9月25日（日） 2011 J2リーグ戦 第29節
Ｆ東京 3 - 0 横浜FC　（15:04／国立／21,330人）
得点者：8' 梶山陽平（Ｆ東京）、66' 羽生直剛（Ｆ東京）、68' 羽生直剛（Ｆ東京）
スカパー！再放送 Ch185 9/26（月）後07:00〜
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Ｆ東京が国立競技場で横浜ＦＣと対戦し、３−０で快勝した。東京は開始8分に、右ＣＫからＭＦ梶山陽平が頭で合わせて先制してゲームを折り返す。後半、ＭＦ羽生直剛が66分、68分と立て続けにゴールを決めて横浜ＦＣを退けた。試合数の関係で札幌に預けておいた、首位の座も奪い返した。

まるで強者のゲームだった。Ｆ東京は幸先よく早い時間帯に、右ＣＫを奪うと、それを先制点に繋げた。梶山が、谷澤からのボールをニアサイドで合わせてネットを揺らした。ただ、ここから横浜ＦＣが挽回する。彼らは、自分たちの形で勝負を挑んできた。前線から最終ラインまでをコンパクトに保ち、ＭＦ高地系治が正確なサイドチェンジを駆使してＦ東京に揺さぶりをかけてきた。特に左サイドから、右サイドへの展開は脅威だった。右サイドのＭＦ佐藤謙介や、ＤＦ荒堀謙次がＦ東京ＤＦ椋原健太に１対１を仕掛ける場面が増えていく。しかし、ここを耐え抜き、前半はチャンスを与えなかった。

山場は、後半に待っていた。同点に追いつきたい横浜ＦＣと、突き放したいＦ東京。後半開始から15分に、潮目を読みあう指揮官たちの思惑がピッチに映し出される。「どこかで勝負を仕掛けたいと思っていて勝負にいった」と言う、岸野靖之監督は59分、ベンチの切り札をピッチに投入した。ＦＷフランサと、ＭＦ野崎陽介。彼らによってゲームの流れを引き寄せようとした。ただ、ここでＦ東京・大熊清監督も勝負の一手を打つ。ＭＦ田邉草民に代えてＭＦ石川直宏をピッチへと送り出す。指揮官の意思が、ピッチに投影されるかが勝負を分けるポイントだった。

Ｆ東京は「自分たちの理想とは反する」（ＤＦ徳永悠平）行動に出た。最終ラインと、中盤を狭めて2枚のブロックで意図的に横浜ＦＣの攻撃を受け止めた。そうやって相手の攻撃を見極めつつ、カウンターの機会をうかがい続けた。そして、梶山がフランサからボールを強奪すると、右サイドを駆け上がった石川の前方へとパスを出す。石川はペナルティエリア角までボールを運び、追走してきた羽生に横パスを入れた。背番号22は、マークのタイミングをずらして右足を振ると、弧を描いたボールがゴールネットへと収まった。この追加点で勝負が決まった。さらに、2分後には、右サイドを起点に何本ものパスが繋がる。棒立ちする横浜ＦＣの守備を尻目に軽快なパス回しで選手たちの意思を紡いでいく。最後は、ルーカスが落としたパスをまたも羽生が拾い、ゴールへと流し込んだ。押し込んできた理想を開放した瞬間、まさに理想のパスワークが形となった。

ピッチ上の選手たちの判断力が差を生んだと言えるだろう。羽生の証言にもそれが現れる。「試合中に７、８人の選手が集まって『ここは耐えてチャンスを待つべきだ』と話し合えた。そこが大きかった」と言う。そして、ＤＦ今野泰幸の言葉が、試合結果を物語る。
「開始から相手がかなりコンパクトにしてきたので、最終ラインから一本のパスでも裏を取れると思っていた。ある時間帯では、見ている人には試合を支配されたように映ったかもしれない。でも、相手にはブロックの前でボールを回させているだけだった。自分たちの前でやらせているだけなので大丈夫だと思っていた。思惑どおり。そういうゲームだった」

横浜ＦＣは、最終的にゼロトップのような形になってしまい、ピッチ上の秩序が崩れてしまっていた。攻撃は機能不全となり、Ｆ東京の堅く閉ざした守備を最後までこじ開けることはできなかった。試合の流れを明け渡すことなく、Ｆ東京が３−０で横浜ＦＣを圧倒して試合を終わらせた。

ゲーム内容は、ここ最近の試合とは違っていたが、流れを読む力を見せたという点では強さを見せ付けることができたはずだ。このＪ２リーグで着実な強さを身に着けてきた。そろそろ選手たちも自覚し始めているはずだ。「過信ではなく自信にすることが大切」。大熊監督の言葉を借りれば、その域に達している。後は、この辛く厳しい今季のＪ２にピリオドを打つまでこのまま突き進めばいい。

以上

2011.09.26 Reported by 馬場康平