスを作ったが、最後のところで体を投げ出してくる気迫あふれる守備に足元を狂わされたし、前がかりになったところをカウンターから決定的な場面を作られてもいる。「福岡は失点が多いから最下位にいるけど、点も結構取っている」と深谷友基が警戒するように、福岡が広島戦のように驚異的なハードワークで失点を許さなければ、痺れる展開になってくるだろう。
何より大宮の不安材料＝福岡の希望は、これは体質としか思えないほどに、大宮は良い試合をして勝ったあとそれを継続することができないことだ。今季は一度も連勝していないし、過去３年間でも２連勝が年に一度か二度あっただけ。これでは勢いに乗って上昇できるはずもない。水曜日のカップ戦で『連勝できない縛り』が解けたと見るにはメンバーが変わりすぎで、『縛り』はまだ継続していると見るべきだ。
指揮官は「結局は力のなさだと思う。きわどい試合を勝ちに持っていけるチーム力がまだまだ足りないということ」と、その事実を謙虚に受け止めるが、昨年までのように、勝ち試合のあとにふがいない試合をくり返してしまうわけでは決してなく、内容はそれほど悪くないだけに、勝って気が緩んでしまうというわけではないだろう。「個人個人が戦う気持ちを持っているのは当たり前で、問題はそれをみんなで一つにベクトルを合わせられるかどうか」と北野貴之がいうように、この福岡戦に気持ちを合わせて連勝し、勢いに乗りたいところだ。
互いのチーム力を考えれば、体力的不利の状況を回避した大宮の優位は揺るがない。しかしチームの相性と、大宮の『体質』を考えると、福岡にも勝機は十二分にある。気温27℃、湿度84％と蒸し暑かった７月の対戦とは違い、明日はカラッと涼しい秋晴れに恵まれそうだ。最高のサッカー日和に、イーブンな状況で大宮が７月の借りを返すか、福岡が奇跡へ望みをつなぐか、熱い戦いに期待したい。
以上
★深谷友基選手（大宮）「福岡戦へのスペシャルインタビュー」はこちら！
2011.09.30 Reported by 芥川和久
