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【J1:第27節 福岡 vs 広島】レポート:俺たちはまだ戦う。福岡が見せた強い気持ちが勝利を呼び込む。(11.09.26)

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9月25日(日) 2011 J1リーグ戦 第27節
福岡 2 - 1 広島 (16:03/レベスタ/12,540人)
得点者:40' 末吉隼也(福岡)、75' 成岡翔(福岡)、90'+1 水本裕貴(広島)
スカパー!再放送 Ch183 9/26(月)後03:00〜
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90分+1に広島に1点差に迫られ、残されたアディショナルタイムは3分。試合は最後の最後で緊迫感あふれる場面を迎えた。しかし、ピッチに立つ11人に慌てた様子は見られない。いつものように、サポーターが歌うチャントとスタジアム全体から湧きあがる手拍子がレベルファイブスタジアムを包み、その力に背中を押されて広島の攻撃をはね返していく。何が何でも勝点3を掴む。そんな強い意志がスタンドに伝わってくる。そして、響き渡る試合終了のホイッスル。「俺たちは最後まで戦う」。その意思を90分間にわたって示し続けた福岡は6試合ぶりの勝利を手にした。

90分間戦うこと。それが、この日の福岡のテーマだった。広島との戦いに備えて準備した来たのは、1対1、球際、空中戦、ゴール前の守備、ゴール前の攻撃等々、細部にわたって戦い抜くということ。浅野哲也監督は「90分間頭を働かせて、体を動かして集中しろ。どういう状況になっても集中力を切らさずに、戦うことを忘れるな」と選手たちをピッチに送り出す。その檄を受けて、選手たちは勝利への思いをプレーで表現した。

前線からプレッシャーをかけ続ける城後寿と重松健太郎。バランスを取りながら攻撃の芽を摘み取り、中盤の主導権を渡さない末吉隼也と鈴木惇。広島のサイドアタックを防ぐために低い位置まで下がって守備に力を注ぎ、そしてチャンスと見るやアグレッシブに前に出るという上下動の激しいプレーを繰り返す成岡翔と松浦拓弥。集中力を保ち続ける最終ラインは広島の前線の3人を抑え込み、最後方では神山竜一がゴールに鍵をかける。序盤は互いに我慢比べのような戦いが続いたが、よりディテールにこだわり、局面での強さを発揮していたのは福岡。試合は間違いなく、福岡の狙い通りに進んでいた。

そして40分、福岡の思いが形になって現れる。始まりは、ミキッチからボールを奪った松浦のアグレッシブな守備から。そのボールを和田、松浦とつないで末吉へ。そして、スペースを利用して猛然と前へ仕掛けた末吉は、ゴール前で待つ城後にボールを預けて、さらにペナルティエリアへ走り込んだ。そこへ、抜群のタイミングで供給される城後からのラストパス。最後は末吉の右足がゴールを捉えた。アグレッシブな守備から生まれた流れるような攻撃。まさに、この日の福岡の狙いを絵にかいたようなゴールシーンだった。

しかし、広島も黙ってはいない。後半に入ると、最大のストロングポイントであるミキッチにボールを集めて右サイドからの攻撃を徹底。福岡のプレスが甘くなったこともあって一方的に攻撃を繰り返す。さらに54分には、中島に代えてムジリを投入。前への姿勢を強める。そして、54分、56分、58分、さらには71分、74分と決定的なチャンスを作り出した。いずれも福岡サポーターが目を覆ったシーン。どの場面も、ゴールを捉えても不思議ではなかった。けれど、広島はゴールを捉えることが出来なかった。「運がなかったと思うしかない」。ペトロヴィッチ監督は試合を振り返る。

だが、福岡の選手たちの見方は少し違う。「考え方はいろいろとあるが、チャンスを作られたけれど、最後の所で足を出したり、体を張ったりしたことで、相手にプレッシャーを与え続けていたこともあると思う」(鈴木惇)。そして何より、押し込まれながらも前へ出る気持ちを失わなかったことが大きかった。回数こそ減ったが、奪ったボールを素早く前へ運び、ゴールを狙う姿勢は変わらず。粘り強く守って、チャンスにはしっかりと攻めきるという姿勢を貫いた。

そして、勝負を決めた2点目は、まさに、そんな気持ちが結実したものだった。自陣ゴール前からつなごうとする広島に、松浦、中町公祐が高い位置でプレッシャーをかける。広島がたまらずボールを戻すと、猛然と成岡がボールを追い、それに城後が続く。結果的には盛田剛平のパスミスが福岡の2点目を生んだのだが、それも、低い位置からつないでくる広島の戦い方を計算したプレスが誘ったミスだった。「勇気ある判断」。浅野監督は2点目のシーンを振り返った。

この日、福岡は戦う姿勢を見せた。「これが最低限。今までサッカーが出来ていなかったということ」。成岡は自戒の念も込めて、この日の試合と、これまでを振り返った。だが過去は帰ってこない。今福岡が見るべきは前にある試合。苦しい状況に変わりはないが、ただ目の前の試合で勝ちたい気持ちを表現し続けるだけだ。あと7試合。福岡は、まだまだ戦う。

以上

2011.09.26 Reported by 中倉一志
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